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月夜にネコは
幻想の結晶が降る
妖しい大満月の夜
公園を徘徊する猫が
ネコ耳の人間になった
哲学探究の旅から帰ってきた
灰色ネコは月の光と戯れる
…この瞬間を言葉にしたいけれど
…ただのゲームになってしまう
…詩にすればいいのよ
近くの家で飼われている
毛並みの豊かな白ネコが言う
…哲学は詩を書くように書け
…そう言った哲学者がいたよ
白ネコがそっと近くに寄ってきた
…それより
…人間みたいに手をつなごう
…猫のときにはできないから
手のぬくもりがほんのりと
シアワセの温度になる
灰色の耳はラベンダーに
白い耳はピンクに染まる
…人間はいつでも手をつなげて
…シアワセよね
昇るほどに大きくなる月
寝静まった家々の影が
どんどん伸びてきて
辺りは月影の国になった
影の中で寄添う二つの影
銀色に膨らんだ月が
朝の空に吸込まれて
街が目覚めるまで
手をつないだまま
月を見上げるネコ
ふたりのシルエット




