種族
よく見ると、彼女を中心にして、直径4mほどの透明な球形の物体が成形されている。オリハだった。空気との屈折率の違いから、かろうじて判別できていた。
本来、オリハの標準状態は0.01mmほどの皮膜だ。それが“そこ”まで分厚く膨張することによって、空気よりも軽くなり、ひいては浮力が得られるって理屈なのだ。
中の人は密封状態になるけど呼吸は問題ないよ。空気は通っているし、なんなら単独で酸素を生成・供給できるから。まさに万能オリハだった。
僕は見る。彼女の球体の側面に生えた、ちんまりとした“羽”を。
彼女は見る。僕の足裏に成形された“ローラーブレード”を。
――二人同時に、溜息が出たのだった。
僕ら、いくらゲームの制限とは言え、ホントご苦労さんなことだった。
☆ ☆ ☆
この時点で話しておこうか? ゲームにおける種族とそのアイテムのことを。
高い所が大好きな人たちを天使族という。アイテムは羽だ。
反対に海の底が好きなのが人魚族。アイテムは、ヒレ。
地中がお気に入りはヨミ族で、これはドリルだ。らしいだろ?
高い所も深い所もダメなのが地表の人間族。ご存じ、ローラーブレード。
では、高い所も深い所もオーケーなのは?
それは……今はまだナイショさ!




