表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/21

第一二話 たまにはお仕事もします。

テスト返しが終わり、部活も終わり、帰宅してご飯を食べ終わって、スフィアと家でテレビを見て過ごしていた。

「マスター、最近の漫才は滑るのがおもしろいんですか?」

「俺もよくわからないが、そうらしい、くだらない動きをして、すこしでもみんなに覚えてもらうためにしてるんじゃないかな」

「確かに、あのくねくねした動き、真似したくなりますね、やってみましょうか」

 そう言って、スフィアがとある芸人のくねくねした動きを真似した。

「……まあ、こう、舞台でやらないと面白くないんじゃないかな?」

「確かに一理ありますね」

 お笑いの番組に飽きたので、チャンネルを回すと健康法を教える。番組にした。

「この、手を上にやってくねくねしながら歩くの、さっきのと似てるな」

「さっきのは健康法だったのですか」

 スフィアが立ち上がって、手を上に伸ばしクロスさせ、くねくねし始める。

「これをしながら歩くとやせるらしい」

「!? それは実践しないといけませんね」

 さらに、くねくねする。

「だからと言って、通学中やるなよ」

「なぜですか?」

「恥ずかしいからだろ!」

 不思議そうに聞くに俺は突っ込む。

「恥ずかしいのがいいんじゃないですか!」

「そうか、でも、俺が嫌だからやめてくれ」

 俺は大きくため息を着いた。


 二三時になり愛も寝たようだ。スフィアは、さっきのやせる動きを廊下で、くねくね、とくり返している。不気味なのでやめて欲しい。

「さて、今日は金曜日だ、見回り行くぞ」

 そういうと、スフィアはピシッとした表情になり、部屋に着替えに行った。

「……で、なんで、いつも、ジャージにブルマなんだ?」

「え? これが正装ってネットに書いてありました」

「お前、わざとやってるだろう?」

「なんのことでしょうか?」

 冷汗を垂らす、スフィア。

「まあ、スフィアの能力は服装とか関係ないしいいか」

「さすが、マスター話がわかる」

 そんなことをいいつつ、杏の住んでいる。アパートの前に行くと既に杏が立っていた。やっぱり、夜に金髪のツインテールは目立つ。杏は春らしいピンクのワンピースに黒のカーディガンを着ている。

「遅いぞ、広兼」

 杏は俺を見つけると、つかつかと歩み寄ってきた。

「すまん、待ったか?」

「いや、あたしも今、出てきたばっかりだ」

「そっか、ならいいんだが」

「所で、スフィアはなんでそんな格好なんだ」

「マスター がこれを着ろって――」

「スフィアの趣味だ」

 顔を赤らめて嘘をつくスフィアの言葉を流して、俺が淡々と答えた。

「納得、じゃあ、行くか」

「おう!」

 そして、俺達は三人で見回りに行くのであった。


 学校、東にある公園、南にある小さな公園、神社、などいろいろと歩いて回る。

「今日も何もないですね」

 スフィアが退屈そうに言う。

「まあ、普通、何も起こらないもんなんだが、ん?」

 そのとき、前方のコンビニから覆面の男が走って出てきて、俺達を追い越した

「杏、中の人の安否を頼む、スフィアは俺と一緒に追うぞ!」

「はいよ!」「了解」

 俺はそう、指示を出すと。杏はコンビニへ、俺はその男を追っかける。

 男は俺達の足が予想以上に速いことを悟ったのか、振り返りナイフを構えた。

「お前ら、追ってくるんじゃねぇ!」

 男は問答無用で俺にナイフを向けて突っ込んできたが、ひらりとかわし、その勢いでナイフを持った手を掴み、投げ飛ばした。

 男は受け身を取れておらず、つらそうだ、それにナイフも落としている。

「スフィア!」

「了解です!マスター 」

 スフィアはそういうと、透視眼を使い周りを見渡す。

「付近の人はいません、近くには5人の住民がいます」

「わかった、ありがとう」

 俺はスフィアに一言言うと、ハンドガンを抜きながら男に近づいた。

「さて、お前には二つの選択肢がある。今ここで死ぬか、それとも自首して罪を償うかだ。」

「お、お前にそんな権利があるのか!」

 男がふるえながら叫ぶと同時に、顔の隣に向けてハンドガンを撃った。もちろんサイレンサーが付いてるので、あまり音はしないが、それでも威嚇には十分だった。男は黙ってしまった。

