前へ目次 次へ 34/62 朝月の雨 残月の空から落ちてきた雨は 山に白い紗をかけて町を濡らした シリウスが水色の空に溶ける頃 山に棲む龍が化身して白い雲となり しなやかに身を伸ばした 無数の氷晶が龍の鱗となって 濃く薄く光りながら山を這う 青いシリウスは龍の眼となり チェレンコフ放射に似た光が 空を走った 真実という言葉はあるけれど その形骸しか見つけられない現世(うつしよ)に 瞬(またた)いた青い光 それは一瞬の永劫 朝月のような幻だった ~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~