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第3話 似非カフェ入店

登場人物

慎:男、身長185cm、DT


男 鏡(おのかがみ):女、ポニーテール、スタイル出るとこ出てる。興奮すると関西弁が混じる。


慎の爺さん:爺さんだから、男。お茶目さん。


 はい私は、慎といいます。今美女とデートという行為に、耽っています。

 えっ?そんなことどうでもいい?みなさんにはどうでもいいかもしれませんが、僕にはと~っても重要なことなのですよ。はい!そんなこんなで、デートですよ、このまま僕の彼女ですよ。いや、彼女になってください。お願いします・・・


 なんてこと考えてると、


「あの、どうしたのですか?なんか顔が怖いんですが、なにか体の調子がわるいのでしょうか・・・」


 と覗き込んでくる。美女がいた。慎が心の中でカガミンと呼んでいる、鏡さんだ。


「いやなんでもないですよ。ちょっと、懸案事項があったのを思い出したもんで。」

 平静を装い、回答しているが、不意に顔を近づけてくるのは、やめていただきたいものだ。なんせ、女性経験がないに等しい・・・いや実際なないんだけど、激しく動揺してしまうものなんです。勘違いしちゃうよ、俺。


「えっ大丈夫そうですか?ほんま都合悪いならゆうてくださいね?また後日に変更すればいいんですから。」


 大丈夫、大丈夫たいした事じゃないから、気にすることじゃないですよと、弁解しながら、優しい女性(ひと)だなぁ、なんて思っていた。また、ところどころで関西弁がはいっってくるのは、個人的にツボに()まっている。


 しかし、さっきから周囲の視線が痛いんだよなぁ・・・まぁわかるけど・・・

 カガミンは綺麗だもんなーと棒読みで、呟くそれに比べて俺は・・・なんて軽く鬱が入ってきた。

 そんな時に


「あの人、すごい綺麗ね~♪モデルさんかなぁ?歩き方もなんか、優雅って感じだね。」

「ほんとだ。隣にいる男の人も結構背も高いから、バランスいいよね。」


 なんて声が聞こえてきた。


 ん?なんだ?意外に肯定的なのか?と考えていると


「顔は、私としては可もなく不可もなくかなぁ、あの人惜しいよね!」

「そう?私は、そこそこいいと思うけどなぁ・・・」

 え~うそ~なんて声が聞こえてくる。


 まぁ、蔑まされるより全然好意的だから、モチベーションを上げていこうかと、気持ちを切り替えた。


 慎は、身長も百八十㎝を超えており、女性からみるとスマートで優しそうに見えるようで、中学生から大学一年生になった今に至るまで、何度か女性から告白と呼ばれるものや、周囲からあの()お前に気があるみたいだぜといったイベントはあったのだが、名前の字のごとく慎重すぎるがため女性からのアプローチ等を、被害妄想と言っていいほど疑うが故、彼女が出来たためしがない、仲のいい女友達はできるのに、彼女は何故かできない。これは、慎自身(いぶか)しがることであったが、優希曰く、チャンスを自身の持てる力全てで、潰しにいっている。とのことだ。俺には、さっぱりわからなかった。疑うことのなにが悪いのだろうなどと。


 だが、今回は違う自分自身の心が体が鏡さんに会うことや、考えるだけで小躍りするのだ。そうきっとこっれ~が、恋なんだ!愛なんだ!だが、事を急いては、仕損じるなんて言葉もあるから、慎重に事を進めなければ・・・あれ?これがだめなのか?


「もう少ししたら、うちの爺さんの似非カフェ兼自宅ですから。」

「私ね、お誘いの連絡きてから、どんなとこなんやろ~、なんてちょっといつもよりワクワクして今日が待ち遠しかったんよ。」


 彼女は屈託ない笑顔で、俺に笑顔を向けてくる。笑顔で、心が悩殺されました。

 そんなたいしたもんじゃないですよなんて、他愛もない話しをしていると、待ち合わせした市街地から、十五分程度歩いた住宅街のなかに爺さんの似非カフェに到着する。


 いつものように、爺さんの家の門をくぐる。昔からある家なので、門構えは結構しっかりしている。鏡さんは、へぇ~と感心しながら門をくぐる。門をくぐると、すぐに、庭があり、その中央に似非カフェが設置されている。


 だが、いつもとなんか雰囲気が違う。いつもはテーブルと椅子があるだけなのに、ガーデンパラソルが追加されていやがる!周囲の農作業用の機械はそのままなんだが・・・なんか嫌な予感しかしなくなってきた慎であった。


 そんな中、鏡は感心している様子だった。

「庭が広いと、なんでもできるねぇ~、農業用の機械か~あれってトラクターってやつだよね。なんか、木製テーブルと木製椅子が絶妙やわぁ~!うちこの場所結構好きかもしれへんわ。」

