ope.12 医療機器はドワーフにお任せ。
翌日。
オークの村に、今まで聞いたことのない音が響いていた。
カンッ!!
カンッ!!
カンッ!!
金属を叩く重い音。
クリニックの裏には、即席の鍛冶場が作られていた。
巨大な炉。
山のような鉄。
そして──
ドワーフ鍛冶師たち。
オークたちは遠くから見ている。
「なんだあれ……」
「武器作ってるのか?」
「戦争?」
その中央に立っているのは──ドワーフ王国 鍛冶王バルグ。
巨大なハンマーを振り上げる。
カンッ!!
火花が散った。
その横で須高が腕を組んでいる。
「……そこじゃない」
バルグが眉を上げる。
「なに?」
須高は鉄を指差した。
「……刃先はもっと薄くだ。紙のように」
ドワーフ鍛冶師たちがざわめく。
「紙!?」
「そんな薄い刃、折れるぞ!」
須高は首を振った。
「……折れない。切れる」
野高が小声で言う。
「先生……それって……」
須高は言った。
「……メスだ」
ドワーフたちは初めて聞く道具だった。
バルグが興味深そうに聞く。
「何に使う?」
須高は簡単に答えた。
「肉を切る」
ドワーフたちが固まる。
「……怖い道具だな」
須高は続ける。
「……次はこれだ」
紙に図を描く。
細い先端。
長い柄。
野高が言う。
「ピンセットですね」
ドワーフたちはまた困惑する。
「何に使う?」
須高は答えた。
「毛を掴み、骨を掴む」
ドワーフたちがざわつく。
「骨!?」
「人間こわい!」
須高はさらに図を描く。
「ハサミ」
「針」
「糸」
鍛冶場は次第に熱気に包まれていった。
バルグは楽しそうに笑う。
「面白い!武器じゃない鉄を作るのは初めてだ!」
カンッ!!
カンッ!!
カンッ!!
火花が飛び散る。
そして数時間後。
ついに──
一つの箱が完成した。
重厚な鉄の箱。
バルグが蓋を開け、中には並んでいた。
銀色に輝く道具。
メス。
ハサミ。
ピンセット。
針。
野高が息を飲む。
「すごい……」
須高は一本のメスを手に取り光にかざす。
刃が、紙のように薄い。
そして須高は言った。
「……パーフェクトだ」
バルグが腕を組む。
「ドワーフ王国最高の鉄だ。武器と同じ技術を使った」
須高は頷いた。
「これで──」
一言。
「本物の手術ができる」
オークたちがざわめく。
「今までは本物じゃなかったの!?」
「骨折られてたじゃん!」
野高は苦笑する。
須高はメスを箱に戻した。
そして言った。
「次の患者を呼べ」
その時だった。
一人のエルフが手を挙げた。




