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イスラムのドームの下
「写真の中へ」シリーズです。
モスクの薄暗闇の中
丸い天井を見上げれば
高い小窓から射込む光で
古に刻まれた文様が
浮かび上がる
金色じみた太古の空に
詩のように並んでいる星々
宇宙の永遠を夢想する
夢想が心に浸透するころ
暗闇への畏怖心が
唐突に立ち上がり
さっきまで入口だった
出口を振り返る
こっちに帰っておいでと
俗世に照りつける陽光が
手招きする
どれだけ離れたというのか
すぐそこに見える世界が
こうも懐かしく思えるのは
マシュラビーヤの格子が
幾何学模様の光で誘う
薄闇から光の中へと
帰ってゆきながら
置いてゆくのは
ドームへの祈り
ずっと生き延びるように
戦争で壊されないように
▶マシュラビーヤ…イスラム圏の伝統的な建築に見られる格子状の窓




