The Nightmare Side K
ハンターハンター連載再開しないかなー。
ちなみに好きなキャラはメンチです。分からない人は寿司握ってる辺りをチェック!
「うぉああ!?」
そんな悲鳴が聞こえてきたのはアウトレットモールの端。
おにーちゃんと私で買い物デートに来て、私がトイレに行った僅かな時間のことだった。
「おにーちゃんっ!?」
慌ててトイレから飛び出すと、そこには尻もちをついたおにーちゃんと、そのおにーちゃんを見下ろすようにして仁王立ちをしている――正確には開襟ワンピをがばっと開いている女。
――間違いない。変態だ。
私はその姿を認めると同時、滑るようにしておにーちゃんと変態との間に立ちふさがる。
「……小娘……アタシのご褒美タイムを邪魔するなら、容赦しないわよ?」
変質者はぺろりと舌なめずりをする。
と、同時にぶわりと不可視の力場が広がったのを感じる。
――間違いない。この女……能力者だ。
私も対抗すべく、普段から体内で練り上げていたエネルギーを体外へと放出する。
「……ふん。ただの小娘かと思ったら、アタシの同類か」
「一緒にしないで変態。おにーちゃんに汚物を見せつけた罪は万死に値する」
言うと同時に身を低く構え、そのまま強烈なタックルをかます。
まずはおにーちゃんからこいつを引き剥がす……!
が、しかし私の両肩が何かに掴まれてしまい、勢いを完全に殺される。
くっ! 不可視の力を物理エネルギーとして変換する能力か!
やっかいな!
「な、夏希っ!?」
「恐ろしく素早いタックル。私じゃなくちゃ見逃しちゃうね」
直後、強烈なミドルキックを叩き込まれて私の体は大きく吹き飛んだ。
「夏希! なっ!? 動けない!!!」
「だぁめ。アナタはアタシの獲物だもの」
おにーちゃんが慌てて私に駆け寄ろうとするけれども、不可視のエネルギーが渦巻くようにおにーちゃんを絡め取り、動くことができない。きっとエネルギーを巨大な手のように広げ、私の自由を奪って攻撃、その後におにーちゃんの自由を奪ったのだろう。
逃げて、と思うけれど同時に、無理だ、とも思う。
能力者は固有の能力を得る前提として、体内に巡らせたエネルギーを効率よく操作し、人間としてはありえない身体能力や反射神経を得るのだから。
私の、当たってほしくない予想通りおにーちゃんは動けない。
そんなおにーちゃんを猛禽のような目で射抜いた変態女は、脂っこい笑みを浮かべた。
ふぁさり、とはだけた開襟ワンピを脱ぎ落とす。
続いて濃紫のブラジャーのホックを外し……。
「……変ね」
ピタリ、と変態女がその手を止める。
「あの感触なら妹ちゃんの肋骨は何本か折ったはずなんだけれど」
そう言いながら、さっきまで私がいた方へと視線を向ける。
そう、さっきまで、だ。
「――どこに行ったのかし、ら……!」
「動くな」
すでに私は変態女の背後へと回っていた。
首に突きつけているのは手刀だが、能力者なら私の手刀に集まっているエネルギーが、人の首など容易く切り裂けるレベルなのは感じられるだろう。
「能力を使うと殺す。声を出しても殺す。わかったらゆっくり目を閉じろ……」
だらりと脂汗が女の頬を伝う。
「おにーちゃんを拘束してる能力も止めて、おとなしく自首するなら活かしておいてあげる」
ぶわり、とエネルギーの収束率を一気に上げる。
そう、それこそ並の能力者じゃあ絶対にかなわないと、一瞬で判断できるほどに。
先程までのエネルギーが薪を燃料にした、周囲の酸素を無差別に取り込んで燃え盛る炎だとすれば、今のエネルギーは金属すら容易に溶かし斬る高圧アセチレンガスのみを燃焼させた炎。
エネルギーの質が違うのだ。
「分かったらゆっくり目を開けて」
変質女が目を開けた時、既に私は女から離れ、いつの間にか気を失っていたおにーちゃんを優しく抱きしめていた。
私の放出したエネルギーが大きすぎて、きっとアテられちゃったんだろう。
――ごめんね。
さらさらの髪を撫でてあげながらも、こんな事態の元凶になった変質者を睨みつける。
すでに抵抗する気力なんてないらしく、変態女はへたり込んだまま、苦笑を浮かべてこっちを見ていた。
「……一つだけ聞かせて」
「なに?」
「アナタのその能力。並の訓練じゃ一生かかっても手に入らないはず。どうやったの……?」
なんだ、そんなこと。
「私にはおにーちゃんがいた。私を妹としてこの世に育んでくれたすべてに対して、感謝のオ○ニー。それを一日1万回繰り返しただけよ」
「いちまっ……?!」
「初めは一万回を終える前に日が暮れていた……しかし二年が過ぎる頃には、一時間を切っていたのよ」
おにーちゃんのことを思えばこそ、ね。
「今ではおにーちゃんのことを考えただけで自由自在にイケるまでになったわ!」
「!? そ、そんな馬鹿な!?」
変質者は驚愕に顔を歪めて私とおにーちゃんの顔を見る。
あ、おにーちゃんの寝顔を二度見した。後で目玉抉ろう。
「想像だけでイケるほど極めているとするならば、そうやって触れている今は――!?」
「ええ、当然」
大きくうなずき、
「イキ続けていて失神寸前、ょ……!」
***
「……頭、痛ぇ……」
なんだかよく思い出せないが、悪夢を見ていたような気がする。
ソファで寝てしまっていたらしく、身体がバキバキだ。おまけに変な汗を掻いている。
ベタベタして気持ち悪かったのでシャワー、と考えて身を起こす。
と。
「ん、んぅ……」
足元、ソファを背もたれのようにして夏希が眠っていた。しなやかな細い黒髪が首に貼り付いていて夏希も寝苦しそうにしていた。
起こさないようそっと抜け出すと、直接当たらないように位置を調整して扇風機を点けた。
あーでも夜寝られなくなると困るだろうし起こした方が良いのか?
悩みながら夏希の寝顔を眺めていたら、寝返りなのかもぞもぞ動いてソファに突っ伏した。
へにゃっと可愛い笑顔で寝ているのできっと良い夢見てるの――
「……群れたにおい……さいこう……」
ソッコー叩き起こした。
「○しを握る女の子」と「す○を握る女の子」ではどっちがエロくみえるだろうか……
悩ましいけれど「すしを○る女の子」も捨てがたい……!




