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飛んで火に入るドラゴン迷宮管理人  作者: みきもり拾二
◆第三章 ドラゴン迷宮管理人の破滅
48/68

【48】イフリート戦

「隼滑空砂塵斬りフルバレットブースト!!」


 ダッカドのマルカデミーガントレットがキランキランと煌めいて、その身体が宙を舞う。

 そして急滑降で、背後からイフリートの腰を斬りつけた!


 ザシュウッ!!


「グモオウッ!!」


 イフリートが()()るようにして膝をつく。

 燃え盛る業火が勢いを無くし、その口からは、黒い煙を吐き出し始めていた。


「よし! 次でトドメ、イケるぞ!」

「よっしゃあぁぁぁっ!! 剛弾カチ割り斬んん、フルバレットブゥゥストォォォォ!!!」


 両手斧を振りかぶったデクスターがヒュンと宙に飛ぶ。

 マルカデミーガントレットがキランキランと猛烈な光を放ち、デクスターの身体が白い光の軌跡を描いた!

 そしてイフリートの脳天に両手斧を叩きつける!


 ズダァァァン!!!!


「グホォウゥ……」


 一瞬、その身体を跳ね上げて、イフリートが力なく倒れこむ。

 炎は掻き消え、黒い消し炭が床に撒き散り、鎧が地面にガランゴロンと音を立てて転がった。


「うっしゃぁ! 1体完了だぜ!!」

「ひいいっ! ふああああっ!!」


 その向こうでは、アスタのヘイトルアーで釣り出されたイフリートが、ブンブンとハンマーを振り回しながらアスタに襲いかかっている。

 すでに冷気スライムコアの効果は薄れかけているようだ。


「は、早く来てくださぁぁ〜〜〜い」

「急いで向かいましょう!」

「うむ」

「おうよ!」


 奥のイフリートを倒した三人が、すぐさまもう1体へと走り出す。

 と、その時!


「ぐわあおおおうっ!!」


 いきなり横の壁がドバンと音を立てて穴が空いたかと思うと、唸り声を上げて────ロンフォードが飛び出してきた……。


「……何をやってるんだ、ロンさん?」

「ぐあわおおう、ぐわああおう。……もっと驚きたまえよ、つるピカヒゲもじゃくん」


 そんなロンフォードに構わず、ハインツとダッカドとデクスターがイフリートに向かって駆けて行く。


「なぁにやってるんですか、ロンさん! って、ちょっ! うわっとと!!」

「ふあーっはっはっはっ! アスタくんの慌てようと言ったら最高だ! ナイスリアクション、アスタくん! さすが私が見込んだだけはあるッ!!」


 アスタを指さし、腹を抱えて高笑う。

 あんなに離れた場所からわざわざリアクションするなんて……。

 アスタの涙ぐましい対応に、ビクトルは同情を禁じ得なかった。


「冗談はよしてくれ、ってさっきも言ったろ?」

「暇なんだよ! 仕方ないじゃないか!」

「……忙しいんじゃなかったか? こんなことに付き合ってられないくらいに」

「今は暇なのさ! キミたちがヘマをしてくれないからね!!……おおう、そうか!」


 いきなり、ロンフォードが何かに気づいたようにハッとした表情をする。

 そいて丸メガネに人差し指をあて、真剣な眼差しで何事か考え事をし始めた。


「急にどうした?」

「迷宮管理人ルートから次の部屋に先回りして、つるピカヒゲもじゃくんの知らない仕掛けを追加で施しておいたらどうだろう?」


 子供のように目をキラキラさせながら、ロンフォードが言い放つ。

 思わず、ビクトルは軽い頭痛に襲われていた。


 もしもロンフォードがここの迷宮管理人だったら……本科生たちは、たまったもんじゃなかっただろう……。


「セントライトアタック、フルバレットブースト!!」

「砂岩割裂斬フルバレットブースト!!」

「うらあぁっ!! 剛斧弾んん、フルバレットブースト!!」


 そうしているうち、早くも2体めのイフリートも口から黒煙を吐き出していた。


「いけ、デクスター!」

「ありがてえ! 剛斧チャージいい、フルバレットブースト!!」


 デクスターがマルカデミーガントレットをキランキランと煌めかせ、両手斧に白い光球をチャージしていく!