 そのとき、杏が戻ってきて。

「中の人は全員無事、お金を取られただけ見たい」

「そうか、お前はついている。さあ、どうする。5秒与えよう。どちらか選べ、5、4、3、2、1」

「わ、わかった、自首する。だから命だけは助けてくれ」

「わかった、交番はそこの向こうだ、ちなみに逃げてもいいが、さっきのこいつの力を見たと思うが、わかるからな」

 俺は凄みを利かせて言うと。

「お、お前らは何者なんだ、警察か?」

 俺は少し考えて。

「ただの散歩中の高校生だよ」

 そういうと、俺達3人は颯爽と歩き去って行った。

スフィアの能力で確認したが、男はどうやら自首をしたようだ。


「今日は強盗だけだったね、なんか物足りないな」

「まあ、平和が一番だけどね」

 俺がのんびりというと、

「でも、もうすこし刺激がほしいな」

「じゃあ、スフィアといつもやってる訓練を一緒にするか?」

「パワードスーツつかってもいいなら」

「それは、反則だろ!」

 そんな超科学兵器使われると、大規模な訓練になるし、公園がぼろぼろになる。

「サブマスター が使うなら私も本気を出したいです」

「だ か ら、そんなことすると、公園が壊れるだろ、押さえろ」

「「はーい」」

 二人とも、結構、戦いをしたいようだ。

 ふむ、まだ二四時かいつもなら深夜二時までだが一人強盗事件を解決したし、いいかな。

「杏、今からお前の部屋に行かないか?」

「ん? いいけど、どしたの?」

 杏が不思議そうに首をかしげる。

「そんなに本気を出したいなら、二人で戦えばいい」

「でも、あたしの部屋は公園よりも狭いが、どうするんだ」

「マスター 私は本気で動きたいですよ」

 俺はにやりと笑い。

「本気で動けるよ」

 そういい、首をかしげる二人だった。


 杏の家、散らかってる機会やら装置やらを少し片付けて床に少しスペースを作った。

 「今から、お前たち二人にやってもらうのは、トランプのスピードだ」

 「やったことないゲームの名前が出たな」

 「俺も昨日、テレビ番組でやってたのを見て知ったんだ」

 「スピードのルールは

①最初にカードを二つに分けるてお互いの山札にする

②お互い、手前に四枚カードを出す。

③『スピード』の掛け声とともに、お互いが中央に一枚づつカードを出す。

④中央の二つのカードの上に数字が繋がるカードを手前から上に重ねる、前に出して無くなった手前に自分の山札からカードを補充する。

⑤ジョーカー は好きな時に出せて上に好きなものを乗せることができる。

⑥出せなくなったら、もう一度③から⑤を繰り返す。

⑦最終的にお互いの手札が少ない方が勝ち

 調べたところ、これが一般的なルールらしい、地方によって掛け声やジョーカー のルール。また、赤と黒を分けたやり方もあるそうだ。

「しかし、そのルールだと、身体能力が上のお前らが有利じゃないか」

「そうですよ、サブマスター には悪いですけど、負ける気がしません」

 スフィアの言葉に杏がカチン、とくる。

「ほお、スフィア、いつからあたしにそんな口きけるようになったんだ」

「事実です。それに、作られた側への対応の自由は、ロボット則、第四条に書かれてます」

 杏とスフィアが一触即発の空気を出す。

「待て。このままだと普通にスピードやっても面白くないだろ? 違うか?」

「まあ、そうだが……ならどうするんだ?」

 杏が俺に問いかけてくる。

「ここにルールを少し変える。

⑧④のルールの繋がるではなく、赤は1つ、黒は4つ飛んだカードを上に重ねる。

例を出すと、赤の3の上には1と5、黒の3の上11と8が重ねることができる。重ねる色は赤でも黒でも構わない。 

⑨④のジョーカー は好きな時に出せるが、出すと重ねられるカードは1か13しか出すことができない、そして、場に出ている、二つのカード両方に影響する。

