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アラフォー、若返って魔法少女となり、デスゲームに巻き込まれる  作者: 天原 重音


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9/10

審判者としての日々

 感慨も無く、審判者としての新しい日々が始まった。

 始まったと言っても、最初の内は継承した力になれる為の訓練を行う。けれど、これが想像以上に難しかった。

 イメージした通りに簡単な魔法を使うまでは問題無かった。非常に嫌だが、ここまではあの死闘で魔法を使用していた経験のお陰だ。マスケット銃に関しては、狙撃の命中率を上げる訓練を中心に行った。

 順調に見えたが、問題はここからだった。

 継承した能力は『空想の具現化』だ。

 試しに色々と試した結果、具現化したい物体を詳細にイメージする事で具現化可能となる。この『具現化したい物体を詳細にイメージする』部分が難しかった。

 しかも、色の名前を与える事で、能力の劣化コピーを与える事が出来るって、微妙に意味が分からん。

 劣化コピーと言うのは、死闘で私が実際に使っていた『イメージ通りに魔法を無詠唱で使う』の事なんだろう。でもね。私は魔法っぽいものしか使わなかったので、どこまで可能か分からない。

 試しにデトルゥーオを巻き込んで色々と実験をした。結果は私が実際に使っていたものと同じだった。これ以上は難しいだけでなく、一つの色に縛られてしまう欠点もあった。効果範囲は私を中心に半径数キロと狭い。

 どうしようか悩んだ私は、何時もの癖が出してしまった。

 癖と言うのは、『手を動かしながらの方が考えが纏まるから、ハンドメイド品を大量に作ってしまう』である。

 手指の動きがおかしくなった時期、リハビリを兼ねて様々なハンドメイドに手を出した。クロッシェ編み(かぎ針編み)、アフガン編み、タティングレース、ボビンレース、ビーズキーホルダー、洋裁など、色々と手を出した。

 母にも誕生日のお祝いで送ったなぁ。渡して二日・三日で、どこかに落としすわ、無くすわ、紛失理由を聞いたら逆切れされるわ、休職期間中に渡したら『こんなものを作っていないで、仕事を決めろ』と怒られるわ……。良い思い出が無いなぁ。

 うん、過去よりも現在が大事だ。

 道具は自作したわ。道具の構造は簡単だから、能力で簡単に作れた。そして、材料だけど……意外な事に材料も作れた。いや、意外でも無いか。でも、時間が経過すると消えそうだったから試さなかった。道具はその都度作れば良いけど、材料はそうも行かない。

 けれども、予想外な事に『魔力を保有しているものが持ち続ける場合に限り消えない』事が判明した。

 予想外の吉報だったので、クロッシェ編みとアフガン編みで色々と作った。逆に作り過ぎたと思ったけど、ここから更に予想外な方向に転がった。


 契機はグーフォの質問だ。


 私が編み物をしている姿を、飽きもせずに見ていたグーフォから『作った作品の名前』を聞かれた。この時、グーフォが持っていたのは白いロングマフラーだ。

 この時、私は己の能力についてすっかり忘れていた。

「強いて言うのなら、『白色』かな」

 ロングマフラーに『白色』と名付けた。次の瞬間、ロングマフラーが一瞬だけ光った。

 あれ? っと首を傾げてロングマフラーを確認したら、まぁ大変。能力が付与されていた。扱いに困ってコリフェーオに相談したら、更に斜め上の展開が待っていた。


 コリフェーオがロングマフラーを身に着けていた間限定だが、遠く離れた世界でも支援効果を発揮した。


 何を思ってそんな検証をしたんだと思うよりも先に、私は『は? マジ? 嘘でしょ!?』と絶叫を上げてしまった。

 この検証結果は、コリフェーオにとっても予想外だったらしい。

 この日以降、私は大量のマフラーやショールを編む事になったのは言うまでもない。

 能力の訓練になるから、編み物が堂々を出来るようになったので良しとした。

 ただ、コリフェーオが緑の中の緑にも見せた事で、私が作った作品を知らない人の手に渡るようになった。これにより、誰が私の作品を所持しているのか判らなくなった。

 私は悪用を心配したが、コリフェーオが言うには『渡す相手は緑の中の緑が選んだ信用出来るものだけだ。心配は不要』との事だった。事後報告の一点だけが気になるが、派閥の代表が決めた事だ。言ってもしょうがない。