 と言いながら、パラソルを開いたり、閉じたりして楽しそうに笑っている。


 無邪気な人だな、微笑ましく見ていると、視界の端から影が一つ動いた。


「御嬢さん、いらっしゃい。気に入ってもらえたようだね。ありがとう。まずは、席についたらどうだい?」

 満面の笑みを見せながら、爺さんが出てきたのだが・・・・


「おい、じじい。」

 口は笑っているが、目が笑っていない慎が、静かに声をかける。


「なんじゃ、慎。はよう座らんか。一日は、あっという間に過ぎてしまうんじゃぞ。車も洗って、掃除もしといたぞ。プランが決まれば、いつでもでれるぞ!」

 そう言いながら、椅子を引き鏡さんを椅子にかけさせる。

 鏡さんは、ありがとうございますと言いながら、さっきのはしゃぎようをみられたのが恥ずかしいのか、恥ずかしそうに席に着いた。


「いや、座るけどさぁ。なんで、燕尾服なんて来てるんだよ!執事か、執事のつもりなんだな?」

「イエス。マイロード。セバスチャンとおよびください。」

 悪戯っぽく笑う爺さんの笑顔に、呆れてしまった。


 どうやら、爺さんは今か今かと服を着替えて、カメラを準備したりパラソルを準備したりして待っていたのだという。しかも、朝の六時から・・・俺たちの待ち合わせが、九時半だったので、約四時間テンションあげて待ちわびていたらしい。


「いや、まぁサプライズを用意したってのは、いいんだが、なんでカメラがいるんだ?何撮るつもりだったんだ?盗撮か?激写か?」

「失敬な!かわいい孫の初彼女になるかもしれん写真をほしいと思う。じじいの気持ちがわからんのか!」

「え・・・いやあのまだ彼女っていうわけじゃないですが・・・」

 尻すぼみに声が小さくなる。

「だから、なるかもしれんと言うとるのに、お前は何を先走っているんじゃ?」

 さっきと同じように悪戯っぽく笑われてしまい、

「あっ・・・」

 (ほとばし)る熱い思いが、先走りすぎたようだ。

 ギャーギャー騒がしく、爺さんとのやり取りをみていた、鏡はケラケラと笑っていた。


「さて、冗談はこれくらいにし、お茶を用意しよう。御嬢さんは紅茶でいいかな?ダージリンとアッサムとホワイトクリスマスというフレーバーティーがあるんじゃがどれにする?慎は、いつものでいいな?」

「ありがとうございます。ホワイトクリスマス置いてるんですか、お洒落ですね。じゃ、ホワイトクリスマスをお願いしていいですか?」

 畏まりましたと、鏡に一礼し、手際よくテーブルの準備をする爺さんだが、いつも思うこのテーブルを用意する時の佇まいが一番馴染んでいるようなような気がするのだ。農民なのになぁ・・・


「おい、慎?」

「あっと、うんいつもの、ダージリンでお願い。」

 にっこりと笑って爺さんに伝えると、笑顔で応えられて母屋に消えていった。


「なんか、風格のあるお爺さんで、かっこいいですね。」

 爺さんを褒められて、嬉しくなる。俺って爺ちゃん子なんだなとつくづく思う。


「いつもお茶目という言葉で、収まるくらいの悪戯をしてくるんですよ。まったく困ったもんですよ。」

 苦笑しながら、鏡さんと話しを始めることになった。

 また、爺さんは、相手が本当に嫌だと思われる前に、引いてくれるので爺さんに心底怒ったことはなかった。これって何気にすごい事だよなぁと最近感じるようになった。


「いいお爺さんですね。愛されてる証拠ですよ。」

 満面の笑みを慎に向けて、心のそこから羨ましいくらいですよ。というのが伝わってくる。

「ありがとうございます。で、この後ですがどうしましょうか。どこか行きたいところがあるようだったら、さっきも祖父が言っていたように、車を借りることができるので、ちょっとしたところにも行けますよ?」


「そうですね。お茶をいただきながら、決めましょうか。あてもなくドライブってのも、楽しそうですけどね。」

そんな話しをしていると、爺さんの声が母屋から聞こえてきた。


「お~い、慎よ。受け取ってくれ~。」


「はいよ。いつでもどうぞ~!」

いつものように爺さんとのやり取りだが、あっと思い出す。今日は優希じゃなくて、一緒にお茶してるのは鏡さんとだ。


「爺さん、ちょっと待ってくれ!」

慌てて爺さんを止めようとするが、既に遅かった。








お久しぶりです。だいぶ時間が開きました。これからも読んでいただけると嬉しいです。

ありがとうございます。

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