⑩⑥の最終的に残ったカードだが、赤は2ポイント、黒は2ポイントでポイントの少ない方が勝ち

⑪上に間違えたカードを乗せたら、お手付きとして5秒止まる。

 という、ルールにする。名ずけて赤黒スピード(ジャンプ・オブ・レッド&ブラック)」

「ほお、ネーミングセンスはださいが、一気におもしろそうになったじゃないか」

「これは考えましたね、奇数を飛ばすと同じ目が出ないだから、1から13までだから、この数なら、ループすることもない」

「これなら、杏とスフィアでも対等に戦えるんじゃないか?」

「ああ、さっき言ったことが違うと、後悔させてやる!」

「望むところですね」

 そして、赤黒スピードは幕を開けた。


「どうだ、スフィア、これで降参するか?」

「まだまだ勝負はこれからですよ」

 さっきの勝負はスフィアが悩んでる、間に杏がひょいひょい出していたので、第一回戦は杏の圧勝に終わった。

 次の試合、さっきので二人ともなれたのか、手が見えないほどに早い、スフィアがカードを置こうとしたその瞬間、挟み込むように杏がジョーカー を出す、スフィアが愕然とした顔をする。

「はい、スフィアお手付き」

 俺は公平なジャッジを下した。

「サブマスターやはり、あなたは侮れません」

「ジョーカーとはこう使うのだ」

 そう、ジョーカーのルールは1と13にするのが目的ではなく、敵にお手付きさせるための道具として。そう使うものなのだ。その裏のルールに気付くとはさすが杏である。

「5秒の間、指をくわえて見とくがいい」

 杏はものすごいスピードでカードを置く。5秒待ったスフィアも後を追うようにカードを置く。結果、今度も杏が勝った。しかし、差はほとんどない。

 そのあとも、何回か杏とスフィアは勝負をする。勝率は杏が9勝、スフィアが6勝と、やや杏が勝ち越してるがほぼ二人とも同じくらいだった。

 二人とも肩で息をして、額に汗を流している

「やるな、スフィア」

「サブマスター やはりあなたは私のサブマスターです」

 お互い認め合う。うん、考えてよかった。

「さて、お互いに本気になれたか?」

「「うん!」」

 二人は声を揃えて、うれしそうに言った。

 夜も深くなってきたので、この変でスフィアと俺は帰ることにした。



 しかし、本当の戦いは家に帰ってからだった。


 家に帰ると、愛が起きてたようで、俺とスフィアは玄関で正座をさせられている。

「まったく、こんな遅くまで、兄さんと姉さんはどこ行ってたの?」

「ちょっとランニングをしてただけだよ」

 無表情で仁王立ちをしている、愛は普通に怖い。

「ふーん、でも姉さんはなんで、学校指定でもないブルマを履いてるのかな?」

「いや、これはですね愛さん、海よりも深いわけがあって」

 スフィアが慌てる。

「へー じゃあ、僕を納得させれるくらいの、そのわけを聞かせてもらえるかな」

「いや、マスター が着ろって言われて無理やり」

「兄さん!」

 愛が吠えた。

「いやいやいや、スフィアの趣味だから、愛も信じるなよ」

「兄さんはそんなので誘惑されるの?」

「だから、俺は全然、いや、ちょっとはいいかなと思ったけど、スフィアが勝手に着ただけだから」

「ちょっとは思ったんだ、ふーん」

 あ、地雷踏んだっぽい。

「そうかそうか、つまり兄さんはそういうことなんだ」

「いや待て、誤解だ」

「ふん!」

 愛は怒って自分の部屋に帰って行った。

「マスター ……ごめんなさい」

「あそこで俺を売るのはどうかと思うぞ、まあ素直に謝ったからいいけどさ」

 俺とスフィアはとぼとぼと部屋に戻るのであった。

 愛はそれから3日間は口を聞いてくれなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