 私は能力の訓練を兼ねて、ハンドメイド作品を大量に作る日々を送った。

 勿論、普通の戦闘訓練もデトルゥーオ相手に行った。

 二足の草鞋を履くような日々を送り、ここに来てから数年後。

 遂に、グーフォが審判者になる日が来た。

 肉体的にも精神的にも、グーフォは成長した。年齢的にもグーフォはちょっと遅い反抗期に入った。幼児返りを起こしていたあの頃のグーフォが懐かしい。

 グーフォは体に栄養が行き渡った結果、成長痛でベッドから起き上がれない日もあった。そんな日はデトルゥーオと二人掛かりでグーフォのマッサージを行った。グーフォは嫌そうな顔をしていたけど、デトルゥーオの腕力には勝てず、されるがままだった。アヴァレーソの乱入はクレリーカとヨギーストが阻止したよ。

 けれどね。肝心の身長は余り伸びなかった。

 ヒール付きのブーツを履いた私よりも、少し低い程度だ。多分、身長は百七十センチも無い。デトルゥーオも女性としては長身の部類に入るので、グーフォよりも身長は高い。

 反抗期に入ったグーフォの子ども扱いは……アヴァレーソとデトルゥーオの顔が楽しそうだから、多分このままだな。

 


 そうそう。

 グーフォの目が光っていた事だけど、これは『一定以上の量の霊力保持者の証』らしい。

 そもそも『霊力とは何ぞ?』から始まる。神社の巫女さんが持っている破魔の力? それとも神通力に似た力かしら?

 小難しい解説をコリフェーオから受けたが、『魔法の威力を強化し、魔を浄化する特殊な力』と認識すれば良いとの事。

 私は持っていない力なので、必要な事だけを覚えていれば良い。

 でもグーフォからすると、目が光るって、ここ以外だと目立ちそうだ。対策として、目元に特殊な布を眼帯のように巻く事になった。誰が作ったのかと思えば、コリフェーオが言うには、滅多にここに戻って来ない人物に相談して作って貰ったらしい。

 眼帯を身に着けたら今度は視界が塞がれると思ったが、コリフェーオから解説が入った。

 なんでも、瞳が光っているのは『霊視』が使える証拠で、訓練次第では『透視や千里眼』も使えるそうだ。眼帯のように使うあの布は特殊なもので、霊視の能力で視え過ぎるのを防ぐ効果も有るらしい。透視を使用すれば、日常生活に支障は来さない。

 私はグーフォの訓練内容を知らなかったが、既に透視と千里眼が使えるそうだ。

 継承した能力が違うから、訓練内容が私と違うのは当然だけど、知らなくて吃驚した。

 


 さて、グーフォは審判者になる前から訓練を行っていたので、すぐに実戦となったんだけど……何故か私も、マスケット銃を手に一緒に行く事になった。コリフェーオも一緒なので、トリオで活動だ。

 トリオで向かった先での戦闘は、想像以上に過酷だった。コリフェーオのフォローが無いと危ない場面が多かった。

 けれども、ここでやって行くと決めた以上、慣れなければならない。

 私はマスケット銃を使った自主訓練の時間を増やし、能力の新しい使い方を模索した。

 何度も実戦を繰り返して行く内に、トリオからコリフェーオがいなくなって、グーフォとコンビで動くようになった。私とグーフォの見た目は、どこにでもいるような感じなので、人が多い街中潜入の仕事を行うようになった。怪しまれないようにグーフォには杖を持たせたよ。



 そして、グーフォが一人で危なげなく(手製のハンドメイド品は必ず渡した)戦闘が行えるようになった頃。

 他の皆(特に派閥内)の要望もあり、私は拠点にいる時間が長くなり、ハンドメイド作品を作る時間が増えた。

 たまに外出はするよ。主に食材とハンドメイドの材料捜しと調達だけど。たまに、独りで学校に潜入とかもやった。色んな世界(ファンタジー系の世界から、SF系の世界まで)に協力者がいて吃驚した。学校への潜入は協力者の依頼で行うものだから、神経を使ったわ。

 


