帰り道
「水野ってさー、」
「何?」
「彼氏とかいんの?」
「えっ!?いないけど…」
CDショップからの帰り道、空くんがそんなことを聞いてきたからすごくビックリした。
「そ、空くんは彼女いないの〜?」
「俺?いないよ。中学ん時からずっと好きな子いるからさ」
「そーなの!?じゃあ、あたしの知ってる子だよねぇ〜」
「うん。水野は絶対知ってる」
「誰だろぉ??教えて?」
いくら考えても、空くんが好きな人の見当がつかなかったから、空くんに直接聞いてみることにした。
「秘密」
「意地悪〜」
あたしはほっぺを膨らませた。
「そんなに知りたい?」
「知りたい!!」
「どーしようかなぁ〜」
「お願い!!教えて?」
「〜〜よし、分かった!」
「教えてくれるのっ?」
「うん!てか水野可愛すぎなんだけど」
「え?」
「教えて?って言ってる姿が」
空くんは笑いをこらえながらそう言った。
何言ってるの!?空くん!やばい…顔が熱くなってきた。恥ずかしくて俯いてしまう。
空くんがあたしの顔を覗き込んだ。
「水野、顔赤いよ?」
「いやぁ。だって男の子に可愛いとか言われたことないし」
「やっぱ水野って可愛いね♪」
それ以上言わないで〜。顔が林檎になる〜。
「そうだ!空くんの好きな人の話してたんじゃん!誰なの?」
あたしは話をすり替えた。
「じゃあさ、教えてあげるから、あの公園でちょっと話さない?」
空くんは誰もいない近くの公園を指さした。
なんか公園で二人きりって緊張するなぁ。
そう思いながらも、あたしは
「いいよ」
と返事をした。