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新人王宮警護官は夏色パフェで困る。

メ、メルディウス殿下とデートですみゅ。

どうしたらいいんですみゅ。


「メルディウス殿下とデートなんですって?」

寮の部屋でレースのフレンチスリーブの長衣を羽織ってるとサリアノーレ先輩が顔を出した。

葡萄色(エビイロ)の長衣ということは今日は勤務らしい。

「そうですみゅ、諦めてほしいですみゅ。」

私はハーフアップにした黒髪に猫のかんざしをさしながらいった。

「うーん、無理なんじゃない?私に護衛の任務がくだったし。」

ニコニコとサリアノーレ先輩がいった。


諦めないんですかみゅ…。


待ち合わせの王宮の正門脇通用口には庶民に紛れようと努力したらしい人物が待っていた。

三代前の国王ウェティウス陛下が伴侶リツ様を抱き上げたの肖像画にみいっている。


「さて、参ろうか愛しい乙女よ。」

私に気がつくとメルディウス殿下が振り替えりにっこりと微笑んで手を出した。


初夏らしい水色の長衣に紺の細身のズボンを合わせたメルディウス殿下は男の色気を放っていた。


「大丈夫ですみゅ。」

なんでいつも男性は手を握りたがるみゅ。

「デート何だそのくらいいいだろう?」

メルディウス殿下は私の手を優しくもって握った。


心がズキッとした…カイレウスの太いゴツゴツした感触を思い出した。

高等剣士のメルディウス殿下の手にも剣ダコは有ってたくましい。


「そなたは遠慮深すぎるな。」

メルディウス殿下がそういいながら私の手の甲に口付けた。


うみゅー、恥ずかしいですみゅー。



王都は今日もにぎやかだった。

そこをメルディウス殿下にエスコートされてサリアノーレ先輩に護衛されてってどんなお姫様ですみゅー。


「すまぬが王都警務中央支部によってもよいだろうか?」

メルディウス殿下が柔らかく微笑んだ。

「は、はい。」

緊張してどもってしまいましたみゅ。


王都警務中央支部は王都ラーキャの王宮を含んだ中央地区をメインに警護するいそがしい部署だ、そこそこの大きさの建物に海老茶色の制服を着た警務官が忙しそうに出入りしている。


