プロローグ
新年記念として、昔の作品を加筆修正しました。
「広兼お前を正式に明日からRCONの特殊部隊として迎える」
多くのパソコンが並んでいて、忙しなく老若男女問わず行き来する事務室のような部屋の中で、スーツ姿の少し年季の入ったような印象を与える、30歳いっているかわからないような男が、広兼に問いかけた。
俺、広兼は、13歳の春、RCONの実力試験が終了した日の、二日後に俺は教官室に呼ばれ、そのような言葉をかけられた。
それは、俺が小学校にもいかず、RCONという非政府時科学組織(通称NSOで訓練や勉学に励んでいた俺にとっては念願の言葉だった。
「ありがとうございます! 教官!」
広兼は感動を抑えきれず少し声がうわずる。
その様子を見て、苦笑を漏らした後
「広兼、お前は良くやった……今回の試験での総合評価はお前がトップだ。監督の私としてもうれしいよ」
「お褒めに預かり光栄です」
教官が笑顔になると、俺も思わず笑みをこぼす。
「さて、お前はこれで、正式にRCCNの一員なわけだが……お前に初めての任務が与えられる」
真剣な表情で仕事の話に入った。
「新しい構成員としては異例の人事になるのだが、広兼、明日からお前は、生まれた土地、京都府、真鞍町の観察および警備にあたることになる、そのために中学2年生としてスフィア……お前の友達のアンドロイドとだな、とともに入学してくれ」
なるほど、護衛任務か、スフィアと一緒なら心強い。
ちなみに、スフィアとは相棒が俺に作ってくれた、アンドロイドである。
しかし、真鞍町か……懐かしいな。まだ、あいつは待ってくれているだろうか? 大きくなり、身長170cmを超えた、俺のことがわかるだろうか……? いや、考えても仕方ないこと……か……。
「わかりました。では、任務に付かせていただきたいと思います。これにて失礼し――」
バン、という大きな音がしてドアが開かれた。
「ちょ、ちょっと待てよ! あたしも広兼と一緒に真鞍町に行く!」
そこには、まるで見るものを吸い込みそうな、輝く肩までかかる金髪、動揺で揺れ動いているが、はっきりとした切れ長で大きな蒼い瞳、急いで走って来たのか、その少女の金髪や白衣はぐちゃぐちゃだった。
羽田野杏。長年一緒に過ごしてきた。もはや相棒ともいえる、存在だ……でも……。
「……すまん、これは任務だ、もう……お前とは別々になるんだ」
広兼は杏を諭す。
杏は絶望に顔を染めて、涙を溜めて、叫んだ
「そんなの嫌だぁ! あたしは広兼と行くぅ!」
杏は広兼に泣きついてきた。
「そんなこと言っても……」
俺が困っていると、教官が。
「いいんじゃないか? 羽田野も科学者としていろんな世界を見て周りたいだろうしな」
パッ、とその言葉に杏は顔を輝かせる
「やったぁ!」
教官満足そうに、うんうん、とうなずいた。
「いいんですか、教官……上が何か言ってこないですか?」
俺がまだ泣くのをやめない杏の艶やかな金髪をを撫でて、なだめながら教官に尋ねる。
「なんとかしておくよ、RCCNの宝でもある羽田野を無下には扱わないだろう」
まあ、教官がいいと言うなら多分、上も納得してくれるんだろう。
「……仕方ないな、これからも、頼むぜ、杏」
「!? ああ、もちろん!」
俺は杏と、固い握手を交わした。
正直に言おう、俺はこのときは任務が結構厳しいものになるのではないかと思っていた。
だって、世界にはみんなが知らないだけで、結構いろいろな不思議が溢れているからだ。
でも、まさか、あまりにも暇で部活を作ったりして遊ぶなどとは露一つも考えてはいなかった。
続きすぐ出します。こうご期待を