求愛計画に異常あり!幼なじみに恋の協力を頼んだら泣かれた話
好きな女にまったく好意が伝わらない。
そもそも俺は恋愛下手で、あいつは鈍感。送り手側も受け手側もポンコツとくれば、うまくいかないのは当然のことなのだ。
それならば、と俺は手紙を書いてみた。……怪文書が出来上がった。これをネタに脅されたら、言いなりになるしかないブツだ。その場で暖炉に突っ込み、豪炎で無に返した。火魔法の使い手で良かった、としみじみ思った。
俺は騎士の才能には恵まれたが、こと恋愛になると『おまえはおかしい』と友人にも言われてしまう。
だからといって諦めるなんて絶対に嫌だ。あいつの笑顔を見ることこそ、俺の最大の喜びだというのに。じゃあどうする……と思ったとき、俺は彼女が恋愛小説を大量に所持していることを思い出した。
これは使えるんじゃないか?
世界に1つだけの小説を書いて「おまえのためだけの小説だ!」と渡すのだ。いくら鈍いあいつでも、さすがに何か感じるだろう。
いや、もちろん書くのは俺じゃないのだが。手紙ですらアレなのだから、小説なんて書いたらとんでもない大惨事になる。
そんなわけで、俺は幼なじみの発明家クリスの元を訪ねることにした。
* * * * *
「えっ! 僕の作った【魔導式言語構成機】を借りたいって!?」
クリスが驚きの声を上げると、天井から綺麗なエメラルドグリーンの塊がススス……と降りて来た。こいつが飼っている森蜘蛛のスピナだ。
スピナは俺の顔を確認すると『問題ナシ!』というようにまたススス……と上に昇って行った。
蜘蛛とはいってもスピナは蜘蛛型の魔物なので、かなり賢い。誰か来るとこうしてわざわざ確認に来るのは、クリスを守っているつもりなんだろう。
俺はスピナが天井に張り付くのを目で追った後、再びクリスへと目を向けた。
「その魔導ナントカは、設定しだいで小説も書けると言ってただろう?」
「【魔導式言語構成機】だよ! まあ確かに小説も書けるけれどさ。でもエド、君、小説に興味なんてあったかい?」
クリスはこんな珍妙な話し方だが、性別は女である。こいつに本当のことを言うわけにもいかず、俺は曖昧に言葉を濁した。
「……まあ、ちょっとな」
「ふぅん?」
クリスはかなり訝し気な顔をしている。
どう見ても乗り気じゃなさそうな気配を感じ、俺はすかさず手土産を渡すことにした。これでダメなら奥の手だ。
「そうだ。クリスに差し入れを持ってきたんだ」
持っていたバスケットを渡すと、中を覗いたクリスはわかりやすく顔を輝かせた。
「わあ、エッグタルトじゃないか!」
「おまえの好物だろ」
「だからエドって好きさ!」
「調子がいいな」
俺は笑いながらクリスを見た。
クリスはなかなかの変人だが、こういう素直なところは子供のころから変わっていない。昔はよく『エドが本当のお兄ちゃんだったらいいのになぁ』なんて可愛いことを言ってくれていたものだ。
まあ、うっかり馬鹿正直に『俺は弟が欲しかった』と言ってしまい、クリスの目が死んだ時にはめちゃくちゃ焦ったが。
「……本当に好きだよ?」
「ああ、わかってる」
クリスは、本当にわかってるかなぁ、などとこぼしていたが、エッグタルトが功を奏したのか機嫌よく魔導機を貸してくれることになった。
「これ、基盤部にスピナの糸を使ってるんだ。魔力伝導率は高いし、本当にスピナは優秀だよ。それに知ってる? 森蜘蛛って求愛のときにすごいダンスを踊るんだ! それから──」
クリスは目を輝かせて、止まらない森蜘蛛愛を語っている。
求愛ダンスか。
蜘蛛も大変なんだな、なんて他人事のように考えながら、俺はクリスから魔導機を受け取った。
まあ、こいつにこんなことを頼むのは、どう考えても間違っているのだが。
* * * * *
「ヒーローの名前を設定して下サイ」
「名前……」
借りてきた魔導機を起動した俺は、初っ端からいきなり躓いた。クリスは『小説用に少し設定をいじっておいたよ』と言ってはいたが、細部は俺がつめないといけないらしい。
「何も浮かばん。ヒーローはエドワードでいい。俺の名前だ。とりあえず、何か小説の冒頭を書いてみてくれ」
「承知しまシタ。ワタシは優秀なのデ、自動音声で読み上げマス」
「ああ、頼む」
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▼早いもので、最愛のエドワードが亡くなってから三年が経ちました。
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「開始1行で俺を殺すなよ!」
「ワタシは優秀デス。指示がポンコツなのデス」
「まさかいきなり殺されるとは思わないだろ! 違うんだ、書いて欲しいのはそういうのじゃなく……」
じゃあ、どういうのだ?
