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サイコロジー・ホラー愛憎劇


「35歳から55歳までの中高年労働者層に

 ウケそうな自主製作映画を撮ってみませんか


 という話が、この地域のフィルム・コミュニティに

 転がり込んできた


 で、後輩であるキミタチにも参加して欲しい


 でだ、どういう映画かを製作委員会の人が

 説明してくれるんで、聞いてくれたまえ


 では、製作責任者様、どうぞぉおっ!!」




『まずは、どういう情感を抱えた人を

 観客として対象にしているかを説明します


・・・


喜び、怒り、哀れみ、楽しみ


最近、喜びも哀れみも楽しみも心に湧かず

心から湧いて出てくるのは怒りだけ


想い出として心に浮かぶのは

最近の出来事では何も無くて

何十年も前の18歳未満の未成年の頃の事ばかり


何故かな? と思うに


怒り以外の感情が仕事に必要無いからと

抑え込む内に、本当に消えて無くなってしまったから

自然に日常的に心にあるのは怒りの感情


18歳を超えてから、アルバイトも含めて

金のために働いて、働くためだけの人間関係、行動だから

利害関係に基づく行動だけなので何の想い出も無くて


それ以前の利害関係以外の人間関係だけが

想い出として残っているだけ


喜んでテンションを上げて調子に乗ったり図にのる人に怒り


何かを哀れむんじゃなくて、哀れな何かを発生させた原因に怒り


楽しいだなんて軽薄に浮かれている誰かを馬鹿みたいだと怒る


決して一緒に、喜んだり、哀れんだり、楽しんだりする事は無い。



しかし、何故に怒りの感情だけが仕事に必要って事に

自分の中で、なっているのか?


自分が心に抱える普通の職場イメージが原因

どんなイメージだ? あえて語ってみましょう


----------------------------------------------


 朝、親方が職人を怒鳴り散らします



”御前等、怒られたくなかったら、気合い入れて、やれぇい”



”へい、わかりやしたぁ、親方ぁ”



 そして、その後、職人が見習いの若いモンで

 一番、仕事が出来ないのを怒鳴り散らします


”御前等、こんな風に怒られたくなかったら、やれ”


 と言わんばかりに見せしめに派手に

 いる職人全員に聞こえるような大声で

 

 仕事が出来ない原因から、直前にした作業ミスから

 何年も前にした同じような作業ミスについて


 嫌になった職人見習いは、やめていき

 職人以外の仕事を探します



 毎日、毎週、毎月、毎年、同じ職人仕事の繰り返し


 いつか、もっと稼げる職人になったり

 何人も職人を抱える親方になる事を夢見て


 今更、この職人仕事以外で働けるかといえば

 もはや、働けません

 嫌気が指しても、他の仕事を始めて

 やっていける可能性はゼロ


 もし、不景気で、この会社をクビになっても

 次に仕事をするのは同じような

 親方社長が職人社員を使っている零細企業


 同業者ピラミッドで上位にいる会社の都合で

 どんな無茶を言われても従うしかない立場での重労働



 なので怒り以外の感情が心から消えているし


 何かを楽しむような金や時間が手に入らないし


 喜びを感じるような人間関係を抱える余裕なんか無いし


 自分が哀れまれるような存在だから

 誰かを哀れむ余裕なんか、心に浮かぶワケも、ありません


 同じような怒りを抱える同じ仕事をする誰かが

 社会的に死んで悲惨な末路が見たさに仕掛ける

 悪意に満ちた共食い遊戯が楽しい娯楽


 誰かの社会的な死に喜び


 底辺労働者に堕ちた昔は仲間だった職人を

 哀れんでいるかのように暇つぶしの話の種


そんな親方職人職場で毎日を過ごしています


----------------------------------------------



そういう日常に生きている労働者向けに

低予算で実験映画を作って見ようという案が採用され


愛憎劇テレビドラマと、サイコロジー・ホラー映画を

ミックスしたような映画にする予定です




まあ、こういう事は誰かが何かに、もう表現しています


ピンク・フロイドを脱退した後の


ロジャー・ウォーターズの「アミューズ・トゥ・デス」 


人間の最大の娯楽は誰かの死なのか?


あのアルバムの歌詞は結構に刺さったもんです



日本じゃ、猥褻図書という事で上映できない

グロテスク・アート・フィルムとかも

海外旅行した時に観た事がありますが

日本じゃ知られていない巨匠による傑作は素晴らしかった



参考までに、どんなテレビドラマや映画の要素が

オマージュとして入っているかは配布したプリントを見て下さい』



---------

愛憎劇


テレビドラマ


『砂の城』(1997) 監督:中島 丈博 原作:一条ゆかり

『失楽園』(1997) 監督:中島 丈博 原作:渡辺淳一

『真珠夫人』(2002) 監督:中島 丈博 原作:菊池寛

『愛の流刑地』(2007) 監督:中島 丈博 原作:渡辺淳一


映画


『怒りの葡萄』 (1939)

原作:ジョン・スタインベック 監督:ジョン・フォード 脚本:ナナリー・ジョンソン

出演者:ヘンリー・フォンダ


『鬼の棲む館』(1969)

監督:三隅研次 原作:谷崎潤一郎『無明と愛染』 脚本:新藤兼人

出演者:勝新太郎、高峰秀子


『君よ憤怒の河を渉れ』(1976)

監督:佐藤純彌 原作:西村寿行 主演:高倉健


--------------------

サイコロジー・ホラー映画


『ヘルタースケルター』

監督:蜷川実花 脚本:金子ありさ 原作:岡崎京子 主演:沢尻エリカ


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