ゴール
そんなバトルも終焉の時を迎える。
偶然、首への裸締めが極まり――
エマは昏倒――してしまったのでした。
僕は遠慮なく裸の身体を荷物のように抱え上げ、(エマの)ゾーンアウトへ。
ここに、真っ当に、勝利を手中にしたのだった……!
「貴方って存外、甘ちゃんなのね」
「せめて優しい男って、言ってもらえないかな?」
「おばかさん……」
そうして彼女は、僕のほっぺにチューをしてくれたのさ……。
プレイヤーネーム:エマ(Lv0 Ex25)
性別:female(女性)
年齢:15歳9ヶ月
コース:千葉県鴨川市⇒千葉県南房総市
ライン:25.4km
全幅:1270m
獲得した総ポイント:41Pt
内訳
基本ポイント:0pt(=25-25)
ボーナスポイント:4pt(水族館観光。移動中の食事、等)
ペナルティー:なし
スペシャルポイント
充実度:25Pt
初回特典:12Pt
バトルの決着は“西領域”へのゾーンアウト。
同時に、文句なしのゴール。
レベルは変わらず、ポイントは奪われたものの、経験値はしっかりと記録されたのでした。
ところで今、巨人から人サイズに戻ったのはいいのですが、二人とも全裸のままです。
慌てない、これはVR効果。お互いにしか知覚できないことだ。
僕は最初、注意を喚起しようと声を掛けかけたのですが……。
なんだかヤボな気がして、そのままに。
彼女も“そのつもり”なのでしょう。
僕は顔が熱く、そして彼女もほんのり赤く、させていたのでありました。
二人で、徒歩にて海岸を目指します。街なかを裸で歩くのは、なんだか新鮮な感動を覚えたのでした。
ゴールライン手前に到達したとき。
感傷でしょうか、僕たちはゾーンを振り向いたのです。
そこには巨人がいたのでした。(VR)
街の中の――
エマのゾーンには、鴨川からやって来たのでしょう、美男子の僧侶、月蓮聖人が――
僕のゾーンには、南総里見八猫伝の、猫耳の美少女剣士たちが――
にこやかに手を振って、別れの挨拶を送ってきて、くれていたのでした。
「もし僕らがバトルしなかったら――」
「それぞれ、彼や彼女らが、“ご当地モンスター”として、ゲームの“ゴールキーパー”として――わたしらの前に、立ち塞がっていたんでしょうね」
うん――
涙を拭いて、僕らは前に向き直り――
手を繋いで。
17時30分。
こうして、ゴールラインを越えたのでした。
プレイヤーネーム:リョム(Lv1 Ex25)
性別:male(男性)
年齢:15歳11ヶ月
コース:千葉県鴨川市⇒千葉県鋸南町
ライン:25.4km
全幅:1270m
獲得した総ポイント:87Pt
内訳
基本ポイント:50pt(=25+25)
ボーナスポイント:0pt(食事、観光をしなかった)
ペナルティー:なし
スペシャルポイント
充実度:25Pt
初回特典:12Pt
そして、ゴールして是非にも、見たかった景色。
見やれば遠く、日本の、富士のお山が沈として泰然と――僕らを迎えてくれていたのでした。
☆ ☆ ☆
(南房総市・岩井の浜にて)
(天気は残念でしたが、いい夕焼けでした)




