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次の朝、しょうこが見つけた花冠と黒い角は、美しく、キラキラと光っていた。彼女は、その鮮やかに色づいた花冠と黒い角を見つめ、大切そうに手に取った。
それから、しょうこは、涙を堪えながら黒い角にねっとりと口づけをし、大好きな甘い匂いを胸いっぱい吸い込んだ。身体の芯が温まり、首の根っこがじわじわと気持ちよく痺れていく。
「私は、人間になり歓びを知ったというのに、まだ悪魔をやめることができないのね、ディエゴ...」
リオが現れ、しょうこの傍らに立った。
「これがあのディエゴの黒い角.....ゴムのように柔らかくなっていますね。だらしないことです。まさか、この花冠をあのディエゴが作ったのですか?」
しょうこは、甘い香りがする花冠を手にとり、ドキドキしながらうっとりと匂いを愉しみつつ微笑んだ。
「ええ、そうよ。彼は、意外と指使いが繊細で器用なのよ」
リオは、色気を放つしょうこに、苦笑しながら頷く。
「彼がこんなに手間をかけて何かを作るなんて。悪魔の角は、伝説の媚薬と言われています。珍品なので、きっと高く売れます。さぁ、僕にください」
リオは、意地悪く笑いながら、しょうこからディエゴの角を奪おうと、逃げるしょうこを追いかけ回す。
「いやよ!これは、私のものよ」
「何に使うのですか?まさか淫らなことに使うんじゃないでしょうね?!そんないやらしい!ついでに、切った爪も売り払いましょう!」
「リオ!口を慎みなさい!いやよ!やめなさい!」
「そんなにご執着とは、珍しいことです。妬いてなど、いませんからね!」
しょうこは、花冠と不思議な熱を残した黒い角を指で優しく撫でながら言った。
「ふふ、彼も変わりつつあるのかもしれないわ。それは、一つの奇跡。今度は、こちらが奇跡を起こす番ね。リオも待つ気になったかしら」
「まさか。ただ、どうやってこんなに美しい花冠を作ったのか、教えてもらいたいと思うだけですよ。悔しいですが」
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