ope.14 脂肪も使い方次第。
ある日のこと。
異世界美容整形クリニックの前に、二人のオークが立っていた。
一人は──
少し太めのオークの雌。
もう一人は──
筋肉質だが、お腹だけ少し出ているオークの雄。
野高が声をかけた。
「どうしましたか?」
オークの雌が言う。
「私……」
お腹をつまむ。
「この脂肪を……なくしたいんです」
須高は腕を組んだ。
「……脂肪吸引だな」
オークの雄が驚く。
「脂肪を取るのか!?」
須高は頷いた。
「余分な脂肪を取り除く医療だ」
オークの雌は嬉しそうに言った。
「細くなれますか!?」
「なれる」
即答だった。
そして、オークの雄が言う。
「俺はもっと強そうな身体になりたい」
そして自分の出てる腹を叩く。
ぽよん。
「この腹を──割りたい!!」
オークたちがざわめく。
「腹を割る!?」
「怖すぎる!」
須高は静かに言った。
「……なるほど」
そして言う。
「……ミケランジェロだ!」
野高が説明する。
「脂肪を使って腹筋の形を作る美容整形です」
オークたちは混乱した。
「腹筋って作れるの!?」
須高は頷いた。
「……作れる」
そして二人を見る。
「ちょうどいい」
「一人は脂肪を取る」
「一人は脂肪を使う」
野高が笑った。
「無駄がありませんね」
────手術の日。
クリニックの中。
オークの雌が手術台に横になっていた。
須高が言う。
「脂肪吸引開始」
細い管を使い、余分な脂肪を吸い出していく。
野高が袋を持っている。
「先生、かなり取れました」
須高は頷いた。
「……いい」
数十分後。
オークの雌は──くびれた身体になっていた。
野高が鏡を見せる。
「どうですか?」
オークの雌の目が輝く。
「細い!!私……細いです!!」
外で見ていたオークたちが騒ぐ。
「すげえ!!」
「別人だ!!」
しかし須高はまだ終わらない。
「……次だ」
もう一人のオークの雄が横になる。
須高は吸い取った脂肪を見る。
「……いい脂肪だ」
オークの雄が緊張して聞く。
「本当に腹筋になるのか?」
須高は答えた。
「なる」
そして、まず脂肪吸引して、腹部へ注入していく。
筋肉のラインに沿って。
慎重に。
野高が言う。
「先生、形きれいです」
須高は最後に整えた。
「……完成だ」
オークの雄に鏡を渡す。
オークは自分の腹を見る。
そして──固まった。
そこには、見事なシックスパック。
完璧に割れた腹筋。
オークの雄が叫んだ。
「うおおおおーー!!」
外に飛び出す。
「見ろ!!」
オークたちが驚く。
「腹が割れてる!!」
「強そう!!」
「族長より強そう!!」
オークの雄は誇らしげに言った。
「俺は今日から──」
腹を叩く。
バン!
「腹筋オークだ!!」
須高は腕を組んだ。
そしていつもの一言。
「……パーフェクトだ」
こうして異世界美容整形クリニックには、新しい施術が誕生した。
脂肪吸引。そして、ミケランジェロ腹筋形成。
患者第七号
オーク雌 ルナ(脂肪吸引)
患者第八号
オーク雄 ゴルド(ミケランジェロ腹筋)




