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出会い

俺は今、放課後の教室で同じクラスの福本海里(ふくもとかいり)と一緒にクラスの片付けをしている。

この福本さんとは付き合ってるとか、特に仲が良いというわけではない。かといって仲が悪いというわけでもなく、必要なら話すといった普通のクラスメートの関係だ。

そんなクラスメートと何故放課後に一緒に作業しているのかと言うと、先週俺が風邪で休んでいるうちにいろいろと決まってしまったらしい。

まあ居ないうちに決まってしまったものは仕方ない。やるべきことをやるだけだ。

けど、放課後に女子と二人きりで作業するのは意識していない子とは言え、少しドキドキしてしまう。


「日下くんは何の部活入ってるの?」


福本さんは積極的に自分からはあまり喋らず、話しかければ話してくれる内気で大人しい子だという印象を俺は持っている。だから意外だった。まさか彼女から話しかけて来てくれるとは。俺が休んでる間にキャラ変したのか?それとも俺の印象は彼女の小さな一面に過ぎなかったのだろうか。


「陸上部だよ。福本さんは?何の部活入ってるの?」


「製菓部。」


彼女は少し頬を赤く染めて恥ずかしそうにいう。

製菓部とは料理部と違ってお菓子をメインに作る部だ。

意外だ。失礼かもしれないがてっきり帰宅部かと思っていた。


「へぇ~お菓子作るの好きなんだ。」


「はい!大好き」

顔をぐいっと近付けてきて、強調するかのように言う


「すいません。」


自分の反応が恥ずかしかったのか、彼女は先ほどよりも頬を赤くしている。俺から目をそらすようにうつ向き、ホウキを掃く。


「り、陸上部といえば、あの細川くんいるよね。」


「ああ、居るよ。海人と知り合いなの?」


「ぜんぜん、全然。カッコいいなって遠くから眺めたことがあるぐらいだよ。」


遠くから眺めるって、それって芸能人とか見たときに言うやつだよね。まあ確かにアイツはイケメンで陸上部のエースでかなりモテる。

しかしまさかこんな内気な子にまで人気があるとは、アイツすげぇな。


そうこうしているうちに、先生から依頼された作業が終わった。


「ふぅ。これでおしまい。他は先生何も言ってなかったよね?」


俺の問いに彼女はコクりと頷く。


「じゃあ俺部活行くわ。福本さんは今日部活どうするの?」


「アタシも今から行こうかな」


「そっか。今度良かったらお菓子食べさせてね。じゃあまた明日、お疲れ~」


俺は軽く手を振って部活へと向かった。

グランドに向かうと練習は既に始まっていて、今日は走る練習が中心なのか、高跳びや走り幅跳び、砲丸投げの用意はされていなかった。


「おせぇぞー」


海人が遠くからこっちに駆け寄ってくる。

細川海人(ほそかわかいと)

陸上部のキャプテンにして、イケメンで人気者。少しクールな一面もあるが、基本的には良いやつ。


「クラスの雑用させられてたんだよ。長距離チームは?」


「お前の指示通り外周してるよ。」 


「了解。すぐ合流するわ」


俺たちの部活は顧問の先生があまり陸上に詳しい先生ではない。その為、たまに見に来ても練習にはあまり口をださない。なので基本的に練習メニューは短距離はキャプテンである海人が、長距離は俺が男女両方に指示を出している。別に俺らも詳しいわけではないので、日夜勉強している。



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