詠唱が……少しエッチです。
なぜ!? この世界にはエッチな魔法しか存在しないんだ……!
をコンセプトに書いてみました。
詠唱が……少しエッチです。
詠唱を考えるのも楽しかったですね。
ここは私達の良く知る地球とは少し違う時を歩んできた。
暴対法とカジノ法の施行時期が逆転した世界。
カジノ法が早くに成立し、暴対法が後になる事で起こりうることは……任侠の徒、ヤクザが力を強大にしていき、利権争や抗争が激化する時代やってくる事を意味する。
利権争いによる抗争が多発、過去の抗争を上回る死者を出し暴対法が急ぎ施行された。
その間15年……余りにも遅い対応……。
流された血が余りにも多く、後に「血塗られた15年」と云わしめた。
◇ ◇ ◇ ◇
昭和最後の「仁侠の徒」が堕ちた!
数多の武勇を轟かせた「人切り柴田一刀」、後年は武闘派組織として名高い柴田組を興す。
だが、世の中はその家業を続けるには厳しい時代へと流れていった。
時代だろうか、旨味が全く無く、寂れる道を進んでいた柴田組のシマ。
武闘派と言う言葉も、昭和最後の「仁侠の徒」「人切り柴田一刀」も既に泡沫の夢、そのまま静かに幕を引き……天寿を全う出来るかに思われた……。
しかし、カジノ法案が全てを夢へと変えてしまったのだ。
本来は暴対法が先に施行される筈だったのだが、先送りにされた事で暴対法による抗争の減少、勢力の縮小が起きなかったのだ。
大国の思惑に踊らされカジノ法案は施行され、より強大な利権が数多発生してゆく。
それは、ヤクザ社会に黄金時代が到来したかのような錯覚を起こさせたのだ。
寂れる道を歩む筈の柴田組のシマへとカジノの誘致が決まり、一転して金鉱脈となってしまったのだ。
蜜に群がる蟻の如く、他の組織が手を伸ばし抗争に巻き込まれていく。
その様は、蟻地獄に嵌り抜け出せなくなった蟻の如く、もがきながら飲み込まれていった。
関東最大の広域指定暴力団「鬼襲会」に狙われ、柴田組、組長は無残に惨殺された。
傘下への誘いを断り続けた事への報復だが、警察は「事故」と処理したのだ……。
残された若頭 神威刃邪と子分達は、敵を討つため親父の残してくれた金を使い、大量の武器を手に入れ殴り込みを掛けるのだった。
「若頭! このまま突っ込みます! 」
「パッと死に花咲かせましょう!」
「そうっすよ! 関東最大だか知らね~けど、親~ぁ殺られて黙ってらんね~ぇすよ」
「兄貴、あの世でまた盃下さいよ! 約束ですぜ」
「すまねぇな、おまえ達!」
「おぉらぁ~!! 突っ込め~っ!!! 」
「「「「「へいっ!! 」」」」」
「鬼襲会が何ぼのモンじゃ~!!!」
携帯式のバズーカを門扉へと射ち放つ!
高機動多用途装輪車両で門を破壊しながら突破し5人は其々の獲物を敵へと解き放った!
銃座からM134ミニガンを乱れ射ち目の前に群がる敵を凪ぎ払う!
また、側面からはM249軽機関銃で掃射を行った。
ヤクザの持つ武器では歯が立つ訳がない、乱れ飛ぶ弾幕と閃光と轟音、手榴弾やマシンガンの掃射が続き阿鼻叫喚の地獄絵図となった。
彼らが使う車両や武器は米軍基地へ輸送中に盗まれた事になっていた!?
カジノの最大のノウハウを持つのはアメリカの某団体である、
「東洋の黄色いサルどもに蜂蜜菓子は勿体無い! 鉛のチョコレートがお似合いだ」
と遠くで誰かが嗤った。
くだらない政治家など、危機管理がなっていなどと騒ぐ連中も多いが、米軍駐留否定派には騒がせておけば良い!
どうせ騒ぐだけで何も出来ないのだから。
一見、押しているかに見える戦況は徐々に傾いていく、弾薬が残り少なくなり終焉の時間が近付いていた。
回りは屍の山、とは言え何処からともなく現れる増援に押されていく。
四方からの弾丸やダイナマイトの爆風に晒され、血塗れの五人はお互いを見合い、最後の時を覚悟した。
視界が閃光に包まれた? 戦いが唐突に終わり静寂と闇に包まれる……。
「嗚呼、終わった。 親っさん、敵の大将殺り損ねました 」
と、その時足元が光輝く。
次の瞬間、天からか? 声が降って来た!?
「お待ちしておりました、勇敢なる勇者様」
「はぁ~~~~!!? てめ~何モンだ~っ? 」
そう言うと、目の前に現れた怪しい格好をした男を床へ叩きつけ!
その額へとM134ミニガンを突きつけた!
「あわわわわっつ、 なっ、いきなり何を!? 」
「おい! てめーら、何だ? ここは何処だってっ聞いてんだよ~! 」
「おらぁっ! キリキリ吐けや~! 」
「おめぇらっ……ちょっと待てっ! 」
「「「「兄貴? 」」」」
神威刃邪はその気配に懐かしさを感じていた。
まさか…… そんな筈は!
……そんな筈は!?
