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王太子殿下はハチミツ水で癒される。

久々ですみません(泣)

彼女が真剣な顔で部屋の扉に控えている。

麗しい黒髪がストイックなみつあみに結われてる。


ああ、今日も何て可愛いのだ。

私は癒される。


「メルティウス殿下、こちらの案件でございますが。」

ガナリス内務担当大臣が書類を出しながら怪訝そうな顔をした。

にやけてたのが見えたらしい。

「わかった。」

書類に目を向ける。

ファモウラ軍国で頻発している空間の歪みらしきものについてヒフィゼ傭兵ギルド管理担当官長から上奏が届いているらしい。


「空間の歪みであればミディポシオリ空歪国の空間師か明正和次元の空間管理師に依頼するしかないな…。」

私はどうするかと机に肘をついてゆびをくんだ。

「当代のガイウス・ヒフィゼ傭兵ギルド管理官長は明正和次元と縁が深うございますな。」

見事に見積もりされた空間管理師と空間師の比較をみてガナリス内務担当官長が感心した。

確か伴侶殿が明正和次元の一級守護戦士だったな。

「…傭兵は国の産業だからな…不安定要素のあるところに送るリスクを減らしたいのであろう。」

私はそういいながら書類にサインをした。


ヒフィゼか…。

カイレウスの牽制にファモウラの外交にでも連れ出すか?


カイレウスが行動を起こしたのは知っている。

だが乙女の羞恥心まで計算に入れてなかったようだな。


それにそろそろ私も戦場が恋しい。

愛しいリンレシナに私の背中を任せて戦場を駆け抜けたい。


「殿下、ファモウラに行かれるのでしたらそちらの書類とヌーツ帝国との外交を完了させてからにしてください。」

ジャスミナ・ヒフィゼ外務担当官長が入ってきた。

「外務担当官長、ヌーツ帝国は今少し不穏のようですな。」

ガナリス内務担当官長がヒフィゼ外務担当官長を見た。

「はい、ジェーアリーヌ皇女殿下がこちらに縁談に出されるくらいには。」

ヒフィゼ外務担当官長が微笑んだ。


ジェーアリーヌ皇女は本来皇帝になると言う情報だった。

オーヨの血をひくジェーアリーヌ皇女はふさわしくないと議会の妖怪変化ヨウカイヘンゲどもが騒いだらしいな。


たしかにジェーアリーヌ皇女の母親の皇后陛下は元オーヨの王族の孫だ…だがわがグーレラーシャ傭兵国の血も引いておるのだぞ。


よっぽど喧嘩を売りたいらしいな。


ジェーアリーヌ皇女で無ければ誰が後を継ぐのだ。

皇帝夫妻は互いを尊重しあい愛し合っていて子供はジェーアリーヌ皇女とその弟ウルリオス皇子しかいないというのに…弟君も条件は同じだしな。


「ふ、ふふふ。」

私は笑っていたようだ。

「で、殿下?」

ガナリス内務担当官長がたじろいだ。


「殿下、ハチミツ水をお持ちいたしました。」

ニノミ秘書官が王宮管理官を連れて入ってきた。

薄い黄色のレモンが浮かび湯気があがったハチミツ水でみたされたラーキャの花の描かれた紅色のマグカップが音もなく置かれた。


四杯か…気がきくな。


「ファウルシュテヒ警護官、こちらへ。」

にこにこと外務担当官長が手招きした。

リンレシナが無表情を装いながらも怪訝そうにやってきた。


組んでるオプディア警護官もなにか言いたそうだな。


「ファウルシュテヒ、参りました。」

王宮警護官の敬礼をビシっとしてリンレシナが言った。


みゅーがないと寂しいな。


「貴方の父親の穿孔のリュデガー傭兵でしたね、ファモウラのことについて何か言っていませんでしたか?」

ヒフィゼ外務担当官長がソファーに座るように手で示して言った。

「ファモウラの戦場は混迷の様相だとしか聞いておりません。」

跪き我が愛しき乙女が答えた。

あくまでも王宮警護官の姿勢を崩さないつもりのようだ。

「そうか、ファウルシュテヒ警護官、ここに座るが良い。」

私は膝を叩いた。

「みゅー!?」

ファウルシュテヒ警護官が叫んで後ずさった。

オプディア警護官が顔を一瞬だけしかめたのがわかった。

「若いとは良きものですな。」

ガナリス内務担当官長があごひげをなでていった。

「そうですね、あらむりやりはダメですよ。」

ヒフィゼ外務担当官長がニコニコ手招いた、自分の隣に。


愛しき乙女は進退窮まってオプディアを見たあと決心したようにヒフィゼ外務担当官長の隣に座った。


私はさり気なく乙女の隣に席を移した。

リンレシナがビクっとなったのがわかった。


怯えているのか?

ただ単に無意識の反応か?


「ラーキャのハチミツ水でございます。」

冷めたマグカップを下げてあらたなマグカップが置かれた。

「ラーキャのはちみつですみゅ…。」

乙女が両手でマグカップを持ってうっとりとした顔をした。


ラーキャの花の蜜ごときでこの顔が見られるならばいくらでもじゅんびしよう。


あの可愛い唇に直接ハチミツ水を流し込みたい。

ハチミツより甘いだろう。


「殿下、ヌーツ帝国では皇帝陛下の姉上様の御子を世継ぎに押し上げる動きがあります。」

ヒフィゼ外務担当官長がハチミツ水を手に取り言った。

「なるほどファデアーラ皇姉殿下の御子をですか、ウルディオン皇帝陛下が皇太子時代からかの方こそ世継ぎにと言う話がありましたな。」

ガナリスがお茶菓子のハチミツ飴を掴んでガリガリたべた。


なるほど、あそこも一枚岩ではないらしい。


「まだ、ジェーアリーヌ皇女殿下は滞在中ですので帰国前に外交交流を。」

ヒフィゼ外務担当官長が微笑んだ。

「では、ファウルシュテヒ警護官にも覚悟していただかなくてはなりませんな。」

ガナリス内務担当官長が人の悪い笑みを浮かべた。

愛しき乙女がビクっとした。


「私とともにジェーアリーヌ皇女殿下の送別会に出てもらおう。」

私は愛しき乙女の手を握った。

「そ、そんな無理ですみゅ。」

乙女が怯えているのが妙に可愛くて抱きしめようと引き寄せようとした

「殿下、そろそろ仕事におもどりになってください。」

ヒフィゼ外務担当官長がさり気なく私と乙女のあいだにはいった。


「さようでございますな、ファウルシュテヒ警護官戻っていいですぞ。」

ガナリス内務担当官長が立ち上がった。

「は、はい。」

愛しき乙女がはなれて壁に戻っていく…。


なぜ、嬉しそうに戻るのだ。

私はそなたとはなれてこんなにもわびしさを感じているのに…。


隣で小声で注意している指導役の警護官ですらしっとを覚える。


私の片翼よ、どうかはなれないでほしい。

愛しき乙女のすべてを私はほしい。


もう狂っているのかもしれない。

だが、愛しきものを手に入れたグーレラーシャの男が最強で最凶なのはあたりまえのことなのだ。


リンレシナ、私はそなたを狂おしいほど熱愛している。


早くそなたを手に入れたい…逃げられるなどと思わぬが良い…。


私はもう一度愛しき乙女を熱い目でみて席をたった。


リンレシナ…私の伴侶はそなただけだ。

駄文を読んでいただきありがとうございます♥

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