俺は重要なことに気がついた。俺は一度も恋愛小説を読んだことがない。つまり、何が正解かわからない。
当然そんな俺に的確な指示が出せるわけもなく、魔導機はおかしな文章ばかりを吐き出してくる。
結局俺は、再びクリスの私設研究室を訪ねることになったのだった。
* * * * *
「やあ、エド! 執筆活動は順調かい?」
「生存するだけで精一杯だ」
「えっ、何それ? まあ、立ち話もなんだから入ってよ」
「……いや、おい待て。またおまえは」
背を向けたクリスの髪を見て、俺は条件反射のように複合魔法を発動した。
こいつは興味のあること以外には無頓着なので、こうして跳ねた髪をそのままにしていることもザラだ。お蔭で俺は、難しいといわれる複合魔法の腕がすっかり上達してしまった。
サラサラになったクリスの金髪が、輝きながら肩に落ちる。……一瞬、白いうなじが見えて俺は変にどぎまぎとした。
「……なんだかくすぐったいよ。そんなに跳ねてた?」
「あ、ああ。ある意味、芸術的だ」
「だって仕方ないだろ、後ろは見えないんだから。……でも、いつも僕を気にかけてくれてありがとう」
クリスは少し照れくさそうにしながら、そんなことを言った。少し耳が赤くなっている。
「やっぱりエドって、お兄ちゃんみたいだ。大好きさ」
どうもこいつは一人っ子のせいか、未だに『兄』に対しての憧れがあるらしい。
いや俺は別に、おまえの兄の地位を確立したくて世話を焼いているわけではないのだが。
「で、どうしたのさいったい」
応接室の椅子に掛けると、向いに座ったクリスは俺に話を促した。この件でこいつに助けを求めるべきではないのだが、仕方がない。
「恋愛小説を書けるように改良してくれ」
「恋愛小説ぅ!?」
クリスは目を真ん丸にして俺を見た。まあ、そういう反応になるよな。
「エドが!? どうしたのさいったい、具合でも悪いの!?」
なんでだよ。
「何かわけがあるなら聞かせてよ。僕は君の力になりたいんだ」
俺はかなり迷ったが、この膠着状態を抜け出すには話した方がいいだろうと判断した。……ちょっとだけ、クリスの反応を見てみたいという気持ちもあった。
なにしろ、俺が小説を渡したい相手とは、クリス──このクリスティーナ本人なのだから。
* * * * *
俺は深く息を吸うと、思い切って告げた。
「恋愛小説が大好きな女に渡して、喜ばせたいんだ」
「えっ」
俺はクリスが恋愛小説好きだと知っているが、クリスは俺が知っていることを知らない。自分のことだと気づいていないクリスは、意外なほど動揺を見せた。
「ど、どういうことさ? その人って、エドの何?」
それにしても、どうしてこいつは口調といい、自分の女らしい部分を隠しておきたがるんだろうか。別に恋愛小説くらい、堂々と読んでもいいと思うのだが。
「まあ、なんというか特別な相手だ」
「特別な……」
クリスは呆然とした表情で、視線をさまよわせている。しかし、すぐにハッとしたように俺を見ると、急にこんなことを言い出した。
「【魔導式言語構成機】でそんな小説を書くの、良くないと思うな!」
貴様、力になりたいんじゃなかったのか。
「わけを聞かせろというから、話したんだろ」
「だって【魔導式言語構成機】は、研究内容をまとめるために作ったんだし。エドの告白の手抜きを手伝うために作ったんじゃないし」
言い方に棘がある。
「手抜きじゃない。諸事情を鑑みた結果だ」
「それでも、好きなら自分で好意を伝える方がいいよ」
「……別に好きとは言ってない」
「じゃあ、なんて恋愛小説なんて贈るのさ」
確かにクリスの言う通りだ。普通は、好きでもない女に恋愛小説なんて贈らんだろう。
