【第4号】歳の取り方まで、法律で決めてんの!? 何で……(「年齢のとなえ方に関する法律」ほか)
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年齢のとなえ方に関する法律
(昭和24年法律第96号)
施行:昭和25年(1950)1月1日
状態:現行法(今も有効)
主な内容:年齢の数え方について
関連法令:民法、年齢計算ニ関スル法律など
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「こんなことまで法律で決めてるの !? 」
という物事が、世の中にはよくある。
年齢もその1つ、というのが今日のお話だ――
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今日9月15日は、「敬老の日」という祝日(※1)である。
これは早い話、“長生きのお年寄りをお祝いする日”として決められたものだ。
おめでとうございます!
※1 法改正により、現在は“毎年9月の第3月曜日”となっている(2003年〜)
昭和22年(1947)、兵庫県のとある村で始まった行事が全国に広まり、約20年で国の祝日になったという。
が、一旦その話は置いておこう。
その人が何年生きているか、数えるのが年齢だ。そして日本には、この年齢の数え方についての法律がある。
それも1つじゃないんだそうで……。
「何で? そんなん2つも要るか ?? 」
結論から言えば、マジで必要だったらしい。
◇
何でそうなるのか?
実は日本の場合、「昔と今では年齢の数え方が違うから」なんだそうで。
現代日本では、誕生日に1つ歳を取る“満年齢”(※2)が一般的だ。
だが、今から80年ほど前までは違った。
もう1つの年齢、毎年1月1日に1つ歳を取る“数え年”(※3)が存在したのだ。
※2 厳密には“生まれた時点で「満0歳」とし、毎年誕生日の前日終了間際に1つ歳を取る”数え方
4年に1度の“2月29日生まれ”の人も、毎年歳を取る
※3 こちらも厳密には“生まれた時点で「数え1歳」とし、毎年1月1日に1つ歳を取る”数え方
満年齢と数え年は、最大で2歳ズレる
その証拠となる、有名な短歌がある。
門松は 冥途の旅の 一里塚
めでたくもあり めでたくもなし
これは「一休さん」のモデルとして有名な禅僧:一休宗純の作品(※4)といわれている。今から600年ほど前の話だ。
ざっくり意訳、というか超訳すると、
「正月っていえばおめでたいけど、毎年毎年、自分の死に近づいてるんだぜ? ホントにめでたいか
?? 」
といった意味である。
正月早々、なんて事言いやがんだ爺……縁起でもねぇ…………
※4 諸説あり
後世、一部改変されたとも
◇
……まぁ、一休さんのありがた〜いお言葉はさておき。
そのくらい当たり前に定着していた数え年を見て、困った人たちがいる。
明治新政府のお役人たちだ。
2話ぶり2度目の登場となる彼らは、相変わらず
「違う、僕らは立派な文明国だ! だから対等に扱え !! 」
と、アピールしまくっていた。
当時の日本が、欧米の強国から「遅れた国」と見なされていたからだ。
そのために、欧米諸国に合わせて、様々な物事が変えられていく。
そして、それらを広めるための新しい法律や命令も、次々に生まれた。
その1つが、明治35年(1902)の暮れに出た「年齢計算ニ関スル法律」というわけだ。
「数え年はやめだ! これからは日本も満年齢でいきます !! 」
そうして、公的には数え年が廃止され、新たに満年齢が使われるようになった。
……のだが、これに民間がついてこなかった。
慣れ親しんだ数え年を、引き続き民間で使い続けた結果、ある問題が起きた。
第2次世界大戦中の、配給制の不正である。
◇
戦時中、日本は国際的に孤立していた。連合国から経済制裁を受ける立場だったという。
そして、「山がちな島国」というお国柄ゆえに、物資の不足、特に食糧不足が深刻化しつつあった。
その対策として配給制が取られ、なるべく多くの物資が、全国民に届くように……ならなかった。
「配っても配っても足りねぇ! ってか配るものが無ぇ……」
という状況で、不正は行われた。
本来、満年齢で決まるはずの配給量を、数え年で決めていたのである。
結果、たとえば生後数か月の赤ちゃんが「2歳」扱いにされ、キャラメルを支給される……などといった事態が起きた。
赤ちゃんに必要なのはミルクである。キャラメルを貰っても、歯がないので食べられない……のだが、黙殺されたようだ。
もちろん、これだけが原因ではないが……餓死する赤ちゃんが相次いだのは、言うまでもないだろう。
余談だが、この手の話が「戦争体験」とか「有事への備え」として話題になるのは稀だ。不思議なことである。
筆者の感想はさておき。
この不正配給、戦争が終わっても続いたようで、ついに政府が動くことになる。
そうして、昭和24年(1949)に出されたのが「年齢のとなえ方に関する法律」だ。
終戦から3年半経ってようやく現れた、今回の主役である。
内容は簡素だ。
「民間もちゃんと満年齢を使え」
「そうなるよう、公的機関は指導しろ」
◇
それから70年あまりが経った現在、満年齢はすっかり定着している。
数え年の出番は、節分に豆食べる時ぐらい……だが、今日びご家庭によるだろう。
筆者も食べ忘れていた年がある。が、それで困ることはなかった。
ありがたいことである――――
お読みいただき、ありがとうございます m(_ _)m
いつ頃になるか分かりませんが、こちらのエッセイは「次回更新をもって一旦完結」とする予定です。
そんな次回も、まあマニアックな内容になりそうですが、引き続きよろしくお願いします!
【追記】一部加筆/修正しました
(2025/11/02)
――今回取り上げた(?)法律――
年齢計算ニ関スル法律
(明治35年法律第50号)
施行:明治35年(1902)12月22日
状態:現行法
主な内容:年齢の数え方について
関連法令:民法、年齢のとなえ方に関する法律など




