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先輩王宮警護官はバニラティーオレを流し込む。

なぜかまた別視点でごめんなさい(泣)

うかつすぎる後輩の面倒なんぞ見きれるかよ。

俺は勢い良く最近明正和次元から進出してきたクリーム・アウト・ドーナツのハニードーナツを噛み砕いた。


「落ち着け、オプディア。」

二フィロ主任が膝の上の娘の可愛らしいアスラティアちゃんにドーナツを渡した。

「そうなの、ピーお兄ちゃん、落ち着くの。」

アスラティアがドーナツを振り回した。

今日は王宮管理官の奥さんが出勤なので二フィロ主任は育児らしい。


子連れでごめんねと微笑まれた。

まあ、俺も強引にみゅーな後輩の件で相談したいって頼んだからな…。


「ピアセウスが先輩づらする姿が見られるとはな。」

くっと笑ったもう一人の同席はファモウラの戦場で傭業務中で久しぶりに帰国したパラセウス王弟殿下…通称『グーレラーシャのクラーケン』だ。


いくつも鉄球のついたポーラを操る高等暗士でいつもはファモウラにいるのだが俺も高等暗士で同じ教官に師事していた関係でなぜか可愛がられている。


話題のニューオープンのこのドーナツ屋に何故か一人でいて寂しいからと合流してきた。


朱金の麗しい髪と瞳の中年の色気たっぷりの麗しい男性が庶民的なドーナツ屋に居るのはある意味グーレラーシャは普通だ…うん、そういうことにしておかないと観光客の娘さんたちの視線にたえられねぇ。