だがここではっきり意思表示してしまうと、後々都合が悪くなる。
兄と慕う俺から告白なんてされたら、クリスが困るかもしれない。
小説を渡すという手法なら、気づかない振りで逃げ道を作ってやれるかもしれない。
そんなふうに悩み揺れ動く、繊細な男心をクリスにはぜひ理解してほしいものである。
俺は仕方なく、切り札を持ち出すことにした。
「クリス。俺がスピナを捕まえてきたとき、おまえは言ったよな。『何か頼み事ができたら言ってよ! 今度は僕が協力するからさ!』って」
「……」
そう。クリスが可愛がっているスピナは、俺がクリスに頼まれて捕獲してきた森蜘蛛なのだ。
あの時は、森蜘蛛を求めて広大な森林を彷徨う羽目になり、本っ当に大変な思いをした。
だったら断れよという話だが、そこは惚れた弱みというやつだ。
「……わかったよ」
いつもよりやや低いクリスの声で、俺はハッと顔を上げた。
「今からちょっと設定を変えてくる。……でもさ、エド」
クリスは俺を見ることなく、目を伏せたままでこう言った。
「君、本当にこれで気持ちを伝えるつもりかい?」
ちくりと、言葉が胸に刺さった。
なんだろう。俺は何か、とても大事なことを見逃している気がする。
しかしそれは何だ?と心を探っているうちに、クリスは魔導機を抱え立ち上がった。
「……やっぱりいい。そんなに時間はかからないから、ここで待ってて」
その表情は、いつになく硬い。
いつの間にかテーブルの上にスピナがいて、部屋を出て行くクリスと俺をおろおろしながら交互に見ていた。
* * * * *
『君、本当にこれで気持ちを伝えるつもりかい?』
クリスの顔がちらついて、正直俺は少し迷った。しかしここで止めてしまうと、クリスは『俺には他に好きな女がいる』と誤解したままになる。
告白して距離を置かれるのも嫌だが、誤解されて距離を置かれるのはもっと嫌だ。
俺は気合を入れて魔導機を見た。
前回は惨敗だったが、今度こそまともな小説を完成させてクリスティーナへ贈ってやろう。
あいつは驚くだろうか。驚いて、それからいつもの笑顔を見せてくれるだろうか。
「頼むぞ、魔導機! 俺の未来はおまえにかかっている。愛情を伝えるシーンを書いてくれ!」
「了解しまシタ、おまかせアレ!」
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▼「エドワード、私は本当に幸せよ。愛しているわ」
うっすら涙を浮かべる妻の顔を見ながら、俺はわずかに微笑んだ。
「ああ、俺も愛している」
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お、いいんじゃないか!? 今度こそいけそうだ!
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▼俺は妻の手を握った。だが、もう力が入らない。
「おまえ一人を残して逝って、すまない……」
「あなた……!」
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俺は無言で魔導機を止めた。
なぜこいつは、隙あらば俺を亡き者にしようとしてくるのだ。
「……いや、わかるぞ? 悲恋だって恋愛だものな。確かに、こういう泣ける話が好きなヤツもいるだろう」
「ハイ、ワタシは優秀!」
「うん、優秀なおまえに最重要の指示を伝える。いいか、【エ ド ワ ー ド は 絶 対 に 死 な な い】」
「エドワードは絶対に死なナイ──」
「そうだ」
「最重要指示とシテ、設定しまシタ! ところで今のワタシは通常モードですが、恋愛を強化しマスカ?」
ん、そんなのがあるのか?
