求心力の下がらないただひとつの兄
日刊4位、週刊21位……その上、アクセスが1日で8000越え……本当に自分が書いた小説なのでしょうか……!
どうも、俺です。
ピンチです。
何がどうピンチかというと、妹がイジメられているという事実が発覚してしまったことによって俺の右腕に封印されていた悪魔的なサムシングが解き放たれそうになっているのです。
まぁ冗談はおいておいて、今日、妹がスリッパで帰ってきた。
朝、俺と二人乗りしているところを目撃した学校の同級生がおそらく犯人だろうとのこと。
「私、全然気にしてないよ?」
若干焦ったような顔をしながらも小首を傾げる夏希だが。
「そうだな――とりあえずちょっと学校行ってくるな」
「待っておにーちゃん! なんで包丁握りしめてるの!」
「裁きを与えるというか捌くためだよ」
「物理的にっ!?」
何が気に入らなかったのか、夏希がひしっと俺に抱きついてくる。
柔らか温かくて超気持ちいい。
っていかんいかん。このぬくもりを害そうとするゴミを滅ぼしに行かないと……。
「おにーちゃん、話聞いて!」
どうしても俺に介入して欲しくないらしく、夏希が真剣な顔で俺を見つめていた。
「私ね、ちょっとおにーちゃんにお願いがあるの」
「なんでも言ってくれ。命に代えても成し遂げてみせよう」
「命に代えないでよっ! ってそうじゃなくて」
夏希は俺から包丁を取り上げつつ言葉を続ける。
「来週、学校で授業参観があるんだけど――」
俺は夏希の提案に、即座に乗ることにした。
っていうか完全に役得ですよぐふふふふふ。
翌日。
俺はちょっと早起きして徒歩で通学していた。
隣にいるのはマイスイートシスター。
もちろん恋人繋ぎで手を繋いでいる。
そう。
夏希の提案とは、授業参観までの間俺とイチャイチャしていじめっ子を煽りまくり、授業参観でザマァをするということだ。
我が妹ながら末恐ろしい。
クレバーすぎて可愛いぜ……!
というわけで現在俺は夏希と恋人プレイをしながら学校に向かっている。
マジで役得すぎる……!
「夏希」
「何? おに、……じゃなかった、暦くん」
「可愛いよ夏希」
「ちょ、おにーちゃんっ」
「暦くん、だろ?」
「そうだけどそうじゃなくて! なんで髪にちゅーするのよっ! 流石に恥ずかしい!」
「嫌だった?」
「嫌じゃない! じゃなくて! 嫌とか嫌じゃないとかそういう問題じゃなくて!」
内股でもじもじしながら、真っ赤な顔で怒る夏希。
ちなみに夏希と同じ学校の制服に身を包んでいる生徒達も内股になったり胸を抑えたりと普通じゃない興奮をしているのがわかる。
さすがにあおりすぎたか?
「……今日、学校休む」
道半ばにしてポツンと夏希がつぶやいた。
「なななななんで!? やっぱりイジメが辛いのか!?」
俺がイジメっ子を吊るしてやろうか!?
「もう無理っ……おにーちゃん、ホントに刺激強すぎだよ!」
「俺のせい!?」
「そうだよっ。なんなの!? 天然びっちなの!?」
ビッチ!?
男の俺が!?
「いや、ビッチじゃねぇし!」
「びっちだよ!」
夏希は錯乱しているのか、興奮した様子で怒鳴る。
「風呂上がりはぱんつ1丁だし寝起きは胸元ゆるゆるだしボディタッチとか全然嫌がらないし!」
夏希の言葉に、周囲にいた何人かが上を向いて鼻を抑える。
しかし興奮している夏希は気づいていないらしく、そのまま更に言葉を重ねた。
「ましてやおにーちゃんはあんな大っきなモノ持ってるのに形を強調するようなボクサーブリーフだし!」
その場にいた全員が鼻をつまんで上を向いた。
それどころか、ふらりと体を傾けて倒れる者までいた。
……あれ?
もしかして俺ってすっごい恥ずかしい秘密を暴露されてない?
その間にも夏希は興奮が収まらずに、ふんす、と鼻息荒く如何に俺がエロい雰囲気を醸し出しているかを語り続ける。
仕方ない……確かにこのまま学校に行かせるわけには行かないだろうな。
俺は夏希を引きずるようにして家へと戻った。
家に戻った夏希は小一時間部屋にこもったあとすっきりした表情でリビングに戻ってきた。
メチャクチャ甘い香りが漂っていたのでとりあえず風呂に入らせてから学校に欠席連絡を入れる。
髪を乾かした夏希がリビングに戻ってきたところで昼ごはんを作り始める。
ちなみに夏希はタンクトップにショーツのみという非常に俺の理性を試しているような格好だ。
夏希はこういう格好を平気でするくせに俺がやると怒るからなぁ……。
「おにーちゃん、お先ー。お昼ごはん何頼む?」
「頼まない。作るよ」
「えっ。おにーちゃんの手作り?!」
「嫌か?」
「嫌じゃないけど勿体なくて食べられないよ!」
「いや、食べてよ」
「でも、男の人の手料理だよ!? しかもおにーちゃんだよ!?」
いや、だから普通に食べてってば。
欲しければまた作ってあげるから。
といっても俺に作れるのなんてネギと卵だけのチャーハンとか、レトルトソースのパスタくらいなんだけどね。
「あーヤバい……おにーちゃんの手作りとかまた滾ってきちゃった」
夏希が滾ると俺も滾るんだよな。
主に音声的な意味で。
とりあえず夏希と俺との間で永久機関が完成してしまいそうだったので無理やりご飯を食べさせることにした。
「あーもー……明日、学校の人たちになんて説明しよう」
「いいじゃん、『兄はシスコンなんです』ってはっきり言っちゃいなよ」
「いや、おにーちゃんが天然びっちだって知られちゃったらきっと家まで押しかけてくるよ……ああ最悪。何で道端であんなこと口走っちゃったんだろ」
「天然びっち言うなし。普通だし」
その後夕方まで話し合いを続け、なんとか俺はビッチではない方向で話をまとめることができた。
いや、だってビッチじゃないからね?
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