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11・12月連月戦

10月18日、土曜日


保険会社で働く映研OBが、再びサークル棟に来た


そして始まる独演会



「会社と仕事のために働く我々の所属する保険会社では


 11・12月連月戦と我々の内輪で言っている

 10月21日から12月21までの年末営業強化月

 というものを毎年、実施している


 俺のような普段は営業職務を担当していない人間も

 その期間は営業活動をするワケなのだけれども


 君達のような我社に所属していない人でも

 保険契約に加入する人を紹介するという形で

 営業活動を支援してくれた人に

 契約成立内容に応じて仲介料を支払う


 という制度があるのだよ


 でだ、ちょっとしたアルバイトとして

 誰か保険に入ってくれそうな人間を紹介して欲しい


 小学校、中学校、高校の元同級生で

 この大学がある学園都市の住人が好ましい


 何故か? 顧客登録の都合になってしまうのだけれども

 それなら知友人契約という名目でデータ登録できるからだ


 知友人契約じゃないとな、面倒なんだ

 去年、ちょっとした契約を場所に関係無くとったら


 その地域にも我社の営業所があってな

 そこを営業地区として担当している

 ババァが、現地営業所採用の半年契約セールスのくせに

 本社採用の有能な、この俺に

 私の営業担当地区の客を横取りしたとか

 その地域住人の内輪を統治している独裁者のような事を

 わめいて、しまいにゃ我々の日常職務を邪魔してきやがった



 君達の友人なら


 ”出身校の集団縁による知友人紹介による契約”


 という名目で、そういった妖怪の相手をしなくていいワケだ



 まあ、なんだな、ちょっとした基本なのだけれども


 自分の頭を基準に自分より色んな能力が低くて

 自分の話術で、どうとでも言いくるめられそうな

 住んでいる場所が同じな小中学校の元同級生


 親が同じPTAづきあいして

 今だに町内会つきあいとかも、しているから

 血縁地縁、親戚の地域での人との縁

 ってヤツがあるだろ


 人によっちゃ地域密着型の同業者団体とかもあって

 その集団縁がプラスされているのとかも


 家庭内権力が自分の方が上だから

 どうとでも言いくるめられる兄弟とかの

 血縁とかでもいい


 とにかく、その群れの中では


 自分の方が格付けが上だから

 どうとでも言いくるめられて当たり前という

 信用みたいなもんが固まっている人間の

 一人や二人、いるだろ?


 そういった君達が、どうとでも言いくるめられそうな


 いや、一生、我社を色んな意味で利用するのが

 常識なのだと死ぬまで思い込ませられそうな


 そういった人間、いるだろ?



 スクール・カーストで、自分が御主人様で

 奴隷として遊んでいたオモチャとかいただろ?


 そういった色んな意味で自分より弱い人間を紹介して欲しい


 わかるか? ちょっと、くどいかもだけど



 自分より馬鹿で、自分より口が回らなくて

 一生、騙せそうな人間だぞ


 そいつらの頭の中に、どこかの営業が刻み込んだ


 ”この俺が良いと思った我社の商品を一生、買い続けろ

  こういった商品の購入には、いくら金をかけてもいい”


 とかいう常識を破壊して


 保険商品を金融商品を買うようにするワケなのだからな



 それから、保険の事自体は一切、言わなくていい


 何か共通の話題があるんだろ? 共通の趣味?


 このサークルにいる人間が映画への興味で集まっているのと同じで



 ”映画サークルの、ちょっとした集まりがあるんだけど

  君も来てみないかい”


 というような事を言うだけでいいからな」



などと言いたい事を言って、保険勧誘 Line に強制参加させられた


Line 自体は、保険会社員OBが見ているので書き込めないが

悪意の籠った悪口ばかりがサークル室内で木霊する


保険勧誘をする保険のオバチャンに抱えるイメージ


 大仏みたいなパーマ髪型で太った迫力ある相撲取りのような オバサン

 強引に、どうとても言いくるめられるという感じで保険加入勧誘


とかいうのを誰しも思い描き


 保険会社OBも大相撲関取な外見になるのかな?


などなとと話していたが


喉元を過ぎて熱さを忘れた翌週の10月21日

保険会社員OBからしたら、11・12月連月戦だかの初日



朝、たぶん日常業務が始まる前の8時40分まで


昼、たぶん昼休み時間な正午から午後1時まで


夕方、たぶん定時になって残業時間が始まるまでの夕食休憩な午後6時から7時まで


そして、残業が終了した午後10時以降と



ずーっと、保険会社員OBから、誰かに Line でのメッセージやら

電話が直接、かかってきたりとかの


”契約成立見込み客 紹介督促”


とやらが始まった


ある意味、それは保険営業をしている人々の群れの中の意識に

そのOBが埋もれ、個人の自意識が消えてしまったかのようだった。


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