新人王宮警護官は緊張のロイヤルハニークッキー。
小豆色の王宮警護官の制服に身をつつんで国王陛下の警護にたつ日が来るとは思わなかったにゅ。
国王メリリノア陛下は女性でメルティウス殿下の母上様…グーレラーシャの黄竜と呼ばれる穏やか系美熟女ですみゅ。
「勤務変更を申し訳なかったですね。」
麗しい国王陛下が私とオプディア先輩を見て微笑んだ。
「光栄にございます。」
オプディア先輩が敬礼をしたので私も同じように敬礼した。
「あなたが、ファウルシュティヒ王宮警護官ですね。」
メリリノア陛下が私を見て言った。
「はい。」
オプディア先輩がもっときちんと答えろって言う目で見てる。
「なるほど…わが息子は可愛い系が好きなのですね。」
メリリノア陛下がニコニコしていった。
「可愛くありませんみゅ。」
ああ…口癖出たー国王陛下に!
オプディア先輩に足を踏まれた。
「あら、可愛い…女の子って良いですね、私は息子ばかりでつまらないですの…お母様ってよんでもらえると嬉しいです。」
国王陛下がものすごくはしゃいだ声でいった。
たしかに王子殿下が三人ほどいらっしゃるだけですみゅ。
し、しまったみゅー。
よろこばれましたにゅ。
「国王陛下、リンレシナ王宮警護官が戸惑っております。」
そばについていた秘書官が言った。
「そうですね、ではお茶の時間にゆっくりお話いたしましょうね。」
ニコニコ国王陛下はいって大型通信機を立ち上げた。
今の時代大型通信機で執務を行うらしい。
お母さんはともかくお父さんは絶対無理だみゅ。
私も得意ではないですみゅ。
小型通信機が精一杯ですみゅ。
「お前、後で礼儀作法読本を熟読しておけ。」
定位置の入り口近くの壁際に移動したとたんオプディア先輩ににらまれて小声で言われた。
「はい。」
うう、めんどくさいですみゅ。
あれは100ページはあるですみゅ。
静かに時間が過ぎていく。
本当は王宮警護官でもエリートの王族付き王宮警護官がつくから私達に普段は出番はない。
王族付き王宮警護官は葡萄色の制服で憧れです。
中庭の向こうの王太子殿下の執務室では葡萄色の制服のサリアノーレ王宮警護官がもう一人の王族付きの王宮警護官と警護しているはずですみゅ。
「母上様、入室してもよろしいですか?」
しばらくして中庭側のガラスの扉が開いた。
「メルティウス、もう終わったのですか?」
国王陛下が顔を上げた。
「リンレシナ嬢が来ていると聞いたのですぐに片付けました。」
麗しい王太子殿下が笑った。
後ろにサリアノーレ先輩とアスラウス先輩が葡萄色の制服でついてきている。
「では、おはいりなさい、ニノミ秘書官、お茶の準備をしてください。」
メリリノア陛下が手招きしていった。
メルティウス殿下は今日も美丈夫でお母さんが見たら小躍りしそうだみゅ。
「さあ、ファウルシュティヒ警護官とオプディア警護官もこちらへ。」
メリリノア陛下が手招きした。
「業務中ですので。」
オプディア先輩がきりっとした表情でいった。
そうだみゅ、業務中だみゅー。
「大丈夫ですよ、ゲルアシュアゼ警護官もグレアシード警護官もいますもの、おすわりなさい。」
ニコニコのなかにも威厳をもってメリリノア陛下が言った。
「…仰せのままに。」
不本意そうにオプディア先輩がしめされたソファーに腰かけた。
そうだよね、警護官として必要ないって言われてるようなものだしね。
「リンレシナ嬢はこちらへ。」
メルティウス殿下が座った膝の上を叩いた。
そ、それはないですみゅー。
「積極的ですね。」
メリリノア陛下がニコニコとニヤニヤの中間の笑みを浮かべた。
「リンレシナ嬢、私はそなたに求愛しているはずだ、こちらへ来てほしい。」
メルティウス殿下が色っぽい笑みを浮かべた。
ええ、困りますみゅ。
「…とりあえずどっか座ってください、ファウルシュティヒ警護官。」
ニノミ秘書官がそういいながらワゴンを押した王宮管理官をつれてきた。
「は、はい。」
私はとりあえずオプディア先輩の隣に腰をおろした。
「お前…男心がわかってない。」
ボソリとオプディア先輩がつぶやいた。
男心ってなにみゅ。
ふとメルティウス殿下を見るとオプディア先輩をにらんでる?