「そうか、クリスが設定を変えると言ってたヤツだな。よし、モードを変更してくれ」
「了解。【求愛大噴射モード】に移行しマス!」
「は?」
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▼さあ、今回の主役はエドワード。
エドワードは人間ですが、求愛のときにお尻から糸を噴射したり、激しいダンスを踊る習性があります。
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おい、待て。
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▼エドワードは意中のメスの気を引くため、必死になって激しいダンスを踊ります。でも人間であるエドワードには、腕が二本しかありません。
彼は考えました。
『ああ、俺に腕があと4本あれば、もっと複雑な動きができるのに! 彼女への溢れる愛が、今にも尻から噴射しそうだ!』
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「今すぐエドワードの息の根をとめろ!!」
「エドワードは不死身デス」
「なんでだよ!」
「そう指示されてマス」
「誰だそんな指示をした奴は!?」
「──」
「わかってるよ! 俺だよ!」
俺は絶望のあまり頭を抱えた。
どうしてこうなる。
普通でいい。普通の恋愛小説さえ書ければ、あいつに渡して想いを伝えられるのに……!
* * * * *
俺は憔悴してクリスの元を訪ねた。
なぜかクリスも憔悴した顔で俺を迎えた。目が赤い。また徹夜で研究でもしてたんだろうか。
「……うまく恋愛小説は書けたかい? エド」
「書けるわけないだろ! なんなんだあの特殊な設定は!」
「……」
クリスは無言でうつむいた。
二人とも立ったままだったので、うつむかれるとほとんど表情が見えなくなる。
「森蜘蛛の求愛で喜ぶ女がいるとでも──」
文句を言っている途中で、俺はハッと口を噤んだ。顔を上げたクリスの目に、じわりと涙がにじんでいたのだ。
「だって……だって、エドが悪いんじゃないか! 他の女性に贈る小説をこの僕に手伝わせるなんて……」
「クリス?」
「ぼ、ぼ、僕がっ……いくら好きって言っても、ぜ、全部無視するしっ……」
「好き!?」
俺は驚きに目を見開いた。
好きなんて言われたことは──いや、あるな。
『だからエドって好きさ!』
俺はクリスの口癖を思い出した。そうだ、何度も言われてきたじゃないか。昔から、何度も何度も。
好きだと言われても、お兄ちゃんみたいって言葉の印象が強すぎて、どうせそういう意味だろうと流してきた。
だが……違ったのか!?
『……本当に好きだよ?』
『ああ、わかってる』
いや、何もわかってなかったのか、俺は──。
「で、でもクリスはいつも、俺のことを兄みたいだって」
「そんなの、エドが『弟が欲しかった』って言ってたからじゃないか! 弟っぽくしてれば……このままずっとエドのそばにいられるんじゃないかって、僕は……」
俺はすさまじい衝撃を受けた。
俺の無神経なあの発言が、まさかクリスにこれほど影響を与えていたとは──。
「ほ、本当はわかってるよ。僕がエドの邪魔をする権利なんかないって。だけど……だけどさ、僕に手伝わせるなんて酷いじゃないか。恋人をつくるなら、僕と関係ないところで作りなよ」
そこまで言うと、クリスは最後に震え声でつぶやいた。
「エドなんか、振られちゃえ」
「──」
クリスの辛そうな顔を見て、俺まで辛くなってきた。早く何か言わなければ。
しかし口を開きかけた時、俺はクリスの肩にスピナが陣取っていることに気がついた。
俺に向かって二本の前脚を振り上げ、カマキリのようにシャーッと威嚇ポーズを取っている。クリスを泣かせたせいで、どうやら敵認定されてしまったらしい。
「違うんだ、スピナ」
俺はクリスに一歩近づくと、スピナに向かって声を掛けた。
「これは誤解だ。俺はクリスの敵じゃない。俺は……俺はクリスに小説を贈ろうとしたんだから!」
「えっ!?」
クリスは驚いた顔をした後で、目に見えてうろたえ出した。
「な、なんで? だって、エドの好きな人は恋愛小説が好きだって」
「クリスは恋愛小説が大好きだろ」
「なっ!? どっ、どうして君、僕が恋愛小説を好きなことを知ってるんだい!?」
「いや、すまん。わざとじゃないんだ。前におまえの本棚の本をだな……」
何気なく手に取って、元に戻そうとした時に気がついた。クリスの本棚は、二重構造になっているのだと。
表にはびっしりと並んだ研究書籍。そして裏には、びっしりと並んだ恋愛小説。
……もしかして、あれを隠していたのも弟っぽく見せたいからだったのか?