刃邪の頬を一筋の涙が伝っていた……。
「まさか……お、おやっさん!? 」
見間違える筈はない、俺を拾ってくれた……その時と同じ笑顔で其処に立つのは。
「おう! おめーらも死んだのか? 」
「「「「「おめーらも? 」」」」」
「ちげーみたいだなあ……。 おう! 神官のねーちゃん、こいつらどうなってんだい? 」
『はい……その、何とかお亡くなりになる前に召還出来たようです。 間に合って良かったですねぇ 』
「親父? 柴田の親父ですよね……」
「おう! 刃邪と会った頃に若返ったが、俺だよ」
「「「「「「親父……!?」」」」」
「一体どうなって? 狐に化かされて? 」
「ちげーよ! 勇者娼館? だったか……
おう! アレだ綺麗なネーちゃんが「勇者さま凄い!」てやつだな! 」
「親父? 召還の間違いじゃ……」
「こまけー事は気にすんな、 兎に角、良い女が揃ってるからよ! 説明聞いたら着いて来い 」
「「「「「……はぁ?? 」」」」」
「おやっさん!? 」
「……はぁ!? モタモタすんなよっ!! 」
◇ ◇ ◇ ◇
親父は鬼襲会に殺された後、この世界へ「勇者召喚」と言う魔法で転生し呼び出されたそうだ。
だが、どういう訳か「勇ましい」方ではなく「遊び」の方の遊者で召還されたのは……いかにも親父らしい。
「人切り柴田一刀」は歓楽街では別の二つ名「性技の鬼神」と呼ばれる稀代のスケコマシであった。
「仁侠の徒」でありながら、姉さんに鍛えられた性技で次から次へと美女をものにし、貢がせること数十年。女で稼いだ莫大な資金を子分達に残したのだ。
刃邪達は召喚された際に、幾つかのお約束魔法を授かっていた。
手持ちの武器は「淫便利」……と言う保管魔法で、武器の出し入れから持ちモンのコピーと、何でも御座れのカチ込み仕様だったのは嬉しい誤算だ。
言語についても異世界言語から異世界口説文句まで網羅していた。
(……なんて世界だよっ)
この世界の諸々の説明を受け、夜の街へ繰り出したのは言うまでもない!
(……!)
その夜は「「「「「勇者さま凄い~! 」」」」」と、一晩中妖艶な叫び声が響き渡ったと伝えられ、後にその日は国民の祝日「性夜」と改められる……。
◇ ◇ ◇ ◇
目の前には、如何にもな雑魚共が、下卑笑いを顔に貼り付け欲望の侭に荒れ狂う盗賊たち。
その盗賊たちに向かって、女魔法師が詠唱を開始した!
「深淵に至る扉を開き、我の願いを聞き届けたまえ。 妖艶なる女神よ、その手淫をもって聖剣よそそり立て!! エクレチオン!」
詠唱と同時に、魔方陣が盗賊たちの足元に発現した。
攻撃された盗賊たちの顔には恍惚の表情が表れ、次の瞬間!
盗賊たち全員が……茹で上げた蛯の如く顔を真っ赤にし、前屈みになって股間を押え始める……!?
(姿勢まで蛯の様だな……)
「おい……なんてぇ~魔法を使いやがる! こんな魔法を使われちゃ……手も足もでねぇ~だろ……(マジで)」
「おやさん! 違うすっよ! 下の足なら使えそ~うすよっ! 」
「兄貴! すげー魔法すねっ! あれなら死人も立つんじゃね~すかっ? 」
もう一人の女魔法師もトドメの呪文を唱えた!
「天界への門を開き、我が祷りに応えよ。 汚れなき天使の指先で天国へ誘え ! スペルマ!! 」
前屈みに悶えるむさ苦しい男達は、ビクンと震えると恍惚な表情で地へ崩れ堕ちた!
辺りにはビクン!ビクン!とケツを震わせた盗賊達。
目を覆いたくなる景色に目眩がする……。
エクレチオンだスペルマだ……淫靡な魔法ばかりだなぁ。
この世界の勇者も魔法使いも……何考えてんだ!?
刃邪は魔法を紬ぐと、身体強化された鬼神のごとき素早さで、前屈みに悶える盗賊達を縛り上げて行く。
その素早き縄裁きは流石と言うほか無い! 伊達に「緊縛師」の称号を得てはいなかった。
召還された際に幾つかの称号やスキルを発現させたらしい。
神威刃邪は勇者・縛術師・聖性の魔法師……
(これは……地味に恥ずかしい……ぞっ)
聖性魔法に特化した称号を持ち、如何なる敵も昇天せしめる……。
指宿狂侍は暗殺者・指技を極める者……(これも恥ずかしいぞ……)
闇から闇へと姿を見せず、その指技により、如何なる敵も昇天せしめる。
御手洗透は隠者・視姦を極める者……(これは……言葉が……)
影に潜み決して姿を見せず、邪眼と御手により如何なる敵も悶絶せしめる。
百舌震司 は魔法師・按摩を極めし者……(こんな……者ばかりだ!)
振動系魔法に特化し舌技や指技、ナニと振動を加える云わば性感の伝動師。
亀頭蛇雄 は召喚師・亀神と蛇神を召喚せし者……(これは……普通かな? )
召喚魔法師、亀神と蛇神を召喚か降霊魔術を使い自身へと降ろす事で、亀と蛇を自在に操り如何なる敵も昇天せしめる。……(やはり………こいつもだった)
ちなみに、「人切り柴田一刀」は遊者・性技の鬼神・四八マスター……
遊びに特化した称号持ちの他、性技・四十八の魔技の達人だった。
手始めの討伐遠征を無事にこなし、王都へと戻った刃邪達は魔族領へと進撃を開始するのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
後に神威刃邪は、魔王を嫁にし凱旋する事になる。
「あああぁ。 魔王様たら……刃邪様にメロメロですわね!」
「そっ! そう言うお前も……メロメロではないかっ! 」
それも、いつか語られる……かな?
恐らく、二話以降は無いと思います。
素敵な詠唱が思い浮かんだら……
書くかも知れませんが。