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飛んで火に入るドラゴン迷宮管理人  作者: みきもり拾二
◆第一章 ドラゴン迷宮管理人の愉悦
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【06】先天性精霊力者

「よし、第二段階に突入だ!」



 <第二段階> 空中に舞い上がり、炎弾や竜巻などを繰り出してくる。


 弱点でもある『竜心臓』が露出すると、さすがのドラゴンも本気を出し始める、といったところだろう。


 ほとんど宙を舞う状態になり、そこから『三連炎弾』を吐いたり、『炎の槍』を吐いたり、『竜巻』を繰り出してきたりする。

 竜巻自体には巻き込まれてもダメージは無いが、吹き飛ばされれば大きな隙になってしまう。

 炎弾や噛み付き、ひっかき攻撃の格好の餌食というわけだ。


 ようやく地上に降りてきても、「滑空突進→飛びつきジャンプスタンプ→飛びつきジャンプスタンプ→バックジャンプ竜巻→空中から三連炎弾」で再び空中に舞い上がってしまう。

 しかも第二段階では、滑空突進に隙ができなくなる。

 連続攻撃中に戦士系のガードスキルをフルバレットブーストで発動し、その動きを受け止める方法もあるが、他にも動きを止める方法があるので、ここでは使わずにおきたいところだ。


 その動きを止めるもう一つの方法というのが、『閃光目眩まし玉』だ。

 モロに閃光を食らってその視力が奪われると、さすがのドラゴンと言えど、宙に留まってはいられない。

 地面に降りて吠えるだけで、あまり攻撃してこないから、近づいてスキルを叩き込むチャンスにもなる。


 そしてどこかで必ず『昇竜大ブレス』を放ってくる。

 『昇竜嵐』という強風を巻き起こしながら空中に舞い上がり、宙から強大な炎を、360度グルリと撒き散らす大攻撃だ。


 雄叫びを上げながら首をグンと低くして、後ろ脚を踏ん張るモーションをした時がそれだ。


 だが、この準備モーションの最後に、大きな隙ができる。

 そこへ『麻痺バリスタ矢』を撃ちこめば、確実にヒットする。

 『昇竜大ブレス』もキャンセルできるから、ここはしっかり狙いたいところだ。

 上手く麻痺させられれば、フルバレットブーストの集中攻撃で大ダメージを与えるチャンスとなるのだ。



「来るぞ! また炎弾だ!」


 ビクトルが言い終わらない内に、宙に舞うドラゴンが「ボン、ボン、ボン」と、3つの炎弾を吐き出した。

 右、左、真ん中と必ず三発繰り出してくる。


「も〜! いい加減降りて来なさいよ!」


 僧侶娘が怒るのも無理は無い。

 さっきから空中に留まったまま、炎弾と竜巻を繰り返すばかりで、降りてくる気配がない。


「『閃光目眩まし玉』を使うしかないな! 叩き落としてやれ!」

「まっかせなさい!」


 僧侶娘は元気良く頷くと、腰に下げた『閃光目眩まし玉』を1つ掴む。

 そして、『閃光目眩まし玉』にナイフを突き立てながら、ドラゴンの正面へと走り出た。


「バカ! 正面に立つんじゃない!!」


 思わず、ビクトルも駆け出していた。


「これでも喰らいなさーーーい!!!」


 僧侶娘は「えいっ」とばかりにドラゴンに向かって『閃光目眩まし玉』を投げつけた。


 瞬間、ドラゴンがクルリと身を翻す!

 タイミングを外されて、ちょうどドラゴンが背を向けた時に、『閃光目眩まし玉』が「キヒイイィ!」と鳴いて「カッ」とまばゆい光が放たれた!


「うひゃっ」


 情けない声をあげて、僧侶娘が目を塞ぐ!

 正面に向き直ったドラゴンの口には、真っ赤な炎が渦巻いていた!!!


「危ない!!!」


 魔法使い娘の悲鳴!

 それを嘲笑うかのように、ドラゴンは僧侶娘めがけて「ボフッ」と炎を吐き出した!


 ────炎弾の強化版、『炎の槍』だ!!


 真一文字に伸びた炎が、僧侶娘に襲いかかる!!

 僧侶娘は視界を奪われ、床に倒れ伏すしか無い!


 と、その時!


 僧侶娘の前に、ビクトルが立ちはだかった!


「うおおおおおおおおおお!」


 咆哮とともに『炎の槍』を受け止める!

 そしてギュッと押しつぶすようにして、両腕をクロスさせた!


 ボシュウウウ!!


 熱風が弾け、炎が砕けて飛散する!


「ヒュー! この程度の火力で、俺が焼けるかよ、トカゲ野郎!」


 ビクトルを飲み込むかに見えた業火は、その胸元の服を焼き焦がしただけに終わっていた。

 勝ち誇るビクトルに、ドラゴンが怒りの咆哮をあげる。


「ゴガアアッ!!!」

「ヘイトルアー!!」


 横から長剣を振り上げる戦士娘に、ドラゴンがギロリと顔を向ける。

 背を一瞬丸めると、そのまま戦士娘へと滑空していった。


「今のうちに体勢を整えて!」

「おう!」


 戦士娘に向けてビッと親指を立てると、ビクトルは、僧侶娘の腕を取って立たせた。


「危なかったな。ドジ踏むなっつっただろ」

「……ちょ、ちょっとだけ間違えただけよ……!」


 目をシパシパさせてビクトルを見上げた僧侶娘が、驚いた表情になる。


「『ターコイズブルーの瞳光』……! あなた、『先天性精霊力者(グァルノイド)』だったのね!」


 先天性精霊力者(グァルノイド)がそのスキルを発揮する時、瞳がターコイズブルーの光を放つのだ。


「黙ってて悪かったな。俺は『炎耐性』の先天性精霊力者(グァルノイド)なんだ。こういう時以外、あまり使いドコロのないスキルだけどな」


 ウインクしてみせると、僧侶娘がはたと気がついた表情になる。


「べ、別にそんなことどうだっていいんだからね! は、放しなさいよ、バカ!」


 ブンと腕を振ってビクトルの腕から離れると、僧侶娘はトコトコと魔法使い娘の方へと走り寄っていった。


「や〜れやれ」


 首を横に振るビクトルの向こうで、ドラゴンが鬼気迫る勢いで戦士娘に襲いかかっている。


 滑空突進からのジャンピング右腕鉤爪攻撃を二度繰り出し、バックジャンプから羽ばたいて竜巻を巻き起こす。

 さらに宙で三連炎弾を吐き出し、距離を取ろうとする戦士娘に向かって、滑空突進を繰り出してくる。


 戦士娘は交わすのに精一杯、やはり反撃のチャンスはこれっぽっちも無い。

 それでも、三人とも、ちゃんと作戦が頭に入っているようだ。

 ドラゴンの攻撃を見据えながら、避けることに徹している。


「ゴガアアアッ!!」


 そうして何度目かの連続攻撃を繰り出していた時だった。

 突如、ドラゴンが怒りの形相に顔を歪め、憎しみに満ちた瞳を光らせると、ブルンと身をくねらせた。

 グッと肩を沈み込ませて、踏ん張るようにして後ろ脚に力を込めている。


 どうやらちょこまかと避け続ける戦士娘に、嫌気が差したようだ。


「よし、来るぞ! 昇竜大ブレスだ!!!」







来るぞー大ブレス! 炎耐性の先天性精霊力者ならへっちゃらそうだけどw


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