表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋する魔女は星の精霊と暮らしながら悪魔を待つ  作者: 山本いちじく
悪魔ディエゴ
6/12

6

 次の朝、しょうこが見つけた花冠と黒い角は、美しく、キラキラと光っていた。彼女は、その鮮やかに色づいた花冠と黒い角を見つめ、大切そうに手に取った。

 それから、しょうこは、涙を堪えながら黒い角にねっとりと口づけをし、大好きな甘い匂いを胸いっぱい吸い込んだ。身体の芯が温まり、首の根っこがじわじわと気持ちよく痺れていく。


「私は、人間になり歓びを知ったというのに、まだ悪魔をやめることができないのね、ディエゴ...」


 リオが現れ、しょうこの傍らに立った。


「これがあのディエゴの黒い角.....ゴムのように柔らかくなっていますね。だらしないことです。まさか、この花冠をあのディエゴが作ったのですか?」


 しょうこは、甘い香りがする花冠を手にとり、ドキドキしながらうっとりと匂いを愉しみつつ微笑んだ。


「ええ、そうよ。彼は、意外と指使いが繊細で器用なのよ」


 リオは、色気を放つしょうこに、苦笑しながら頷く。


「彼がこんなに手間をかけて何かを作るなんて。悪魔の角は、伝説の媚薬と言われています。珍品なので、きっと高く売れます。さぁ、僕にください」


 リオは、意地悪く笑いながら、しょうこからディエゴの角を奪おうと、逃げるしょうこを追いかけ回す。


「いやよ!これは、私のものよ」


「何に使うのですか?まさか淫らなことに使うんじゃないでしょうね?!そんないやらしい!ついでに、切った爪も売り払いましょう!」


「リオ!口を慎みなさい!いやよ!やめなさい!」


「そんなにご執着とは、珍しいことです。妬いてなど、いませんからね!」


 しょうこは、花冠と不思議な熱を残した黒い角を指で優しく撫でながら言った。


「ふふ、彼も変わりつつあるのかもしれないわ。それは、一つの奇跡。今度は、こちらが奇跡を起こす番ね。リオも待つ気になったかしら」


「まさか。ただ、どうやってこんなに美しい花冠を作ったのか、教えてもらいたいと思うだけですよ。悔しいですが」

お読みいただき、ありがとうございます。

いいね、ブックマークいただけたら、励みになります。

明日、続編を更新いたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