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第4話 プランは決まった!

ブックマークしてくださった方、本当にありがとうございます。

正直、驚いており、すごく嬉しいです。

燃料にして、少しでもはやく投稿できるようにしていきたいです。

 完全に浮かれていた。心底浮かれていた。だから普段心がけていることに気がつかないんだ。

 飛んできたお盆に乗ったティーカップセットを視界に捉えながら、慎は思考をフル回転させた。ティーカップセットを諦めるか否か・・・しかし、諦めても次にお茶菓子が飛んでくるのは目に見えている。お茶菓子は諦めても、このティーカップセット高いって爺さん言ってたもんな・・・たしかマイセンとか言ってたな・・・

 割って弁償なんてできねぇよ・・・さようなら・・・カガミン・・・さようなら俺の初恋・・・


 少し、左目に涙を溜まるのを感じながら、もうしょうがない。受け取ろう・・・

 そう覚悟を決め、飛んできた標的に集中する。


 標的に対し、人差し指と中指の二本を立て左手を突き出し、体を半身に(たい)を整える。二本の指が標的に触れた瞬間にほんの少しづつ力を加え軌道を変え、円運動させ速度を落としテーブルの上に誘導する。ティーカップから小さく美しい音色を奏でながら、テーブル上に置かれ作業を終了させる。

 そうこうしている内に、第二段のお茶菓子飛んできましたよ。今日は、乾物のお茶菓子のようだから、割れない程度に雑に受け取る。


 さすがに、ティーポットなどお湯のはいったものは飛んでこず、両手持ちのお盆の上に乗せて、爺さんがニコニコと微笑みながら運んできた。


 慎は、一息ついて恐る恐る鏡を視界に入れてみると、餌を求める鯉のように口を開けて(ほう)けていた。何事が起こったのかと、脳内処理を実行中のようなので、正気に戻るまでのわずかな時間までに、言い訳を考えよう。

 しかし、まぁやっぱりこうなるよね。普通こんな運び方なんてしないもんな。

 小さく溜め息をついて、背もたれに寄りかかり、爺さんがテーブルに来るのを待つことにした。


「どうした。今日は少しカップの音がいつもより激しかったの。心を落ち着かせないと、すべての動きが雑になってしまうぞ」

 と声をかけてきたのだが、鏡をみて小さくしまったという表情で、視線を空に向けていた。どうやら、爺さんも浮かれていたようだった。

 爺さんのこんな表情は珍しいので、思わず苦笑してしまった。どちらにせよ、終わったことだから、これからどうしようかを考えたほうが堅実だと、慎は考え始める。


 首を捻っていると、

「あの~、一体なにがおこったのですかねぇ・・・。見間違えでなければ、ティーカップが飛んできたように思えるんですが・・・」

 鏡さん、間違いではありません。まさしくその通りなのです。どうしようかと、慎は思案していると爺さんが


「お嬢さん、実はね私は慎に護身用に、武術というか武道みたいなものを幼い頃から叩き込んでいてね。今のは稽古・鍛錬の一環だと思ってもらえるとありがたい。ここに来る慎の友人は、いつも決まっているので当たり前の風景なんじゃが、初めてのお嬢さんを驚かせてしまってすまないね。」


 爺さんは、申し訳なさそうに説明をし始めた。嘘ではない、幼いころから男子たるもの弱きものを守らねばならない。それが、家族であれ友人であれ自分に関わったもので、困っているならば助けなければならないと爺さんが力説し、爺さんの隣では我が父もうんうんと腕を組みながら力強く同意していた。だが、助けを求められても、求められる力がなければ話しにならない。故に、幼いころから爺さんがなかば強制的に稽古をつけていたのだが、年齢を重ねる毎にこれは、ただの護身術じゃないんじゃないかと思うようになった。不思議に思った慎は、爺さんに尋ねたことがあったのだが、爺さんは一言で片づけた。今更何言ってるんじゃ?と・・・こんな過去は別の話しだ。