ほ、ほらここそこに伴侶だの恋人だのを膝の上に抱きかかえたごっつい男どもがいるのがグーレラーシャの日常だからよ…きゃ〜筋肉って騒ぐなよ。


俺たちのテーブルにはだれも愛しいもの抱えてる奴がいねぇけどな…アスラティアちゃんは愛する子供枠だしな。


「パラセウス殿下…いえ、先輩、俺のうかつな後輩を何とかしてください〜!」

というかあなたのメルディウスでんかもどうにかして欲しいです。


俺はテーブルに突っ伏した。


「俺に求愛行動をグーレラーシャの男に二人も取られてる女性をなんとかしろだと…戦場に出たほうがましだ。」

パラセウス殿下もハニードーナツを噛み砕いた。

「もったいないの〜。」

幼年学校、三年生のアスラティアちゃんがペシペシパラセウス先輩の手を叩いた。

「アスラティア、もう一個食べるかい?」

二フィロ主任がドーナツをアスラティアちゃんに渡した。

「お前も子煩悩になったな。」

苦笑しながらパラセウス先輩がアスラティアちゃんの頭を撫でた。

「僕もいい年ですからね、パラセウス様は結婚なさらないのですか?」

二フィロ主任が愛しそうにアスラティアちゃんを見た。

「ああ、まあ、今、求愛行動中だ。」

ニヤリとしたその姿は妙に色っぽい。


おっさんに色気感じてどうする俺。


「で、いったい誰に求愛行動をとってるんです。」

明らかに話題をそちらに持っていこうと二フィロ主任が言った。

「明正和次元の守護戦士…。」

パラセウス先輩が言いかけたところでやっぱりと思った。


傭兵王弟殿下と守護戦士いい組み合わせだ。


「の護るべきもの認定の空間管理師だ、毎日、守護戦士とやりあってる。」

物凄く楽しそうにパラセウス先輩が笑った。

「求愛相手を理由に戦い楽しんでるだけなんじゃないですか?」

俺は半眼になってバニラティーオレをすすった。

砂糖をたしたほうがいいな。


「いや、俺はえせるが好きで好きでたまんないぞ、だけどな、空間術のせいで抱き上げることも出来やしねぇ。」

獰猛なクラーケンがまるで子犬みたいな情けない顔でココアオレに砂糖をザラザラ入れた。

「だったらこんなところにいないで求愛するの。」

アスラティアちゃんがハニークリームドーナツに、粉砂糖トッピングをふりまきながら持った手をふりまわした。

「そうですよ、甥っ子殿下に負けてますよ。」

二フィロ主任がナプキンでアスラティアちゃんの手を拭きながら微笑んだ。


相変わらずなにげに毒舌だ。


「ほっとけ。」

ムスッとしてパラセウス先輩がクリームたっぷりハニードーナツを口に含んだ。

「まあ、パラセウス先輩がこの際振られようがどうでもいいことです、あのみゅーな後輩がぁ。」

すんげーストレスなんですよ。

と小さく吐き出してバニラティーオレを飲み干した。

「まあ、あの子も仕事は頑張ってるんだけどね。」ドーナツ食べるアスラティアちゃんの頭を撫でながら二フィロ主任が遠い目をした。

「仕事中にしゃべるうかつさ。」

俺もちょっと遠い目をした、あれがなきゃ目をつけられなかったのに…。

「穿孔のリュディガーの娘さんだったか?あの人の娘ならうかつ街道まっしぐらでも信じられるぞ。」

あまりみゅーな後輩をしらないパラセウス先輩がため息をついた。


そんなに穿孔のリュディガーはうかつなのだろうか?


「うかつ街道まっしぐらなの?」

アスラティアちゃんが小首をかしげた。

お友達のおねえちゃんもうかつ街道まっしぐらなのってついでにいってた…だれだ?そんなこといいか?

「ともかくアイツが誰かの腕の中に収まらない限り俺の平穏無事はないんですよ。」

俺は額を抑えた。

「そうか、大変だな。」

中年色気親父は人事なの同調してくれた。


よっぽど守護戦士が手強いらしい。

あるいは求愛相手の空間管理師が手強い?


二人で深いため息をついた。

その様子を見て二フィロ主任が苦笑した。


「抱き上げる相手もいないのに先輩は大変だね。」

唯一のリア充の二フィロ主任がアスラティアちゃんを抱き上げたまま立ち上がった。


もっとドーナツ買ってこようと言ってるのが聞こえる。

お兄ちゃんたちはまだまだ話がまとまらないからねってなんですか主任。


「抱き上げる相手はいるが恥ずかしがりすぎて抱き上げさせてくれねぇんだよ。」

パラセウス先輩が負け惜しみじみたことを言った。

「俺だって面倒な後輩さえ片付けば。」

そう、あのみゅーな後輩さえどっちかとくっつけばおれだって可愛い彼女を抱き上げて…ってなんでサリアノーレ警護官をおもいうかべるんだ。


あの人はおれより優秀で綺麗で…まずい、あの人しか思い浮かばねぇ。


「と、ともかく何とかして平穏無事な王宮警護官生活を送るためにみゅーな後輩をなんとかしようと思います。」

俺は動揺を隠すためにバニラティーオレをのもうとしてないことに気がついた。


も、もういっぱいもらってしてこようとドリンクバーにたった。


「まあ、程々にしておけよ、王族は一度決めた求愛相手を諦めるってことを知らないからな。」

無責任にパラセウス先輩がヒラヒラ手をふった。


グーレラーシャの男全体が求愛相手を諦めるってことを知らないじゃないですか!


俺もいつかああなるのかなぁ…きちんと冷静に求愛行動取れ…ないんだろうな。


俺…誰がって高等王宮警護官のサリアノーレさんが浮かんだよ…わ~前途多難。


絶対に俺より強い気がしてきた。


ともかく、みゅーな後輩をなんとかして俺もバラ色求愛人生をおくるんだ。


た、たとえサリアノーレさんしか浮かばなくても…。


と、ともかく健全な男子としての生活のためにもみゅーな後輩を何とかするぞ。

そして求愛して俺も幸せになるんだ。


ドリンクバーでカップに再びバニラティーオレを注いた。

ついでにトッピングのハチミツと砂糖を入れた。


よーしこのバニラティーオレみたいに甘々な人生のために頑張るぞ〜。


ついでにもうちょっとドーナツ買おうかな。

甘さ控えめだけど美味しいしこんどサリアノーレさんに差し入れしよう。


そしていつか抱き上げてみせる。


本当に求愛行動中のグーレラーシャの男って半端ねぇな…ま、みゅーな後輩も頑張れ。


求愛行動だけはどうにもできないが仕事はなんとかサポートしてやるしかねぇか。


俺も新人の頃、散々フォローしてもらったからな…。


よーし、やるぞ!

駄文を読んでいただきありがとうございます。

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