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卒業アルバム

次の日あたしは、結希が彼氏に借りてきてくれた高校の時の卒アルを見せてもらった。

そこにはまだ髪が黒い洋輔さんが写っていた。

だけど、髪質は今と変わらない、柔らかそうな髪だった。

今まで知らなかった洋輔さんがいるような気がして、わくわくしながらページをめくった。


「あ。」


発見してしまった。


「ん?どーした?」


結希がアルバムを覗き込む。

あたしは、洋輔さんと知らない女の人が仲良しそうにピースをしている写真を指差した。


「何?ヤキモチ?」


結希がにやけながら言う。

「うん。」


「素直でよろしい。」


そう言うと、結希はあたしの頭をぽんぽんと撫でてくれた。


「でもアイツ、洋輔さんは彼女作ったことないって言ってたよ。」


アイツと言うのは結希の彼氏―悠さんのことだ。


「それでもこんなに仲良く写ってる写真見たら凹む↓↓」

あたしは机に顔を伏せた。

どぅしてこんな小さい事でイヤになるんだろう?これが恋ってモノなのかな…


その日一日は少しブルーだった。


どうして些細なことを気にしてしまうのか

どうしてこんなに嫌な気持ちになるのか


どうしてこんなに好きになってしまったのか


なんだか解らないことだらけでずーっと悩んでいた。

帰り道、結希が突然、


「アイツに洋輔さんのアド聞いてみようか?」


「え。でも、いきなりどこの誰かもわかんない人からメール来たらキモくない?」


正直、すっごく知りたかった。本心とは逆の事を言っていた。洋輔さんに迷惑だと思われるのがイヤだったから。


「そんな遠慮するなよ〜。大丈夫だって!今アイツに聞いてみるからさっ♪」


そう言って結希は携帯を取り出してメールを打ち始めた。


この調子だと悠さんも、あたしが洋輔さんを好きだって知ってるんだろうな。


結希のバイブが鳴った。


「教えてもらったよぉ!メール送るか送らないかは藍梨次第だからさっ。アイツも藍梨のこと応援してたし、口かたいから洋輔さんにバレる事はない☆」


「ありがとう!彼氏サンにもそう伝えといて」


「どう致しまして。ウチら恋のキューピッドみたいじゃん?!」


それから結希と別れて、いつものように駅に向かった。

駅には、あたしの大好きな人がいた。


あたしが近くに行こうとしたら、洋輔さんがこっちに気付いたらしく、


「この前の高校生だっ」


と言ってイタズラっぽく笑った。


それって、も、もしかしてあたしのこと???


「えっ。あ、あの…」


あたしが慌てていると、


「アハハ♪また一緒のバスだね」


またあの爽やかな笑顔であたしに言う。


「そうですね」


緊張して一言しか言葉が出てこない。妙な笑顔になっているかもしれない。


もっと話したかったのに、バスが来て会話は遮られた。


あんなに人懐っこいとは思わなかったなぁ。


帰ってからベッドに寝転がってそんな事を思った。


もっと話してみたい。彼をもっと知りたい。


また一歩近付けた★ブルーだった気持ちが一気に吹き飛んだ。


ちなみにこの日、洋輔さんにメールを送らなかった。勇気が出なくて。。。

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