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恋する魔女は星の精霊と暮らしながら悪魔を待つ  作者: 山本いちじく
悪魔ディエゴ
2/12

2

「……だが、お前が思っているように、指図は受けない。俺はディエゴ。人間など簡単に地獄に堕とせる悪魔だぞ!」


 ディエゴは、殺意さえ持って、恐怖と絶望を与える禍々しい霧を全身から爆発したように噴き出した。彼の足元は漆黒に染められる。近くの草木は枯れ果て、木陰の野うさぎは、肉が急速に腐り白骨になった。

 しょうこの唇が微かに揺れ、そして、なぜか黒い霧を弾く彼女は、ふふっと優しく笑うと、ディエゴの額に自分の乳白色の額を押し付けた。

 それから、黒い霧が噴き出る彼の両方の肩に優しく触れ、流れるように両手の平を掴んだ。

 みるみるうちに悪魔の放つ黒い霧は、消え去り、静まっていき、温かい光に変わっていった。


「それは大変楽しみにしています。私は、しょうこ。ただの人間です」


 ディエゴは、一つも汚れることがない彼女の微笑に驚き、瞬きをした。その微笑みには何か、彼の心を惹きつける不思議な魅力があった。

 彼女の驚くほど脆弱な白くて温かい手が触れたその瞬間、ディエゴの心身は、平和で穏やかなオーラで満たされてしまった。

 彼女の気の強さ、彼女の誇り、そして、説明できない気持ち。それら全てが、彼を深く惹きつけていた。


「……試しに聞いてやろう。何をさせようというのだ?」


 しょうこは、ニコリと笑ってディエゴを見つめた。


「まずは、あなたが投げた巨石を元の場所にお片付けすることから始めましょう。もちろん、火山の噴火を止めて、焼け広がる森の火も消すのよ。天変地異を鎮めてちょうだい。私は、強い力もないし、魔法も使いません」


 ディエゴは、しょうこの言葉に苦笑した。彼女の心の強さに感心したディエゴは、彼女の要求を引き受けてやることにした。


「分かった。だが、その代わりに……」


 ディエゴは、少し躊躇った後、しょうこに向かって言った。


「その代わりに、お前は今夜、俺と一緒に夕食を食べるんだ。そして、そのあとで、お前をめくるめく淫欲の底なし沼に堕落させてやる」


 しょうこは、驚いた表情を浮かべたが、その後すぐに彼女の顔には、クスリとした笑みが広がった。


「図々しいことですね。しかし、いいでしょう。ディエゴ、夕食を食べることは、許します」

お読みいただき、ありがとうございます。

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明日、続編を更新いたします。

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