前へ目次 次へ 57/62 ダイヤモンド鉱石のような 前触れもなく 彩雲が立つことがある 読んでいる本の一節から 鑑賞しているものの表層から 朧気に浮かんでくるもの それは言葉であったり 形象であったり 色彩であったり その名づけられないものを入口として 迷霧の中に入ってみる そこは自分で創造する平行世界だ とはいえ 現実世界の思考回路でゆけば すぐに現(うつつ)に立ち戻ってしまう そんなときは 極彩色の羽を身につけて この地を発ち 少し浮世離れしてみる 宙でつかんだものを 光に透かしてみたり 賞玩(しょうがん)したりするうちに 深層岩に眠る言葉の欠片(かけら)が ふいに現れたりする ダイヤモンド鉱石のように