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中古にまつわる怖い話と奇妙な話  作者: 夏の月 すいか


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12/16

お札がない日

 ―玩具リユースショップ パート勤務 香山(かやま)さんの話―


 某おもちゃメーカーから発売されている、女の子なら誰でも知っているであろう着せ替え人形。

 その人形のお家のリビングや寝室を再現したおもちゃの話。

 そのおもちゃは厚紙で出来ていて、収納時は(たた)んで箱型になる。広げると家の間取りが再現されて、家具や人形を配置して遊べるようになっている。

 

 香山さんは、買取ったそのおもちゃのテーブルやソファなど付属品が揃っているか確認し、クリーニングして店頭に陳列した。

 使用感が少ない美品だったため、その日のうちにすぐに売れた。

 その翌日。

 それを購入した客が店に怒鳴り込んできた。

 「こんな状態で売るなんて、いくら中古でも酷過(ひどす)ぎませんか。こんな気持ち悪い物なんか()りません」

 店長が謝罪し、どうにか収まった。

 (…なんで返品になったんだろう…)

 返品された物を店長から受け取った香山さんは驚いた。

 本体の厚紙が全体的にうっすら湿って、(しわ)になっている。

 (たた)まれた本体を広げると、じめっとした臭いが鼻を突いた。

 中に入っている付属品の家具を見て香山さんは更に驚いた。

 テーブル、イス、ベッドなど全ての家具に、長い髪の毛が大量に絡みついていた。


 昨日はこんな状態ではなかった。客が自分の持っている同じものと取り換えて返品に来たのではないかと店長に訴えたが、店長は(こと)()げに言った。

 「いや、いいんだよ。このおもちゃ昨日のものでしょ。ちょうど昨日は交換に行ってて、店にお(ふだ)がなかったから。こういうこともあるよ」

 店長の話では、年に数回こういったことがあるそうだ。

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