序章:少年たち
都会の雑踏の中で、少年たちは出会った。
彼らは外の世界に居場所を求める必要はなかった。
けれど、不思議と心の奥底で同じ衝動を抱えていた。
「ステージに立ちたい」
その気持ちだけが、彼らを同じ場所へ導いた。
血のつながりではない。
それ以上の、音楽によって結ばれた兄弟たち。
白い蛍光灯に照らされた地下練習室。
壁一面の鏡に映るのは、まだ誰にも知られていない少年たちの姿だった。
スニーカーが床を打つ音、合わせたはずの振付が微妙にずれて、笑いが弾ける。
何度も繰り返すうちに、少しずつ呼吸が揃い、バラバラだった動きがひとつのリズムになっていく。
汗に濡れた髪、喉を焼く息、笑い混じりの叱咤。
練習室での夜は、いつも終わりが見えなかった。
けれどその時間のすべてが、彼らにとっては確かな希望だった。
まだ名前もない少年たち。
だが、この日々こそが――
やがて光と影を駆け抜けるグループの始まりになるのだった。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
小説を書くのは初めてなので、拙い部分も多いかと思います。
それでも、この物語を始めたくて、まずは序章として綴りました。
この小説には明確な現実のモデルが存在します。
読んでいて「誰か」を思い出す方もいらっしゃるかもしれません。
けれど、私が描こうとしているのは、その「誰か」や周囲の人々を参考にしながら、新たに構築する物語です。
実際の出来事とは大きくかけ離れているため、もしその方をご存じの方が読まれたら、むしろ違和感を覚えるかもしれません。
もしその方々をご存じで、「違うな」と感じられたなら、無理して読み進めず自分の中の「彼ら」を大事にしてください。あるいは「別の次元の彼ら」だと思って楽しんでいただければ幸いです。
これからよろしくお願いいたします。