「そなたもライバルか?」
メルティウス殿下が言った。
「大もてなのですね、ファウルシュティヒ警護官。」
メリリノア陛下が笑った。
「私はファウルシュティヒ警護官にそういう感情はございません。」
オプディア先輩が冷静に答えた。
「そ、そんなことありませんみゅ!」
私がいったとたんオプディア先輩ににらまれた。
はい、きっちり読みますみゅ。
ハハハハと笑い声が上がった。
「そなたはよくわかってよい。」
メルティウス殿下が笑いながら言った。
「ええ?そんなことないですみゅ。」
ちゃんと無表情貫いてますみゅ。
「このバカ。」
オプディア先輩が小さくため息をついた。
「私はそなたを愛している、伴侶はそなたしかいない。」
メルティウス殿下が甘い笑みを浮かべて立ち上がった。
「メルティウス、頑張るのです。」
なぜかメリリノア陛下が応援した。
その間に国花ラーキャの花が透かし彫りになったお菓子皿にロイヤルハニークッキーが綺麗に盛られている。
お茶も美しいラーキャのほりのはいったグラスだみゅ。
「さあ、リンレシナ嬢…リンレシナ、おいで。」
甘くメルティウス殿下が私のてを握って手の甲にキスをした。
てを引かれたので立ち上がった。
「あ、あの。」
困るますみゅ。
そのまま抱き込まれた。
「私の胸の高まりがわかるか。」
メルティウス殿下が甘くささやくついでに耳たぶをアマガミされた。
うみゅーうみゅーうみゅー。
どうしたらいいんですかにゅ~。
「メルティウス、こちらに。」
嬉しそうにソファーのとなりをメリリノア陛下がしめした。
「リンレシナ。」
メルティウス殿下が甘くいってそのまま抱き上げようとした。
一瞬、カイレウスが浮かんだ。
「お止めください。」
私は力一杯突き放して逃げた。
王族付き王宮警護官が構えたのがわかった。
オプディア先輩も反応したのか立ち上がって構える。
わ、私捕まるのですかみゅー。
「おい、そりゃ不味いだろ。」
オプディア先輩がつぶやいた。
武器が抜かれそうですみゅ。
「ファウルシュティヒ王宮警護官、動くな。」
アスラウス先輩が拘束符をだした。
私、逮捕ですかみゅー。
三人の王宮警護官を出し抜くなんてできませんにゅ。
「やめよ、リンレシナ嬢は恥ずかしがりのだけだ、私が急ぎすぎた。」
メルティウス殿下が私のてを握ってメリリノア陛下隣に座らせた、ついでにメルティウス殿下も私の隣に座った。
王宮警護官三人はまだ警戒を解かない。
「このロイヤルハニークッキー美味しいですよ。」
メリリノア陛下が空気をなごませるように言った。
「食べてみるか、あーん?」
メルティウス殿下がお菓子皿からクッキーを持って…そのまま私のくちもとに持ってきた。
警戒を解かない先輩たちにおされて口を開けるとメルティウス殿下がクッキーを入れてくれた。
骨ばった男性の指先が唇に触れましたみゅ。
恥ずかしいですみゅ。
「美味しいみゅ。」
私は少し呆然としながら言った。
オプディア先輩が無言で眉をつり上げた。
「そうか、そなたら、警戒をとくがよい、リンレシナは私に危害は加えない。」
メルティウス殿下がそうに言って私のかたをだいた。
「かしこまりました。」
サリアノーレ先輩がそういってアスラウス先輩と定位置に戻る。
オプディア先輩もそのまま定位置にいった。
「本当にゆっくり口説けないですね、今度デートでもしたらどうですか?」
メリリノア陛下がにこにこと微笑んだ。
「…母上様、よい案ですね…リンレシナ嬢、デートをしよう。」
メルティウス殿下が甘く笑った。
「仕事に支障のないようにお願い致します。」
ニノミ秘書官がそういって国王陛下の机に書類をおいだ。
「もちろんだ。」
メルティウス殿下はもう一度クッキーを私のくちもとに運んだ。
私はクッキーをあーんされながら困惑していた。
みゅー、どうすればいいんですか?
メルティウス殿下の求愛なんて…デートなんて…。
絶対無理ですみゅー。
私、異世界ハーフの超庶民ですみゅー。
王太子殿下の伴侶様なんてなれませんみゅー。
それに…カイレウスがどうしても浮かぶのですかにゅー。