表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夏空  作者: 片岡徒之
7/31


「猿・人間・類人猿=✕


 類人猿 ≠ 中新世類人猿


 ヒトと猿との繋がりは、バナナに非ず」


…などなど。


 思うけど、ノートっていうのは、社会的なフリースペースで、時と場合によっては憩いの場にもなるんだ。でも我ながら類人猿について多くを語れるほど、畏まった技量も才能も、恐縮ですが、持ち合わせていないわけであり。


 かといってむざむざ類人猿を胸の中に押し込んで、頭のネジを引き締めるのは、何事も勉強不足の私には、少々難易度が高すぎる。


 だからノートの切れ端に、「バナナは文化の交流に非ず、猿と人間のセンチメンタルな距離の日常である。」と、おもしろおかしく遊んでやるのが私の中の精一杯で、猿がどうやって人間になれたのか、その歴史についてのジオラマを、これ以上キレイに磨いて差し上げても、ダーウィンはきっと、私に対して厳しい視線を向けることになるだろう。


 そのあかつきには、私は教科書いっぱいに顔をうずめて、類人猿たちがいた新世代沖積世へタイムリープし、腕組みをしながら熱い視線を送ってあげます。ついでに二足歩行は辛いから、どうせ人間に進化するなら、どうか四足歩行になってくださいというアドバイスを伝えるのも、忘れずに。


 二本の足で背すじをピンと張って歩かなくても、世界は広いんだって言うことを、少なくとも私は、ガラス越しの授業の下で机に向かって奔走しながら、狭苦しい教室の床を上履きの底で蹴り上げている。そういう日常の界隈にいます。


 ーーー社会的な窓口。学校。その授業の時間の横に鳴るチャイムと、鳴り止まない電話機の音の横で、忙しい日常に対応するコールセンターの美女。ヒトと夏と空の上空一万5000メートル。その真下に転がり落ちていく、巨大に重たい地球の自転。


 それがこの教室の、窓際の、カーテンコールの古めかしい風景画の一枚だとは、思いたくはない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