 そんなある日。

 コリフェーオとグーフォが二人で拠点に戻って来た。相変わらずの反抗期である。

 グーフォの反抗期は中々終わらず、行儀の悪さを指摘すると素直に謝るが、それ以外の点を指摘するとむくれたり反抗する。長い反抗期だが、アヴァレーソは喜んでいる。

 自棄食い用のたこ焼きを焼いて食べながら、二人の話を聞き、話し合い、仮説を重ねていた結果、とんでもない真実に行き着き、コリフェーオは再度、緑の中の緑に報告しに向かう事態になった。

 コリフェーオが報告から戻って来たら、何故か久し振りに、コリフェーオとグーフォの二人と一緒に仕事を行う事になった。

 私が移動するとなると、あちこちに連絡を入れたり、作り掛けの作品を急いで完成させたり、書置きを残したりしないとだから、時間が掛かる。

 時間が掛かってしまう原因が私以外にあるので、幸いな事に文句は言われない。


 三人で移動した先の世界で、とある女性と出会い、心から味方で無い事を惜しむ事になるのだが、まだ先の話だ。


 ※※※※※※

(コリフェーオ視点)


 黒羽紫が能力を継承してから、幾日が経過した頃にまで時を遡る。


 光の無い空間の扉が開き、一筋の光が差し込んだ。

 扉を開けて入って来たのは、コリフェーオだった。

 黒羽紫を審判者にする儀式は終わっている。故に、コリフェーオがここを再訪した理由に多少含まれるが、彼女が主な理由ではない。コリフェーオがここを再訪した理由は、確認と別の一件についてだ。

 コリフェーオは闇の奥へと独り歩を進めた。足音だけが響く中、遮るように声が響いた。 

「来たか」

 声が響くと同時に、コリフェーオの前に何かが降り立った。一切の光源の無い空間なので、コリフェーオの前に誰がやって来たのは視認する事は不可能だ。けれども、コリフェーオは呼び出しを受けた側なので、現れた人物が誰なのかは理解している。

「はいはい、来ました。重要な知らせと言うのは、何ですかね?」

「ベーノ・アウ・マルベーノの行方について、少し判った事がある」

「おっ、遂にあの神剣が見つかったんですか?」

「否。神剣による世界破壊の痕跡を発見し、痕跡が途中で途絶えた」

「途絶えた? あの神剣を破壊するのは不可能でしょう?」

「その通りだ。青の中の青が創り上げた至高の一振りを破壊するのは不可能と言ってよい。神剣が破壊されていないのに、どこの世界に流れ着いたのか、その痕跡が辿れないのだ」

「え? 世界樹の過去記録渦球(かこきろくかきゅう)を使っても調べても見つからないの!?」

 過去記録渦球は、世界樹内で発生した情報と事象全てを内包する『事象の大海』を調べる為に開発された、球体(特殊な道具)の事だ。

 これを使わずに事象の大海に接触すると、審判者ですら即廃人と化してしまう。想像を絶する情報量の多さに、脳の処理が追い付かないのだ。

 過去記録渦球を使用すれば、ある程度の情報の選別は可能となる。それでも一度に得る情報量は非常に多く、情報処理になれないと知恵熱を出す。

 例え情報の処理が不慣れでどれだけの時間を掛けても、過去記録渦球を使用して『得られない情報は存在しない』のだ。そうであるにも拘らず、発見出来ない。これを異常と呼ばずして何と呼ぶのか。少なくとも、コリフェーオには分からない。  

「困った事に見つからん。流石に破壊されたとは思えんが、世界樹の外に弾き飛ばされた可能性は考えられる。最も考えられる可能性は『封印』だが、どこに封印したのかすら分からない上に、封印の方法すら想像出来ん」

「史上まれにみる、厄介な状況になっているって事か」

「そうだ。真っ当な持ち主の手に渡っているのであれば良いが、そうでないのならば回収が望ましい」

「それって、……持ち主が真っ当だったら、回収はしなくても良いって事?」

「そうでは無いが、譲渡が不可能な場合、回収は断念する。持ち主の人品人格の確認はしたいが、ここに連れて来るのは難しい。故にコリフェーオ。ベーノ・アウ・マルベーノの所有者の、人品人格の確認をお前に命ずる。発見したら一度報告に来い」

