にくしょく世界へようこそ?
りかぽっち様よりステキなレビューをいただきました! ありがとうございました!
2日連続更新……!
が! 駄目ッ! 短いッ!!!
というわけでエコロジーな文字数でお送りします。やっぱり時代はエコだよね。
朝、目が覚めると違和感があった。
いや、別に朝立ちがどうこうとか夢精がどうこうとかそういう話じゃない。
コーヒーを淹れてテレビの電源を入れると、こんなニュースが聞こえてきたのだ。
「今朝、20代男性の下着を盗んだことを称え、34歳、自称会社員の女性を表彰し――」
「路地を歩いていた無防備な男性に性的暴行を加えなかったとして未成年女子を補導――」
「男性専用車両に立ち入らず、痴漢を働くことを拒否したとして逮捕しました――」
基本的に男性が被害に遭いそうな犯罪が犯罪として認知されず、むしろ強制するかのようなニュースがバンバン流れてきたのだ。
あ、この流れちょっと前に経験した気がするわ、とトーストを齧りながらコーヒーをすすると、妹の夏希が起きてきた。
「おにーちゃん、おはっ……ええッ!? なんでそんな格好してるの!?」
焦ったような夏希の声に己の姿を眺めてみる。
こないだ――あべこべな世界に来てから――夏希に怒られたからきちんと服を着ている。
「何か変か?」
「何か変かって……そんな服装じゃ痴漢されにくいでしょ!?」
「……お前、何言ってるんだ?」
「何って。おにーちゃん男の人だし、襲われないと」
なんだ『襲われないと』って。襲うって言葉をそんな使い方してるの聞いたことねぇぞ。
「襲うって……襲ったら犯罪だろ?」
「おにーちゃん、ホント変。確かに赤の他人とかだったら若干ハードル上がるけど、フツー襲うんだから犯罪なわけないでしょ」
「……その良い方だと、夏希はどうなんだ?」
ごくり、と思わずつばを飲み込むと、俺の視界から夏希の姿が消えた。
「襲っても良いの? 良いんだね? はい、許可貰いましたー! もう牛の牛乳絞るみたいなレベルで絞るから覚悟してね! 具体的には一日1リットル!」
「ちょっ、お前、いつの間に後ろに!?」
「さーて、脱ぎ脱ぎしましょうねー?」
「こ、こんなの夏希じゃない! 夏希はもっと恥ずかしがりでツンデレなんだよッ!」
背後から俺の服に手を入れようとする夏希は、そのセリフを聞くと同時に俺の目の前に現れた。
「恥ずかしがってツンデレれば良いのね!?」
言うが早いかパジャマの裾をぺろっと捲って下着をちらりと見せる。
「いやん恥ずかしい! 勘違いしないでよねおにーちゃんのために見せたんじゃないけどおにーちゃんが望むなら私は――もう我慢できねぇ!」
「展開早い! 早すぎてツンデレでも何でもなくてただのラリった人みたいになってるぞ!? そして俺のズボンを下ろすなー!!!」
「良いじゃん! 朝だし舐めるだけだよ?」
「良くない! っていうか女の子がそういうこと言うな!」
「大丈夫! ちゃんと練習したよ? バニ○バーとかきゅうりとかゴーヤで!」
「ゴーヤで!?」
「あとたけのこも使った!」
「ちょっとそこに座りなさい!」
腰に抱きついてくる夏希を剥がすと、正座させる。
「……おにーちゃん、何が不満なの?」
「何もかもだよ! まず一つ目! 朝から兄を襲わない!」
「……つまり夜ならOKってことね。焦らすなんてテクニシャン」
「違ぇよ! それからきゅうりはともかくゴーヤとたけのこは絶対間違ってる! 何の練習だよ!」
「ナニの練習だなんて……もう、えっち!」
「説教中くらいはしおらしく出来ねぇのか……あと、バ○ラバーで練習すんな! アイスはそういうものじゃありません!」
「え……でも流石にアイスを下に入れるのは怖ぶがっ」
女の子として耳を塞ぎたくなるようなセリフが飛び出してきたので思わずチョップで黙らせると、夏希は頭を両手で抱えてへたり込んだ。
「痛い……うう……ぐすっ」
マジかよオイ。
ついて行けないハイテンションのち直滑降で泣きべそとか正直ちょっと面倒くさくなってきた。
「ひぐっ……私は、わたしはぁ!」
「悪かった。俺が悪かったから泣くなよ」
「私は少しでもテクニック磨いて百戦錬磨っぽい雰囲気を出したかっただけなのに……!」
「うん。俺悪くないしまったく反省してねぇな」
ため息を一つ吐いて夏希の頭をわしわしと撫でてやる。
「とりあえず一つアドバイスをしておくと、『百戦錬磨』って感じも悪くないけど『うぶで慣れない』もかなりポイント高いと思うぞ」
「それって……」
「まぁ、馬鹿みたいな練習はやめとけ」
「オーケー。つまり本番をさせてくれるってことね?」
「どこをどう聞けばそうなる!?」
「私、国語の長文読解得意だもん! タエ子のセリフから心情読み取ったりするの得意だもん!」
タエ子誰だよ。
「良いから舐めさせて! そしてあわよくばそのままガッツリ最後まで!!」
そして史上最強の霊長類も真っ青なタックルをかまして来て――
***
「んぁ!?」
慌てて飛び起きる。
「……おにーちゃん、どうしたの?」
ここはソファの上。
思わず衣服が乱れていないか確認するけれど、そういうのは一切ない。
……夢、か?
「夏希」
「何?」
「ゴーヤとかたけのことか舐めたことあるか?」
「えー、何それ。あるわけないじゃん! 何かのおまじない?」
良かった、夢だ。
いや、しかし妙にリアルな夢だったな。
やっぱりこっちの世界の肉食系女子に晒されてちょっとストレス溜まってるのかな?
うーん……脳裏にこびりついて離れない。
もう少し確認したい。
「夏希。俺、恥ずかしがり屋でツンデレなのが好きなんだけど、ちょっと恥じらいつつ下着見せてくれないか?」
「……え?」
「こーちゃん……流石に責任も取らないでそういうのはお母さんオススメしないな」
「え、あ、違う、そうじゃなくて!」
いつの間にかソファの後ろにいた母さんがすっごいジト目で俺を睨んでいる。
夏希も顔を真赤にしているものの涙目で若干俺を睨んでいる気がする。
「ち、違うんだッ! 待って! 話せばわかる!」
「……犬養毅子?」
なんだ『いぬかいつよしこ』って。手抜きってレベルじゃねーぞ!?
俺があたふたしていると微妙に怒った母さんと夏希に両脇を固められた。
その後なんとか誤解を解いたものの、夏希には警戒されてしばらくの間、距離を置かれてしまった。
泣きたい。
というわけで夢落ちでした。
吉武は馬鹿みたいに長い夢を見ることがあって、目覚めた瞬間リアルかどうか分からず混乱することがあります。夢日記とかやったことないんだけどなぁ……
あ、でも短編として一つアウトプットしたわ。『消えたスピカの巡る先』って奴です。(チラッ
もし良かったら読んでみて下さい!(チラチラッ
ステマじゃないよ!
もっとオープンな何かだよ!
http://ncode.syosetu.com/n1812de/
というわけでオープンマーケティングでした。ちなみに下ネタとかないですり期待した人はごめんなさい。あ、夢のくだりは本当です。




