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木枯らしはバカみたいに風鈴を鳴らす

作者: 黒楓

この作品は「なろうラジオ大賞7」参加作品です。

 慣れない街を歩いている


  昨日までの雨雲を

 すっかり吹き飛ばす勢いで


 木枯らしが

 ゴーッ!

 ビューッ!と

 時折

 私に体当たりして来る


  よろけるものか!

 流されるものか!

 押し倒されるものか!


  ザクザクザクザクと歩きながら


  私は荒れたくちびるを噛み

 歯を食いしばり

 両手をコートのポケットへ突っ込んで


 ただただ

 歩き続ける


  目的はある


 そう!


 言い訳めいた目的は

 ある


  だって

 それは

 生きる為の方便だから


  だからその方便にのっかって


 歩みを止めず

 ひたすらひたすら

 私は

 歩き続ける


  “One-trick pony”なんて

 上等なものじゃない私の

 たった一つの

 つまらない意地を


  もうひとりの私が


 笑い飛ばして

 ペチャンコにしようとするけど……


  バカは死ななきゃ治らないから

 やっぱり私はくじけない


 でも

 そんな私を嘲笑うかの様に


  どこかの家の軒先に忘れ去られた

 夏の風鈴を

 木枯らしはバカみたいに


  鳴らし回った


 


 


 

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― 新着の感想 ―
 寒さと、主人公のプライドみたいなものを感じる物語でした。  ラストシーンの「夏の風鈴」からの表現が素敵ですね。  人間生きてたら、ムキになったり意地になったりして他人から見たらメリットなさそうな…
東京の木枯らしの凄さって他の地方に住む人では知る余地もないほどですよね。 凄い木枯らしが吹いた翌日の駅前には、破れた傘の残骸が山積みになっていたりすることもありますから。 風鈴、一軒家の人なのかな? …
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