ope.11 本格的始動への動き。
それから数日後。
オークの村に、今まで見たことのない行列が現れた。
ドシン。
ドシン。
ドシン。
重い足音が大地を揺らす。
先頭にいるのは──
ガルドだった。
そしてその後ろには、武装したドワーフたち。
そして中央には、一際大きなドワーフが歩いていた。
長いヒゲ。
豪華な鎧。
黄金のハンマー。
オークたちがざわめく。
「な、なんだあの集団!」
「ドワーフの軍隊か!?」
「戦争!?」
ガルドは村の広場で止まり、大声で言った。
「医者を呼べ!」
クリニックの扉が開く。
須高が出てきた。
腕を組みながら、目の前の集団を見る。
「……騒がしいな」
ガルドが笑う。
「あはは、医者よ!連れてきたぞ!」
その瞬間。
中央のドワーフが一歩前に出た。
ずしん、と地面が揺れる。
そして低い声で言った。
「人間の医者よ。
俺が──ドワーフ王国 鍛冶王バルグだ」
オークたちが凍りついた。
「王!?」
「王様!?」
野高も思わず声を出した。
「お、王様!?」
しかし須高は、まったく動じなかった。
腕を組んだまま言う。
「……それで?患者か?」
周囲のドワーフたちがざわつく。
「無礼だぞ!」
「王に向かって!」
しかし鍛冶王バルグは笑った。
「ははは!気に入った!」
そしてヒゲを撫でながら言った。
「医者よ、俺のヒゲを見ろ」
須高は無言で観察する。
立派なヒゲだ。
だが──やはり中央部分だけ、少し薄い。
須高は即答した。
「……中央が弱いな」
バルグの目が見開く。
「分かるのか!?」
ガルドが笑った。
「言っただであろう、この医者は本物だ」
バルグは腕を組んだ。
「王のヒゲは威厳の象徴だ。だが俺のヒゲは、戦いの傷で少し失われた」
そして須高を見た。
「治せるか?」
須高は一言。
「……簡単だ」
オークたちがざわめく。
「王のヒゲ触るの!?」
「怖すぎる!」
須高は言った。
「ただし条件がある」
ドワーフたちが身構える。
「条件だと?」
須高は鍛冶王を見た。
「手術道具が足りない。鍛冶王なら作れるだろう」
バルグは笑った。
「ほう」
須高は続ける。
「俺に──世界一の手術道具を作れ」
沈黙。
次の瞬間。鍛冶王が大笑いした。
「ははははは!!面白い人間だ!!」
そして巨大なハンマーを地面に立てる。
ドンッ!!
「いいだろう!!ドワーフ王国の技術で、お前の医療道具を作ってやる!!」
野高が驚く。
「先生……すごいことに……」
須高は鼻で笑った。
「……当然だ」
こうして──異世界美容整形クリニックはついに、ドワーフ王国の鍛冶技術を手に入れることになった。
そして須高は呟いた。
「……これで本格的な手術ができる」
その瞬間。
この世界で初めての
“本物の美容外科手術道具”
が作られようとしていた。




