表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

【第4号】歳の取り方まで、法律で決めてんの!? 何で……(「年齢のとなえ方に関する法律」ほか)



―――――

年齢(ねんれい)のとなえ方に関する法律

 (昭和24年法律第96号)

 施行:昭和25年(1950)1月1日

 状態:現行法(今も有効)

 主な内容:年齢の数え方について

 関連法令:民法、年齢計算ニ関スル法律など

―――――



「こんなことまで法律で決めてるの !? 」


という物事が、世の中にはよくある。


 年齢もその1つ、というのが今日のお話だ――



 ◇


 今日9月15日は、「敬老(けいろう)の日」という祝日(※1)である。

 これは早い話、“長生きのお年寄りをお祝いする日”として決められたものだ。


 おめでとうございます!



※1 法改正により、現在は“毎年9月の第3月曜日”となっている(2003年〜)



 昭和22年(1947)、兵庫県のとある村で始まった行事が全国に広まり、約20年で国の祝日になったという。

 が、一旦その話は置いておこう。


 その人が何年生きているか、数えるのが年齢だ。そして日本には、この年齢の数え方についての法律がある。

 それも1つじゃないんだそうで……。


「何で? そんなん2つも要るか ?? 」



 結論から言えば、マジで必要だったらしい。



 ◇


 何でそうなるのか?

 実は日本の場合、「昔と今では年齢の数え方が違うから」なんだそうで。


 現代日本では、誕生日に1つ歳を取る“満年齢(まんねんれい)”(※2)が一般的だ。

 だが、今から80年ほど前までは違った。

 もう1つの年齢、毎年1月1日(がんじつ)に1つ歳を取る“(かぞ)(どし)”(※3)が存在したのだ。



※2 厳密には“生まれた時点で「満0歳」とし、毎年誕生日の前日終了間際(まぎわ)に1つ歳を取る”数え方

  4年に1度の“2月29日生まれ”の人も、毎年歳を取る


※3 こちらも厳密には“生まれた時点で「数え1歳」とし、毎年1月1日に1つ歳を取る”数え方

  満年齢と数え年は、最大で2歳ズレる



 その証拠となる、有名な短歌がある。


  門松(かどまつ)は 冥途(めいど)の旅の 一里塚(いちりづか)

      めでたくもあり めでたくもなし


 これは「一休さん」のモデルとして有名な禅僧(ぜんそう)一休(いっきゅう)宗純(そうじゅん)の作品(※4)といわれている。今から600年ほど前の話だ。


 ざっくり意訳、というか超訳すると、


「正月っていえばおめでたいけど、毎年毎年、自分の死に近づいてるんだぜ? ホントにめでたいか

?? 」


といった意味である。



 正月早々、なんて事言いやがんだ(ジジイ)……縁起(えんぎ)でもねぇ…………



※4 諸説あり

  後世、一部改変(アレンジ)されたとも



 ◇


 ……まぁ、一休さんのありがた〜いお言葉はさておき。

 そのくらい当たり前に定着していた数え年を見て、困った人たちがいる。



 明治新政府のお役人たちだ。



 2話ぶり2度目の登場となる彼らは、相変わらず


「違う、僕らは立派な文明国だ! だから対等に(あつか)え !! 」


と、アピールしまくっていた。

 当時の日本が、欧米の強国から「遅れた国」と見なされていたからだ。

 

 そのために、欧米諸国に合わせて、様々な物事が変えられていく。

 そして、それらを広めるための新しい法律や命令も、次々に生まれた。


 その1つが、明治35年(1902)の暮れに出た「年齢計算ニ関スル法律」というわけだ。


「数え年はやめだ! これからは日本も満年齢でいきます !! 」


 そうして、公的には数え年が廃止され、新たに満年齢が使われるようになった。



……のだが、これに民間がついてこなかった。


 慣れ親しんだ数え年を、引き続き民間で使い続けた結果、ある問題が起きた。



 第2次世界大戦(さきのたいせん)中の、配給制(はいきゅうせい)の不正である。



 ◇


 戦時中、日本は国際的に孤立していた。連合国から経済制裁を受ける立場だったという。

 そして、「山がちな島国」というお国柄ゆえに、物資の不足、特に食糧不足が深刻化しつつあった。


 その対策として配給制が取られ、なるべく多くの物資が、全国民に届くように……ならなかった。


「配っても配っても足りねぇ! ってか配るものが()ぇ……」


という状況で、不正は行われた。



 本来、満年齢で決まるはずの配給量を、数え年で決めていたのである。



 結果、たとえば生後数か月の赤ちゃんが「2歳」扱いにされ、キャラメルを支給される……などといった事態が起きた。

 赤ちゃんに必要なのはミルクである。キャラメルを貰っても、歯がないので食べられない……のだが、黙殺されたようだ。


 もちろん、これだけが原因ではないが……餓死する赤ちゃんが相次いだのは、言うまでもないだろう。



 余談だが、この手の話が「戦争体験」とか「有事への備え」として話題になるのは(まれ)だ。不思議なことである。



 筆者の感想はさておき。

 この不正配給、戦争が終わっても続いたようで、ついに政府が動くことになる。

 そうして、昭和24年(1949)に出されたのが「年齢のとなえ方に関する法律」だ。

 終戦から3年半()ってようやく現れた、今回の主役である。


 内容は簡素(シンプル)だ。


「民間もちゃんと満年齢を使え」

「そうなるよう、公的機関は指導しろ」



 ◇


 それから70年あまりが経った現在、満年齢はすっかり定着している。

 数え年の出番は、節分に豆食べる時ぐらい……だが、今日びご家庭によるだろう。


 筆者も食べ忘れていた年がある。が、それで困ることはなかった。



 ありがたいことである――――



 お読みいただき、ありがとうございます m(_ _)m


 いつ頃になるか分かりませんが、こちらのエッセイは「次回更新をもって一旦完結」とする予定です。

 そんな次回も、まあマニアックな内容になりそうですが、引き続きよろしくお願いします!



【追記】一部加筆/修正しました

(2025/11/02)



――今回取り上げた(?)法律――


年齢計算ニ関スル法律

 (明治35年法律第50号)

 施行:明治35年(1902)12月22日

 状態:現行法

 主な内容:年齢の数え方について

 関連法令:民法、年齢のとなえ方に関する法律など



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