第5話 海で遊ぶ
ちょっと長くなりました。
ゼハスチャンに目に魔法を集めると何が見えるか聞いてみたが、特に何も見えないらしい。この前は魔力を目に集めすぎていたから全ての原子が見えていたようで、見たいものを見ながら目に魔力を軽く集めると、その物体の化学式が表示ていた。
だからなんだという話だが、案外、この世の物質は前世の物質と変わらないみたいだ。
「レオ〜遊ぼ〜」
「いいよ〜何する?」
「海にいこ〜」
「お、おう」
サルマール家にはプライベートビーチがあるらしい。
執事のセバスチャンとともに、海へ向かった。
海で遊ぶといっても二歳児が泳げるわけもないので、砂浜で砂のお城を作っていた。
「レオ〜見て〜カニさん捕まえたよ〜」
「ほんとだ〜」
「あっちの岩場に色々あるからいって見よ〜」
砂のお城がもう少しで完成だったが、リーナと岩場に行くことにした。
フジツボや、カニなどなど生き物がいた。
小さい子はこういうのを見るだけでも楽しいものだ。
「レオ海の水って美味しいのかな?」
「やめといたほうがいいよ、、」
「何で?」
「塩がたくさん入っているからだよ。」
「塩味がして美味しそう。」
そう言いながらリーナは海の水を飲んだ。
「ゴホッ、ゴホッ」
言わんこっちゃない
俺は背中をさすりながらセバスに水を持ってくるように頼んだ。
「レオ様、水です」
早っ!とりあえずそれをリーナに飲ましてやった。
「ありがとう」
そうこうしているうちに昼となっていた。
「ご飯食べに帰ろうか。」
「うん。」
俺が作っていた城は荒城と化していた。
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家に帰り、水浴びをして、潮を落とした後、俺たちは昼食を食べていた。
「お前たち、今日は楽しかったか?」
「「はい‼︎」」
「それは良かった。そういえば今日の午後、お前たちの能力を測りに鑑定士がやってくるからいい子にするんだぞ!」
「「はーい」」
「どんな結果が出るか楽しみだね。」
「そうだね」
「お父さん今日海の水を飲んだらものすごく喉が痛かったんだけどなんで?」
「お前もやったのか、なんでかわからないけど痛いよな〜」
「お父さんもやったんだ〜」
まぁこんな原子の概念も時代に浸透圧とかの概念はないよな〜
「そういえばレオくんなんであの時止めてくれたの?」
「海には塩が含まれてるのは知ってるよね?」
「うん」
「どのくらいの割合で入ってるか知ってる?」
「割合?」
「全体が100だとしてどのくらいかってこと。」
「ものすごいしょっぱいから80くらい?」
死ぬわ!
「ちょっと多すぎると思うけど今から見てみよう。」
「どうやって?」
ちょうど俺は海水の水を取ってきていた。
「セバスはかりはある?」
「はい、こちらになります。」
早っ!あと懐かしい上皿天秤だ。
「ちょうどここに取ってきた海の水があるから、今から測ってみようか。」
「なんか面白そう。」
「まず容器の重さを測ろっか。」
・
・
・
塩の濃度は2.0%くらいだった恐らく前世の世界ほど星が出来てから年月を経ていないんだろう
「思ったより少ないね、もっと高いのかと思った。」
「けどねリーナ、海ってものすごく広いでしょ?」
「うん」
「この広い海の2.0%が塩だと考えたらすごい量だと思わない?」
「う、うん」
よくわかっていなさそうだ。
「この世界の海がこの家の敷地の約10000個分以上だと考えるとするよ?」
実際にどうかはわからないが、恐らくもっとあるだろう。
「ものすごく広いね。」
「深さがこの家の5個分だとしよう。するとこの敷地の50000個分の水が海にはあるんだ。」
「よくわかんない。」
たしかまだ足し算も知らない二歳児が掛け算なんてできないわな。
「とにかくものすごい量の水だということだよ。」
「なるほど〜」
「その中に塩が2.0%あるってことはこの敷地1250個分の塩があるってことだよ」
「すごい量だね、お父さん。」
「ああ、そうだな」
「それでなぜ喉が痛いのかの説明の続きをしよう」
「塩の量が多いからじゃないの?」
「海全体で見たらそうかもしれないけど僕たちが一口飲む量の塩なんてごくわずがだよ」
「確かに。じゃあなんで?」
「ここで一つ質問するね。」
「うん。」
「ここにコップがあります。このコップにもしなんの力もかからなかったら一億年後どうなってると思う。」
「レオよ何も力がかからないならそのまんまじゃないのか?」
「私もそう思う。」
「恐らく、塵になってるかな?」
「なんで?」
「すべてのものは周りとの差を嫌って周りと同じ状態になろうとするからなんだよ。」
「どういうこと?」
「例えば熱い水がここにあるとする、ここに冷たい水を入れたらどうなる?」
「ぬるい水になる。」
「正解、じゃあこの塩が入った水と同じ濃度の水を作るためにはどうすればいい?」
「同じ量の塩を入れる。」
「そうだね。でも、塩の量がわからない時は?」
「う〜ん」
「水とその塩の入った水を混ぜればいいんじゃないか?」
「さすがお義父さん!混ぜればいいんだよ。」
「なるほど〜」
「僕たち人間の中にある液体の濃度はこの海水に比べてものすごく薄いんだ。」
「へ〜。でもなんでそれが喉が痛くなることにつながるの?」
「それはね、人の体の膜が水に溶けた食塩は通しにくくて、ただの水は自由に通るからだよ。」
「なんで?」
流石に全く予備知識のない子にイオンやチャネルなどのことを教えるのはしんどい
「それはちょっと今のリーナには難しいからもっと勉強したら教えてあげるよ〜」
「もうっ、私だって勉強頑張ってるもん!読み書きならできるんだから。」
「まぁまぁ、リーナ続きを聞こうじゃないか。」
「勉強に励んでいるリーナよ、次の問いに答えよ。」
「よかろうかかって来るが良い。」
「この膜で遮られた二つの液体の濃度を他のものを使わずに同じにするにはどうすれば良い?」
「うーん、、、、、、お父さんはどうすればいいかわかる?」
「うーん、俺も分からんぞ。」
「レオ、ヒント頂戴!」
「その膜は水だけを通すんだよ」
「あっ、そういうことか。」
お義父さんは分かったようだ
「全然わかんないよ!もう答え教えて」
「濃い方に体の中の水が流れていって同じ濃度になるんだよな、レオ。」
「そういうことです。」
「だから、喉が痛くなったのか!」
「そう、喉の水分がほとんど全部海水に取られちゃったんだよ。」
「水を飲んでるのに、のどが渇くなんて変だね。」
「それにしてもレオお前はどこでそんな知識を身につけたんだ?」
「えっと…」
前世の記憶ですとは言えない。厨二病かと勘違いされてしまう。
「レオ様はよく本をお読みになっていますので、それでではないでしょうか?」
ナイスだセバス!
「うん、その通りだよ。」
「勉強熱心で嬉しいぞ!」
そうこうしているうちに鑑定士が来たようだ。適性魔法が何か楽しみだ。
次回、ステータスがついに判明!
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