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音源 買い取り


サウンド・エンジニアだかをしているOBが

ここんとこ、ちょくちょく来る


映画ロケの仕事で、音楽監督にコキ使われていたり

結構にギリ訴えられなくて、問題だあとか言われないくらいの

パワハラを受けていたりな現実を


誰かに、味あわせて、やりたいってな心情なのか

自分が映像技術者現場で言われている事を

そのまま、言ってきていたのだが


今日は、やけに感じが違う

映研でも、音響効果とか、劇伴をつけている人に

声をかけている


「音楽会社、買い取りの音源製作をしてみないか?


 よく、作詞・作曲 誰々とかクレジットがされていて

 そういう作詞・作曲家が印税とか二次使用料を

 受け取っているって言うだろ


 そういうのは受け取れないけど

 音楽会社が、1曲3万円から50万円くらいまでで

 作った曲を買いとるってのがあるんだ


 まあ、曲のレベルってか今回の映画にマッチしているか

 完成度などによって値段は決まるワケなんだけれども


 映画のシーンに合わせた曲って感じで

 そのまま使わずに少し編曲したり曲の構成を変えるから

 俺との共作になるから、取り分は半額になるけど


 誰か作曲とかしていて、発表したい曲を抱えてる人?

 てか、プロの評価を聴いてみたいって人いない?」


そんな事を言っているのが聴こえてくる



『そのー、3万円しか貰えないのと50万円貰えるのの

 違いって具体的に何ですか?』



「んーと、ほぼ、そのまま映画の1シーンに使われるレベルとか


 歌詞をつけて有名な大先生が編曲したりして

 主題歌に使用されたりしてサウンドトラックに採用される

 レベルなのだったら50万円


 1分くらいの効果音みたいな感じでしか

 使われないのが3万円


 てトコかな


 昔は煮詰まったシンガーソングライターとかが

 俺様の名前で出せば売れるって感じで

 アルバムの曲数が足りなくて、発売予定日が

 せまっている時に、そのスタイルに似ている曲を

 買い取ってたとか聞くけど


 最近はアルバムとかは売れなくて

 音楽配信やサブスクだからなぁ


 でも、映画サウンドトラックとかはCDが発売されてるだろ?


 ちょっとしたアルバイトになって

 この映画のサウンドトラックに採用されて

 映画館で大きな音で自分が作曲した曲が聴ける


 いいだろ? どうかな?」



自分が窓口になって、バイトをさせてやるよ


てな感じで語っている


数人がスマホに自作音源を入れていたり

楽譜をタブレットに入れて持ち歩いていたり

していたので、それをチェックしながら


 いや、これはモロにヘンリー・マンシーニのパクリすぎ


 ジョン・ウイリアムス まんま やん 有名なのに似すぎ 


 エンニオ・モリコーネを知っている人だったら元ネタがバレる


どう考えても、誰も観ないような

アマチュアが自主製作映画で使う分にはOKな

丸っとパクっている曲を、除外していっている


次に、採用するかどうかを決める

音楽監督の嗜好に合致していそうなのを探しだす


 いや、重低音を使った重みのある深淵な感じがする

 音が好みみたいなんで、ドイツの有名な大作曲家いたろ

 ワーグナーだっけ? 音楽監督が好きなんだよね


 それに今回の映画、ワーグナーの歌劇


 過激じゃねえぞ過激


  ”ニーベルングの指環" をモチーフにしてるような

 シナリオ部分もあるし


 ちょっと、そういったのみたいなの ないかな?


なんとも漠然とした感じの事を言い出している


というか、ワーグナーと聴いて誰もが連想するのは


 ”地獄の黙示録”で、ヘリコプター搭載のスピーカーから

 ”ワルキューレの騎行”をBGMとして流しながら

 ベトナムの村落を攻撃するシーン


え? あれとかが重低音を使った重みのある深淵な感じ?


 ワルキューレって、北欧神話で神々の住まう城の守護戦士が

 戦いで亡骸となったのを天馬に乗せて回収する9人の女死神姉妹

 あの曲って、その死神姉妹たちのテーマ


 攻撃用ヘリコプターをワルキューレたちの乗る天馬に見立て

 ベトナム戦争の戦場における死神として描いているシーンのBGM


そんな曲が必要になるシーンって、どんな映画やねん

バトルロワイヤルみたいな、サバイバル・ゲーム映画なんかーい


などと連想をしてしまった



・・・



というワケで、サークル棟の一室に、その先輩が仕事で当たり前な

アレコレというかノウハウのようなものが

落語の小話のように数時間にわたって流れるのを聴いている内に

その日は、終わった


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