「あ~そうだったんですか。なにか事故があったと思ってしまったわけですよ。」

 どんな事故が起こると、お盆に乗ったティーカップセットが飛んでくるのかと心の中で突っ込みを入れる慎であったが、申し訳ないと席を立って爺さんと一緒に頭を下げている。


 鏡は両手を伸ばして、体の前で左右に振りながら

「いえいえ、驚いただけですから気になさらないでください。こんな経験まずできないから、面白かったです。遊園地なんかのアトラクションなんか目じゃなかったですよ。」

 最初は、戸惑いの表情だったが、その後破顔と表現するに相応しいほどの笑顔で慎にサムズアップしていた。


 あまりにすんなりと受け入れられたことで、無邪気で素直な女性(ひと)である事に、慎と爺さんは感嘆の声をあげてしまった。


「じゃ、時間ももったいないから、今日の計画と実行を!赤坂くん。」

 そうですね。と笑いながら答え、話しを進める。爺さんは、ニコニコと笑いながら、お茶を注いでいた。

 爺さんありがとうと心で感謝していると、爺さんと目があってお互い小さく頷きながら笑っていた。

 それに気づいた鏡は、なんの意思疎通してるんですかねぇ、それも修行ですか。と、軽くからかってくるのを聞いて、爺さんと二人で声をあげて笑ってしまった。


 相談をした結果、当てのないドライブで途中休憩しながら、気になるお店があったら入りましょうなんていう行き当たりばったりコースに決まった。

 ドライブか、爺さんの車はたしか軽トラとミニバンとセダンがあったな。軽トラ以外ならなんでもいいや。さすがに、軽トラでドライブは想像したくない。

 そう考えていると、爺さんが

「じゃ、驚かせたお詫びに(わし)の持っている車の中で、一番かっこいいの用意するから行っておいで。」

 悪戯っぽく笑いながら、言ってきた。

 爺さん、あんたまさか・・・この期に及んで・・・軽トラ出すんじゃないだろうなと怪訝にみていると、

「慎、安心しろ流石に軽トラで行って来いなんて言わんよ。」

 おぉう見透かされていた。じゃ、どちらの車貸してくれるんだろうと考えていると、


「ちょっと待っててくれんか。車持ってくるガソリンも満タンになってるが、もし減ったらガソリン券あるから入れといてくれりゃありがたいから頼むわ。」


「あっ、うんガソリン券使って入れていいんだ。ごめんね、ありがとう。ここで待ってたらいい?」


「そうじゃな、十分後くらいに家をでてすぐの広めの道路あるじゃろ。そこで待ってくれんか。」


 了解といいながら、少しの間鏡さんと二人だけで話しをすることになった。何度か連絡とかで話ししていたのに、鏡さんの年齢や学生なのかどうかなども知らなかったので、尋ねてみたところひとつ年上で大学二回生だということだ。しかも、神職につくために勉強しているのだという。出会った場所も神社だったので、思わず巫女姿の鏡さんを想像してしまった。

 そんな話しをしていると、十分を過ぎていたので、二人は慌てて指定場所に向かった。


指定場所には、爺さんが待っていたのだが・・・なんというか、そこにある車は側面から見て平べったいのだ。そう、ひらべったいの、ヒラメですか?カレイですか?いえ、車です。実際そこまで薄いわけではないのだが、俺の知っている車にこんな薄い車はない。いや、雑誌ではみたことはあるが、実物を見たことはないのだ。


「あ・・あの、おじい様・・・この車は一体なんなんでしょうか・・・。」

ニヤニヤと悪戯っぽく笑いながら、我が祖父はこう言い放った。


「ん?〇ンボルギーニのアヴェン〇ドールという車じゃ。いい車じゃ。見た目は最高!加速も最高!言うことなしじゃ!」

顔が埴輪状態の、慎と鏡であった。






今までの登場人物(作者の確認のため)

赤坂 慎:19歳 DT 大学1回生 謎の武術使い

男 鏡:20歳 神職目指す大学2回生 ナイスバデーのポニーテール

楠木(くすのき) 優希:19歳 慎の親友 モデル 調理専門学校生 

赤坂 左衛門(さえもん):慎の爺さん 謎の武術マスター 他にも謎色々


優希と爺さんの苗字と名前決めました。


皆様、読んでくれてありがとうございます。

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