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午後3時20分。目をこすりながら時計を見ると、チャイムが鳴って、今日の最後の授業が終わる。5限目は社会で、6限目は数学。今日の一日のスケジュールが折りたたまれた傘のように、スムーズに終わる。私は首を持ち上げるように机の上で身体を起こして、耳を澄ませる。その中で、たくさんの女子高生や男子高生が一同に行ったり来たり、廊下を走ったりして、爆発的に様々な音を学校中で反響させ始め、踊りだす。私はその音符をイヤホンもせず拾い集め、多彩な楽譜に乗せながら、小気味よく教室を出て階段に向かった。ようやく、家に帰れる!
時間的にそつがない昼と夜の狭間から、だだ下がりに人が階段を降下していく音を聞き、世界がまだこんなにも明るいことを知った。
まどろむ日の光の片隅で、背すじを伸ばして歩く人と人との影の衝突は、あまりにも眩しくて、ため息が出ちゃうくらいに瑞々しい。私もそれに続きながら、勢いよく教室を出て、階段を下り、下駄箱に投げた靴をひょいっと拾って、流れる人の往来の中を、走る走る。
なにが青春だ!なにが学業だ!
なにが宇宙で、なにがヒストリカルだ!
そんなことを歌う暇もなく、世界は動いている。私を乗せて、一人の女子高生と日常のタロットを乗せて、つつまじく回転しながら動いている。
校舎裏に伸びた一本の杉の木が、私の方を向いて睨んでいる。その影にひっそりとそびえる、高く澄んだ、放課後のサイレン。その杉の木の被写体と、サイレンの強烈な振動音が重なり合って、どこか寂しい時間の流れが、地面の先にひたひたと落ちる。お前はこれからどこに帰るんだって、うるさく説教するみたいに。
べつにどこに帰るかなんて、私は迷わないし、それが恍惚とくすぶり続ける、他愛のない楽譜や音符になって飛んでいっても、いいじゃないか。そんなことは、たいして気にすることじゃないはずなんだ。
高校一年生の夏と、カレンダーは、それはそれは早いようで、どこか鈍い音を持ち上げている。私はつま先を前にして、ぐんぐん前に進んでいこうとはするけど、踏み出した足の真っ直ぐな形が、ツルツルした廊下の上で、時にへんにブレーキをかけたり、階段の段差につまづいたり、憎らしく不器用な一面が、ごそっと突然入り交じるかのように侵入してきては、体が前のめりに倒れそうになる。
そのたびに私は足の指を折り曲げて、あれ、おかしいな、なんて言いながら、何度も何度も、地面の硬さを確かめるように力強く蹴る。ありったけの力を込めて、私の足のつま先から、にじみ出る感情の帯を見る。憂うつ。その歯切れの良いステップアップを歯ぐきの奥に噛みしめて、私は宙に浮かび上がった反重力の起点になり、しおらしくはにかむ様子が、見て取れる。まるで、ホラー雑誌の表紙を、本棚の一番目立つところに立たせて、部屋一色のぎこちないコントラストを、アテもなくさ迷いながら、作り上げているかのようだ。言いようもない不気味な加減が、しれっと私の背後に忍び寄る。