俺は胸が痛くなった。
いったい何をやっているんだ俺は。
クリスの想いに気づきもしないで、しかもこんな辛そうな顔までさせて。
好きなものを贈って喜んでほしかったのに、喜ばせるどころか泣かせてしまった。俺が、愛の告白なんて大事なことを魔導機任せにしたせいで。
「おまえの言う通りだったな、クリス」
無言のクリスに、俺は静かに話し掛けた。
「自分の気持ちを伝えるのに、魔導機に頼るなんてよくなかった。小説なんて書かせないで、好きなら自分の口で言わないといけないな」
……いや、待て。
格好をつけてそう言ったものの、次の言葉が出てこない。
当たり前だ。そもそも口で上手く伝えられないから魔導機に頼ろうと思ったわけで、いきなり言葉巧みに愛を語れるはずもない。
「いや、えーと、つまりだな」
俺が困り果てていると、スピナが急に動きを見せた。
後方の2本の脚でぐっとふんばり、残りの脚を空中で複雑に交差させる。かと思うと一転、体を限界まで反らせたスピナは激しい回転を始めた。鮮やかな緑色が、残像のように俺の目を刺激する。
おまえ、まさか……クリスに求愛してるのか!?
「いやいやいやいや横入りはダメだ、スピナ! クリスを一番好きなのはこの俺だ!」
しかしスピナは俺を無視し、複数の脚を駆使して華麗な踊りを続けている。
奴は本気だ。あんな動きは俺には絶対真似できない。
「くそ、俺だって腕があと4本あれば……!」
うっかりバカなことを呟いた時、クリスがフフッと笑い出した。
「エ、エド、まさか君、スピナに対抗する気かい?」
「いや、その」
俺がうろたえると、クリスは恥ずかしそうに目を伏せてこう言った。
「……エドの腕はさ、2本でいいよ」
「クリス?」
「だって2本あれば、抱き締めてもらえるだろう?」
赤くなった顔を隠すように、クリスはぽすんと俺の胸に寄りかかって来た。
「クリス……」
なんて可愛いことを言ってくれるんだ……!
思いのままクリスを抱き締めようとした俺は、そこでスピナの存在を思い出してハッとした。奴の目の前で俺がクリスを抱き締めたら、スピナは激怒するんじゃないだろうか。
しかし予想に反し、スピナは『キャー』と照れるような仕草で前脚を使い目を覆っていた。
おまえまさか、さっきのはわざと俺を煽ったのか!?
本当に、なんて気の利いた奴なんだ。
今度スピナに好物のハチミツを買ってやらないとな、と思いながら、俺は2本の腕でしっかりクリスを抱き締めた。
「俺が恋愛小説のヒーローなら、ここで格好良いセリフを言えるんだが」
「いいよ、そんなの。さっき『クリスを一番好きなのはこの俺だ!』って叫んでたし、求愛ダンスまで考えてくれてたし」
「……それはもう忘れてくれ」
ラブコメや両片思い好きの同士の方、なんでも良いので反応をもらえると嬉しいです!