「人品人格に問題が有ったらその場で奪い取り、問題が無かったら報告に戻る。問題の有無の基準は、好戦的か否かで、良いですかね?」

「それで構わぬ。アレは血を好むものの手に置いておけぬ一振りだ。特に、魔剣と化したあの神剣は所有者の負の感情を増幅させ、暴走を加速させる。暴走して世界を破壊し、ベーノ・アウ・マルベーノが別の世界に流れるのならば、その前に始末しても良い」

「地味に責任重大だが、ここに連れて来れない以上、仕方が無い、か」

 コリフェーオは下された命令の重さに胃痛を覚えた。絶対に、己に任される内容の仕事じゃない。本来ならば、派閥代表の側近が行う事だ。

 下手をすれば、他の派閥――特に生産元の青のブルゥアから抗議を受けかねない。

「して、コリフェーオ。新入りの様子はどうだ?」

 他の派閥からの横やりを想像したコリフェーオは、胃に続いて頭が痛くなって来た。そんな時に、緑の中の緑が話題を突然変えた。この人物がコリフェーオの部下を気にするのは非常に珍しい事だが、今回は例外である。

「ん? ユカリの事? 根が真面目だな。能力を使いこなす訓練を行っている。組ませる奴が成長するまでは、ここからの支援が中心だな」

「そうか。支援が可能な距離は先代と同じか?」

「いやー、それが面白い方向に転がって、……ユカリが能力を使って出した材料で作った作品に、色名を与えて持っていれば、遠く離れた世界でも通常通りの支援が受けられる」

「ほう。どのようにやるのだ?」

 コリフェーオは腰のウエストポーチから掌程度の大きさの白色の巾着を取り出し、緑の中の緑に差し出した。

 闇の中であるにも拘らず、巾着を受け取った緑の中の緑は中身を確認し、すぐに看破した。

「中には何も入っておらぬが、巾着自体に色名を与えたか。面白い。これを持っている限り、支援が受けられると言う事か。しかし、色名を与える対象はこのような物体でも可能だったのか。初めて知ったぞ」

「その通りですが、中に色名を与えた何かを入れれば、更に効果が得られる」

「くく、先代よりも有能になりそうだ。白の中の白の配下よりも先に拾えたのは僥倖だった」

「用途の広い能力を継承出来る奴は少ないんで、そいつはしょうがないですね」

 そう。今回ユカリが継承した能力のように、効果が多岐に亘るものは少ない為、自ずと人材の争奪戦になった。ユカリは貴重な人材側なので、緑の中の緑も気に掛ける。

 そんな事を知らないユカリはあろう事か、世界を越えて支援を可能とするにまで至った。この情報が他の派閥に漏れた状態で、審判者同士の戦闘に不慣れなままでここから出たら、拉致される可能性が高い。拉致されたらユカリの記憶は消され、確実にコリフェーオ達の敵に回る。

 逆にと言って良いものか。グーフォに関してはその可能性は低い。

 グーフォが継承する能力は、飛翔能力(空気の無い場所でも飛翔可能)と、空を飛ぶ生物(種類は問わない、虫でも可能、意思疎通も可能)を従えるの二つだ。似たような能力を持った審判者は、緑のヴェーダ内でもそれなりにいる。

 ここにグーフォと一緒に回収した武器『グラーヴォ()・カイ・()ランツォ()』が加わる。だが、こいつは『霊力保持者でなければ真価を発揮しない量産品』の武器だ。緑のヴェーダはおろか、他の派閥でもこいつを所有している霊力持ちの審判者は複数存在する。どこの派閥も五人前後の人数が所持しており、生産元の青のブルゥアで、六人が所有している。

「お前との同調は済ませているが、愛想を尽かされぬようにせよ。それと、作った品の効果の検証はこちらでも行おう。空き時間に幾つか持って来い」

 緑の中の緑は言いたい事を言うと姿を消した。視界は真っ暗闇なのでコリフェーオには見えなかったが、緑の中の緑が去った事だけは把握出来た。

 コリフェーオが渡した巾着は返って来なかった。検証を行う為か、緑の中の緑がそのまま持って行った。

 可能ならば、巾着を返して欲しかったコリフェーオはユカリに対して行う、巾着を所持していない言い訳と、作品が幾つか欲しいと言う説明の二点の内容について頭を悩ませながら部屋から出た。

 


