第一四話 女子高生のお部屋
この話は、夕とゲームショップに行って、そのあと家に帰った後のお話である。
スフィアと合流した俺は、今日の当番はスフィアなので、夕御飯の買い物に付き合って家に帰るのだった、
ふと、あることに気付く、スフィアに部屋を与えてから、一度もスフィアの部屋には入ったことがないことに気がついた。前に掃除のため、愛の部屋にノックなしで入るとものすごく怒られてから出禁を食らっている。なので、部屋の掃除の時もスフィアや愛の部屋の中は掃除をしていなかった。一応、スフィアも女子高生なので愛の部屋みたいにかわいらしいぬいぐるみとかがたくさんあるのだろう、と思い、部屋に入らなかったのだが、今日の怪しい買い物の中身を見て、一回部屋を確認しておくべきだろうと決心した。
俺はスフィアの部屋の前に来て、ノックをした。
「スフィア? いるか?」
「なんでしょうか、マスター」
「一度、スフィアの部屋を見たいのだがいいか?」
「!? 理由を聞いてもいいですか?」
びっくりしたようにスフィアが尋ねる。
「今日のお前の買い物を見て、ちょっと気になってな」
「あーそのー……あれは、CDとか入ってたんですよ」
「じゃあ、あのはみ出してたポスターは?」
「あれはー……そう!アイドルのポスター」
「誰の?」
「えーと、誰でもいいじゃないですか!キャッ!」
そのとき、スフィアが短い悲鳴をあげて、鈍い音がした。
俺は思わず。扉を開けて助けようとした。そこには。
本棚には辞書、辞書、辞書と、辞書しかなく、床や開かれたクローゼットにはいろんな制服が並んでいた。警察官、消防士、ナース服、軍服、メイド服、執事服、果てにはコンパニオンの服まである。種類もいろいろあり、中にはかなり際どいのもあった。
そこの中央で、メイド服の超短いスカートを履こうとして転んだと見える。スフィアの姿があった。
「マスター……なんで入ってきたんですか?」
スフィアが転んだ姿勢のまま、不服そうに言う。
「それは、お前が心配だったからだろう、だけど、大事じゃなくてよかった」
俺がため息をつくと、スフィアはこっちをじっとみている。
「マスターありがとう」
スフィアは座り直すと、頬を染めてお礼を言った。
「お礼を言われるほどのことじゃないよ」
俺もすこし照れくさかった。
スフィアは立ち上がり、途中まで履いていたスカートをきちんと履いた。
「ばれたものは、仕方ありません。これが私の部屋です」
スフィアは開き直ったのか、短いスカートのメイド服で堂々としている
「なんで、辞書ばっかなんだ」
「知識を蓄えるのは重要なことです」
「辞書だけでそれをできるのは、おそらくスフィアだけだよ」
「そうなのですか?」
「普通は参考書とかそれの分らないところを辞書で調べるんだよ」
「参考書は無駄なことが多くて」
「普通の人はそれが必要なんだよ」
スフィアの記憶能力は凄まじいからな。
「で、このコスチュームはなんなんだ?」
「あ、これですか? もちろん、趣味です」
「そうか、まあ、人それぞれだからいいの……か?」
「もちろんですよ。そうだ、今から、いろいろな姿を見せますよ、着替えるので後ろ向いててください」
「あ、ああ」
俺は後ろを向いた。シュルシュルと衣擦れの音が直に聞こえ、思わず、どきり、としてしまった。
「衣擦れの音で興奮しますか? マ ス タ ―?」と、甘ったるい声をかけてくる。
「うるさい、黙れ」俺は何も聞こえないふりをしている。
「マスター 結構むっつりなんですね」スフィアが茶化してくる。
「分ったから、早く着換えろ」
「了解です。うんしょっと、いいですよ」
俺が振り向くとそこには、軍服を着た、スフィアが立っていた。
「どうです? 結構似合うでしょ?」
「あ、ああ、驚いた、かわいいじゃないか」
「マスター は軍服が好きっと……」
メモ帳に余計なことを書いたけど、気にしないことにする。
そのあと、着替えるたびに、衣擦れの音にドキドキしながら、ナース服、アニメのキャラクターの服、水着、メイド服三種類(どれも違う趣があった)などを着た。
「わかった。お前がコスプレが好きなのはわかったから」
「そうですか、最後に一番お気に入りのを着て、終わりにします」
俺は後ろを向いた。そして、脱ぐときの衣擦れの音はしたが着る時の衣擦れの音がしなかった。この時すでにいやな予感がしていた。
「いいですよ、マスター」
「服を着る音がしなかったが、まさか、裸とかそういうオチはいらないからな」
「まさか、そんな恥ずかしい格好できませんよ」
「ならよかった」
そう言って、前を向く。
胸とその女の子の大事な部分に丸い形のシールみたいなのが張られてる……ていうか、あのときの超超エロい水着だ!
「なんでお前はあの時の持ってるんだよ!」
「その、サブマスターに頼んで譲り受けました」
「その経緯はわかった、でもなんでおきにいりなんだよ!」
俺がジト目を送ると。
「いやん、そんな視線で見ないでぇ、体が熱くなるぅ」
恍惚な表情で体をくねくねさせて、悶えるスフィアだった。
俺は無言でその場から立ち去った。今のあいつには何を言っても無駄だと理解したからだ。
今日は改めて、スフィアが変態だということがわかる一日だった。