「確かにその可能性はございます。」

王宮警務官中央支部長、サラリウス・ゲルアシュアゼが言った。

「やはりそうか…そなたもファモウラの戦場より異世界に飛ばされたのであったな。」

メルディウス殿下がそういいながら腕を組んだ。

今、警務官中央支部長室でソファーに座って話している。


最初はサラリウスおじさんも直立不動で対応しようとしていたけど、メルディウス殿下が腰かけるように促したので腰掛けたんだ。


娘のサリアノーレ先輩は勤務中なのでいつでも動けるように部屋の入り口に待機している。


サラリウス・ゲルアシュアゼおじさんはお父さんの傭兵学校時代の先輩で家族ぐるみで仲良くさせてもらっているんですみゅ。


「ナリディア・カザフが一番最近の行方不明者だ、やはりファモウラの戦場で消えている…ミディポシオリの空間師が今度調査をするようだ、傭兵ギルドに護衛依頼が来た。」

メルディウス殿下が優雅にお茶を口に含んだ。


ミディポシオリ空歪国(クウワイこく)は空間の歪みを管理する空間師が主な産業とする特殊な国だ。


「さようでございますか…仕事がなければオレがいきたいぜ、失礼いたしました。」

サラリウスおじさんが本性を出しそうになって言い繕った。


本来、サラリウスおじさんは傭兵ギルド所属する傭兵だったですみゅ。

異世界に飛ばされたとき警務士の東地区隊長やってた経歴が評価されて王都警務官中央支部長になったそうですみゅ。


「それは後進にまかせよ…異世界に落ちたときの状況をミディポシオリの空間師がききにくるかもしれぬ…協力を頼む。」

メルディウス殿下はそういって立ち上がった。

「かしこまりました。」

サラリウスおじさんが立ち上がって礼をした。

「では、参ろうか。」

メルディウス殿下が私の手を握った。


サラリウスおじさんが見てるのがわかった。

あー、あとでからかわれますみゅー。



道沿いの店舗に夏らしい色合いの商品がならんでいる。


メルディウス殿下の手を意識しないように目線をあげるとメルディウス殿下の水色の目が見えた。

「仕事に付き合わせて悪かった。」

甘い微笑みを浮かべてメルディウス殿下が言った。

「大変そうですみゅ。」

私は甘さに動揺しながらいった。

「そなたに癒してもらいたい。」

メルディウス殿下が微笑んで身を寄せてきたのでとっさに避ける。

「すみませんみゅ。」

なんで避けたんだろうにゅ…。

「まだ、心を許してもらえぬか?」

メルディウス殿下が寂しそうに言った。

「メルディウス殿下は…私のどこが気に入ったのですか?」

絶世の美女じゃないし…武力だってすごい訳じゃない。


高等弓士は持ってるけど…あくまでも平凡なレベルだよね。


「そなたといると楽しい、仕事が頑張れる気がする…曾祖父上様の伴侶リツ様のような存在だ。」

メルディウス殿下がそういいながら私を見つめたですみゅー。


三代前のウェティウス陛下の伴侶リツ様は異世界人でウェティウス陛下の治世を良いものに導いたといわれるかたですみゅ。

ウェティウス陛下は大変溺愛して片時もはなさなかったそうですみゅ。


「疲れないか?」

メルディウス殿下が言った。

「そこのカフェに入りませんか?」

メルディウス殿下が抱き上げたそうに腕を上げたのをみてみないふりをしていった。


最低な女ですみゅ。


小さなそのカフェは可愛い雑貨で飾られていてメルディウス殿下ににあわなかった。


「夏色パフェをお願いします。」

「お茶とハニータルトのセットを。」

店員がメルディウス殿下に見惚れたようで少し遅れてはいと答えて去っていった。


「私はあきらめないと言った。」

メルディウス殿下が待っている間に隣の席に移った。


グーレラーシャのカフェらしく求愛中に抱き上げたまま座れるように座面が広い。


「私は…。」

やっぱりカイレウスが気になりますみゅ。

あんなにデリカシーがないのに…。

「私にチャンスはないのか?」

メルディウス殿下が私をついに抱き寄せましたみゅ。

「あの…。」

ど、どうしたらいいですみゅー。


「夏色パフェでございます。」

トンとけいかいな音と共に涼やかなガラスのグラスがおかれた。


丸くくりぬいた西瓜(スイカ)と青い丸いゼリーが一番したの層、その上に砕いたラスクらしい黄色の層がかさなってうす緑と茶色のチョコミントのアイスグリームに生クリーム、黄色のマンゴーの角切りの上にソフトクリームとミントとハチミツソースがかかっている。


「きれいですみゅ。」

私はそちらに目をやった。

完璧に現実逃避ですみゅー。

メルディウス殿下がパフェにスプーンを入れた。

私のですみゅー。

「ん?何、恨みがましい目で見ておる、あーんせよ。」

メルディウス殿下が苦笑しながら思わず開けた私の口にアイスグリームの乗ったスプーンを入れた。

「冷たくて甘いですみゅー。」

ミントの香りがする。

メルディウス殿下に軽くき、キスされましたみゅ。

「うむ、甘さが足りぬな。」

メルディウス殿下が平然言いはなって運ばれてきたハニータルトをフォークで切って食べた。

「みゅー?!」

そのまま、またキスされる。

ハニータルトの味が広がる。

「そなたの口の方が甘いな。」

メルディウス殿下が笑った。


みゅー、カイレウス…。


「だから、ここのは甘すぎないんだって!」

勢いよく扉が開いて黒髪の美少女が入ってきた。

「いい加減国に帰ったらどうです、ジェア。」

同じような黒髪の身なりのいい若者がうんざりしながら言った。

「お姉さん!夏色パフェ三丁ね。」

元気よく美少女がいって若者の後ろからもう一人ついてきた若者にどつかれた。

「勝手すぎた、ジェア、オレはパンケーキがいい。」

どついた若者はそういってせきに足を組んで座った。

「エリオットは夏色パンケーキか、それも三丁~!」

美少女が指を三本たてていった。

「私はそんなにたべられませんよ、ジェア。」

最初の若者が言ったところでメルディウス殿下がわらいだした。


「失礼、ジェーアリーヌ皇女殿下、デートですか?」

笑いが収まらないメルディウス殿下が美少女に言った。

「メルディウス殿下の方こそデートでございますか?」

最初の若者が何か言おうとした美少女を目で制して言った。

「ピエスギア外交官、私は皇女殿下に聞いているのだが?」

やっぱり笑いが収まらないメルディウス殿下が言った。

「デートなんかじゃありませんよ!」

ジェーアリーヌ皇女殿下が叫んだ。

「お前…駆け引きを覚えろよ。」

エリオットと呼ばれた若者がジェーアリーヌ皇女殿下のこめかみをグリグリしながら言った。

痛い、降参とジェーアリーヌ皇女殿下がじたばたした。

「メルディウス殿下もデートでございますか?」

ピエスギア外交官が外交官らしい笑いをうかべて言った。

「ええ、見ての通り求愛中だ。」

メルディウス殿下が私を見ていった。

「ジェア、邪魔しないように帰りましょう?」

ピエスギア外交官が促した。


ええ、嫌だよとジェーアリーヌ皇女殿下が言ったところであちらに夏色パフェが届いた。


私の方の夏色パフェは完璧に溶けていた。


「……メルディウス殿下。」

サリアノーレ先輩がさりげなく近づいて言った。

「………問題でもあったか?」

メルディウス殿下が小声で聞いた。

「はい、王宮にお戻りを。」

サリアノーレ先輩が淡々と言った。

「そうか…リンレシナ、残念だがかえるとしよう。」

メルディウス殿下はあえて抱き上げようとせず私を優しく立たせた。


メルディウス殿下に優しくエスコートされながら想うのはカイレウスだなんて失礼ですみゅ。


「あの、私、メルディウス殿下に求愛をお受け出来ませんみゅ。」

私は真剣に言った。

「…私はあきらめない。」

静かにいってメルディウス殿下は私の手をしっかり握って王宮の方へあるきだした。


みゅー?みゅー!?


私、カイレウス・ヒフィゼがすきみたいですみゅ。

メルディウス殿下にきちんとわかってもらわないといけないですみゅ。


きちんと説得しないと三代前の国王伴侶リツ様みたいにほだされて流されますみゅ。


絶対に私はがんばりますみゅ。

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