ハトまみれ
公園でハトを見るたび、思い出すよ。
幼い日の思い出。
あれは、まだ僕が保育園だったときのことだ。
あの時代は、公園でハトのえさが売っていてね。
確か、カップいっぱい50円だったかな。
ただのポップコーンだと思うんだけどさ。
ハトにえさをあげたかった僕は、一つ、買ったんだよ。
カップから、一粒一粒、投げてね。
ハトが寄ってくるのを、本当に楽しく、うれしく、嬉々としてえさを配っていたんだ。
カップの中身が空になって悲しくてねえ。
えさ屋さんの前で、立って、見ていたんだよ。
公園の閉園時間が近づいてね。
ハトえさのお店も閉める準備をし始めたんだ。
また明日、かーちゃんに買ってもらおうと思ってみてたらさ。
はとのえさが入ってる、でっかいカーゴが、ひっくり返ったんだよ!!!
動かすときに、失敗したんだな多分。
今みたいにさ、個包装とかないんだよ、当時って。
でっかいふたつきカーゴの中に、えさがわんさか入ってて、それをカップに一杯すくって渡すタイプだったんだよ!!
ものすごい量のえさがさ、めっちゃこぼれちゃってさあ。
どうなるんだろうと思ってたら、一瞬、空が暗くなったんだよ!!!
えって思って、見上げようとしたらさ!
ものすごいハトの群れがぐわああああああああ!!!って飛んで来たんだよ!!!
僕ハトに押しつぶされちゃってさあ!!
ハトってめっちゃ熱いんだぜ?!
ハトって、めっちゃ重いんだぜ?!
後にも先にも、あんなひどい目に合ったことがないよ!!!
あははははは!!!!
無邪気に笑う旦那が食べているのは、小鳩のロースト。
・・・そんなトラウマになるような体験しておきながら、ハトを食べちゃうこの人っていったい。
そんな旦那を見て、食欲がなくなっちゃう、私って、いったい。