23話 駄天使フラウが来た理由
遅れました…
「あ、レイアいた~。やっと見つけれたよ~。会いに降りてきたよ~、レイア~。フラウと会えて嬉しいでしょ~♪」
声の方に振り向くと、そこには少女にも見える女性がいた。
風になびくピンク髪のミディアムヘア、透き通った翆眼、そこに輝く丸眼鏡。そして可愛らしいアホ毛。
「まっっっっっったく! フラウ、貴女ったらぁぁぁぁ!!!」
そんな彼女が今回のスタンピードの元凶らしい。
「そんなに大声出すほど嬉しいのか~。フラウは嬉しいよ~♪「違うわよ!この大バカ!」 それでお隣の2人はどなた~?」
天野さんが相手の話している最中に割り込んで発言するなんて…
「…はぁ、もういいわよ。彼は松下くん、私が頼んでこの世界に来てもらっているの。そして彼女はシシィさん、あなたが引き起こしたスタンピードの被害者よ!」
「あらぁ? 迷惑かけちゃいましたぁ~? それならごめんねぇ~。久しぶりに会えたし、フラウは帰るね~♪ それじゃまったね~♪」
フラウさんは反省はしているのか、声のトーンこそは下がっている。
しかし、起こした事態の重大さを感じていないのか、会うだけあったから帰りますとは天然なのかおバカさんなのか…
シシィさんは呆れているみたいでポカーンとしてるし、天野さんは俯いて震えている…
「ちょ、ちょっと! 要件はそれだけなんですか⁉」
思わず僕もそれだけなのかと聞いた。
「うん、言ったじゃ~ん。『会いに降りてきたよ~』って。仕事もあるし、気晴らしにレイアに会いに来ただけだから~。」
天野さんがそれを聞いた途端に、纏う雰囲気が一変した。
「フーラーウー??? ほんと貴女ったらおバカさんなのね。松下くん、これからちょっとフラウとOHANASHIをしてくるから、少しの間いなくなるけど気にしないでね♪」
あー、これは相当長いお説教になりそう。
「わかりました。宿屋で待っておきますね。シシィさんも、別れた班と合流しましょう。」
「ん、そうしよう。」
シシィさんも雰囲気で察したのかそれ以上何も言わなかった。うん。それが正解なんじゃないかな…
天野さんがフラウさんを連れて行ってしばらくして、残された僕とシシィさんはこれからについて話し合った。
その結果、天野さん、フラウさんのことは秘密としておくこと、そのかわり僕とシシィさんの二人で解決したことにしてギルドから報酬を与えることが決まった。
「ん。報酬はアクアタルアの街で手配しておく。10日ほどしたら、そこのギルドの受付にシシィの名前とハルトの名前を伝えて。それでいい?」
「はい。大丈夫です。」
「ん。そしてシシィは元の班に戻らないといけない。また会えるはず。それじゃ。」
そう言ってシシィさんは、仲間の合図の方へと去っていった。
「また会えるって何で確信が? まぁいっか。それにしても、フラウさんは不思議な人だったなぁ。…天野さん、早く帰って来ないかなぁ」
そんなことを考えながら、僕は宿屋に1人帰った。
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その頃、レイアとフラウの2人は...
「ほんと、貴女といったら!何かする度に何か問題を引き起こして!もう少し慎重に考えて行動出来ないの??? 書類作業を頼まれれば、その書類の悉くを失くして、整理を頼めば逆に散らかし、何もない場所で転けて頭を打って仕事を休むことになったり、過去に不用意に世界に降りたばかりにヒト対魔族の戦争の引き金になったこともあったりするし、今回は私に会うためだけにこの世界に降りてきて、魔物のスタンピードを引き起こしかけたり... そろそろ学んでよ! 貴女は天使なのよ。そんな姿を見せたら信じてもらえなくなるわよ??? ほんと、気をつけてよね!それから自分のしでかたした事についても責任をしっかり…
『レイア~。ごべんなざぁぁぁい!悪気はないのぉー。はんぜいじだぁからぁ、ゆるじでぇー。』
…はぁ。せっかく来たんだし、ご飯くらい食べましょう。」
「!! 良いの!?」
「そうよ。ほら、行きましょ? それとも嫌なの?」
「ぞんなごどない! 行く!」
厳しくも優しいレイアであった。その優しさがフラウに好かれるのである。
少し短めですが、キリが良いのでここまでにします。