実感
「あ〜ぁ。日向くん今頃泣いてるね」
「いや、大丈夫だって!傷つけないように断ったもん!」
「いや〜、女って恐いわ〜。可愛い顔してあっさり断るなんて。中学のときから片思いしてた子に振られたらへこむなぁ〜」
「うぅ…それ言われると痛い…」
あたしと結希は久しぶりに、学校帰りによく寄り道していた喫茶店“メイプル”に来ていた。
そこで昨日の出来事を結希に話したらこんなことになってしまった。
「冗談だって♪日向くんはモテるから大丈夫!!」
「そういう問題?!」
「そーゆー問題っ♪♪」
あたしの質問を無視して結希はひとりで盛り上がっている。
「だって藍梨には洋輔さんて言う王子様がいるんだもんね☆」
「うん…///」
「そういえば、夏祭りのこと洋輔さんに言った?」
夏祭り……?なつまつり……。
「あ〜!!」
「ちょっと藍梨ちゃん。あたし昨日ちゃんと言ったよね?メールしなさいって」
「はい…。」
呆れたという顔でこっちを見る結希。
「おっちょこちょいっていうかドジっていうか…。まぁいいわ。今メールしな!」
「なんて送ればいいの?」
「明日夏祭りがあるんですけど一緒に行きませんか?って」
「わかった」
バッグの中から携帯を出して早速メールを打ち始めた。
『洋輔さん、お久です♪いきなりなんですけど、明日うちの近くで夏祭りがあるので良かったら一緒に行きませんか?』
―送信―
「送信完了しました!」
「よくやった!ご褒美にストロベリーパフェおごってあげる」
「ホントに?!やったぁ!!」
「食べながら返信を待とう」
――10分後。
♪〜
着信音が鳴った。あたしはすぐに携帯を開いた。
「洋輔さんだっ!」
「で?なんだって?」
「『夏祭りいいね!!一緒に行こ↑↑』だってぇ〜!!!」
「マジで?!良かったじゃん!!」
「うん!良かったぁ☆嬉しい」
洋輔さんからの1通のメールだけでこんなに嬉しくなるなんて。。。あたし恋してるんだな〜って実感した。
「結希達は夏祭り行かないの?」
「行くよ〜☆ねぇねぇ二人で浴衣着ていかない?」
「着ていく!!」
「よし決まり!じゃあ駅で待ち合わせて、それからはそれぞれ別行動にしよっか」
「了解」
あたしは洋輔さんに、結希は悠さんに、待ち合わせ場所をメールで報告して、二人を驚かせるために浴衣を着ていくことは内緒にしておいた。
明日はいい日になりそうだ♪♪