 移動の途中。

 コリフェーオはユカリへの言い訳よりも、緑の中の緑から齎された情報について考えていた。

 神剣ベーノ・アウ・マルベーノの行方不明。過去記録渦球を使用しても、居場所の特定が不可能。事象の大海に情報が残っていない。

 何が起きているのか分からないが、『発見したら報告を最優先』で良いと、コリフェーオは考えていた。

 そもそも、あの神剣は危険過ぎる。切った対象を魔力に分解吸収するような神剣との戦闘は何が何でも避けたい。命が幾つあっても足りない。

 ……それにしても、青の中の青は一体何を考えてあの神剣を創ったんだ? しかも、『己の魂を複製して、剣の自我として付与する』とか、狂気が過ぎる。

 分からない事が多過ぎる。

 かの神剣については、遭遇する日を待つしかない。



 遠い未来で、コリフェーオはベーノ・アウ・マルベーノを所有する人物を発見した。

 所持者と相対するのはグーフォだ。グーフォには神剣に関わる情報を与えていたが、重要な一点しか伝えていなかったので、コリフェーオは久し振りに焦った。コリフェーオは確信したグーフォの報告内容から、心配してついて来て正解だった。

 しかし、発見した神剣は第十形体(ヌルの状態)だが『聖剣状態』だったので、暴走の心配が無くなり安心した。

 神剣を所持する女性(?)にしては小柄で若く見える。少女か? 

 コリフェーオはグーフォと刃を交わす少女の姿を観察した。

 黒く長い髪と黒い瞳は、どことなくユカリを連想させるが、髪の光沢は白金色に近い。

 次に白金色の鎧を観察する。目を凝らさなければ分からないが、薄っすらと光り輝いている。その輝きの中には、粒子状の霊力が混ざっていた。

 視える霊力の量は僅かだが、少女の髪の光沢の色を考えると、保有する霊力量は髪の色を変える程に膨大な量と見て良い。

 ……こいつが、グーフォから報告を受けていた、ラートを討ちに行った時に邪魔されたと言う女か。

 受けていた報告内容と照らし合わせて、コリフェーオは少女の正体に――ラートの被害者だと気づいた。

 戦闘は続き、神剣の切っ先がグーフォの頬を裂いた。困った事に、グーフォが徐々に焦りを浮かべるようになった。

 ……どうする? 回収するもう一つの神剣はあの女が持っていた。ラートに関する情報も手に入れる必要が有る。

 悩んだコリフェーオはユカリ経由で、緑の中の緑に連絡を入れた。緑の中の緑に相談して、どうするかを決める。

『悩むまでも無い。情報の入手が先決だ。取引材料があるのならば、それを使ってでも情報の入手を優先せよ』

 緑の中の緑は一方的に決定だけを述べた。コリフェーオとしてはありがたいが、それはそれでどうかと思ってしまう。

 けれど、派閥の代表(一番偉い人)の決定だ。否は言えない。

 コリフェーオは二人の戦闘に割り込む事を決めた。 

 


 そして、更に聞きたくない情報を入手して、コリフェーオは胃痛を我慢して緑の中の緑に報告した。

 だがしかし。

 帰還後に交わしたユカリとの会話で、知りたくなかった真実に辿り着き、更なる命令を受けて、コリフェーオは久し振りに胃薬が欲しくなった。


 ※※※※※※


ここまでお読み頂きありがとうございます。

これにて完結となります。

別作品『終わるトキ』と関連はありますが、いきなり登場したばかりの人物がメインの話を入れるのはアレかと思い、別作品として投稿を決めました。


「決定権があるようでなく、こうするしか道が無い状況の黒羽紫の明日はどっちだ?」とあらすじを書けばギャグっぽく感じるのに、中身は理不尽そのもの。知り合った人が死んで、帰る場所は消えていた。しかも、知り合った人の最期の言葉を守るしか生きる理由が無い。

サバイバーズギルドのように「生き残ってしまったからには何かしなくては」の念に駆られる事のない黒羽紫ですが、流れ着いた先で仲間には恵まれる。

坂月菊理の『ありえたかもしれない道を辿ったキャラ』なので、キャラ設定は余り悩まなかったです。

 

最後に、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

誤字脱字報告などをくださった方々ありがとうございます。

今後のネタバレ防止の為に、申し訳ありませんが、感想欄は閉じたままにする予定です。



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