「グモオオォォッ!」


 唸り声を上げながら、イフリートがブルンとハンマーを大きく振るう!


「ヘイトルアー!」


 アスタがその瞳をターコイズブルーに煌めかせると、イフリートはアスタに向かってブンとハンマーを振り下ろした!


「うおおおおおっ! 喰っらえええええっっ!!!」


 その背後から、デクスターが打ち掛かる!

 全身全霊を込めて、白い光球ごと両手斧を叩きつけた!!


 ズドォォォンン!!!


「グモフゥゥ……」


 ユラリとイフリートの身体が揺れて、ズダァンと倒れ伏す。

 あとに残されたのは、黒い消し炭と鉄製の鎧。


「あっさりすぎる! あっさりすぎるよ! 比類なきこの私が、手を下すまでも無いッ!」


 ロンフォードが、まるで自分が倒したかのごとく、ドヤ顔でマントを翻す。

 そして腰に手を当て、高笑いを上げた。


「(自分じゃ何もしないくせに、いい気なもんだ……)」


 向こうでは、2体めを倒した4人が仲良く、武器を突き上げて勝どきの声を上げている。

 なかなかのチームワークだ。

 攻撃力も素晴らしい。

 ダッカドとデクスターも、十分に信頼できると言えそうだ。


 今の彼らなら、あの狂化ドラゴンにも太刀打ち出来るだろう────。

 素直にそう思えた。


「(あとは……サラの体調が元に戻ってくれれば……)」


 それだけが気がかりだった。



 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



「謎の部屋? ほう、それは面白そうだね!」


 ロンフォードの三匹の毒蜘蛛が天井から垂らした糸を掴んで、ダッカドが意外なぐらい身軽に移動する様子を眺めながら、ついでに次の部屋の話をしていた時だった。

 どうやら、ロンフォードが興味を持ったらしい。


 ────ドラゴン迷宮、第七の部屋『謎の間』。


 そこには2つの謎が用意されていて、それを解き明かすと、『リセット珠』を貰えるのだ。

 その『リセット珠』を第一〜第六の部屋のどこかで使用すると、その部屋がリセットされて、再度、モンスターが充填される。


 加えて、使用した部屋が正しければ、ガーゴイルロードが同時に現れる。

 ガーゴイルロードを倒せば、第七の部屋の宝箱を開ける鍵が手に入り、無事にクリアとなる。


 ちなみに、2つの謎は下記の通り。


 <謎1>嘘つきを暴き出せ


 3時のおやつに用意してあったアップルパイがなくなっている。

 容疑者は次の6人のガーゴイルだ。

 一人だけ嘘をついている。

 さて、アップルパイを食べたのは誰か?


 チェイン「わたしが見た時には、すでにアップルパイはなくなっていました」

 ポイズン「台所には行っていませんよ」

 オイル「わたしは庭にいましたが、他の誰とも出会っていません」

 ゴーレム「その時間、わたしがいつも寝ているのは皆知っているはずです」

 エルダー「ポイズンとチェインが、それぞれ一人で台所にいるところを見ました」

 フレイム「エルダーがウソをつくとは思えませんね」



 <謎2>嘘つきの名前を数字列で示せ


 嘘つきの名前を、次の数字列を組み合わせて示しなさい。


 「234」「166」「5」「016」「1444」

 「144」「5741」「141」「1」「17」「123」

 「14」「1321」「131」「87」「160」

 「873」「163」「56」「41」「171」

 「032」「3232」「320」「321」「424」


 ヒント:問=873、答=234




一致団結で一気にイフリートも攻略! 次は、謎を解かないとダメなようですよ……?

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