前へ目次 次へ 40/62 龍の狂風 寝室のカーテンの 向こうの窓を 狂風が震わせる あれは 闇に紛れて天翔ける 龍の風だ ドラマチックな唱法で 鳴きながら翔けている 歓びでもない恐怖でもない 豊かな声で鳴いている 地上に繁茂する悲しみ 地上にもやだつ憎しみ すべてを食らい尽くそうと 超音速の風となって 蛇行しながら闇を裂く 星は彼方へ飛ばされて 月は凍って白く固まった そして私は眠りにつく 寒風に凍てつく夜 すべての生き物に 眠る場所があるのだろうか そんな思いを地上に託して 龍は帰っていった ブラックホールの 自らのねぐらへと