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ジェームス・ディーン

「ジョイスティックなんかダメだ! 直ぐに飽きてポイするのが目に見えている。本ならいくらでも買ってやるぞ。本にしろ。それにしてもよう、お母ちゃんのカレーライスは美味いよな」とお父ちゃんはお母ちゃんに言ってカリーライスを口に詰め込んだ。

 

「イヤだイヤだ。本なんて読んだことないもん。お父ちゃん、ジョイスティック買ってよ~、ジョイスティックが欲しいよ~」

 

「龍太、テメェいい加減にしろ!! ジョイスティックなんか必要ない!!」

 

「イヤだイヤだ。ジョイスティックがあれば勇者になれるんだ!」

 

「お兄ちゃん、うるさい!!」

 

「貴司、うるせー! 小学4年のガキは黙れ!」

 

「お兄ちゃんだってガキだろうが!」

 

「二人共うるさい!!」とお父ちゃんは言って立ち上がるとコップの水をお兄ちゃんと僕の顔にぶっかけた後、さすがにちゃぶ台の上にはカリーライスがあるからひっくり返せず、お兄ちゃんのランドセルを手に持って中をぶちまけた。

 

「龍太、何だコレ!? この丸めた紙は何だよ?」とお父ちゃんは言って、お兄ちゃんのランドセルから出た紙を広げた。

 

「社会の答案用紙じゃねーかよ、10点だとぉ!!」お父ちゃんは社会の問題を読んだ。

 

「ジェームス・ディーンの主演した3本の映画の内、ジム・スタークの役名の映画を答えよ。だって!?」お父ちゃんはふんどし一丁で床に座ると目を閉じて考え込んでしまった。

 

「理由なき反抗だい!」とお父ちゃんは叫んだ。

 

「お父ちゃん、スゴい! 正解だよ! 僕は分からんかった」とお兄ちゃんは言って拍手した。

 

「ジェームス・ディーンは俺のリーダーであり大先輩なんだ。絶対に絶対に絶対に間違えられん」とお父ちゃんは言って、婆ちゃんの遺影の横に飾ってあるジェームス・ディーンのポスターに向かって頭を深く下げた。

 

「あんた、いい加減に早くカレーライスを食べなさい!」とお父ちゃんはお母ちゃんに怒鳴られると頷いて静かにカレーライスを食べた。

 

 



つづく

次回、最終回です✨

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