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43話 油

アピール成功。美月に恋人宣言をした私は、自慢げな表情を浮かべゆーくんの方へ目を向ける。


……と、何故かゆーくんは焦っているようだけど、関係ない。


私はやるべき事をした、そして美月に目を向ける。


ふふ、美月の目、これは完全にゆーくんを狙っている目。


きっと、私からゆーくんを奪う気なのだ。そしてゆーくんを自分のものにしようとしている。


これは完全に黒、ここへ呼び出したのもゆーくんとの距離をつめて、私から引き離すためだ。


許せない、許せない、ゆーくんは私のモノなのに、絶対にゆーくんは渡さない。


「恋人……?」


そういって美月は目を丸くさせ、ぱちぱちしている。


きっと、私たちのラブラブ具合をみて呆気に取られてるのだ。


「ちょ、月城、何言って──」


「ゆーくんは静かにしてて」


私はすかさずゆーくんの発言をとめる。ゆーくんは恥ずかしがり屋だから、発言によっては、私の不利に働くかもしれない。


ごめんね、ゆーくん、この争いは絶対に負けられないの。



♢ ♢ ♢



「ちょ、月城、何言って──」


俺がそういうと、月城は間髪入れずに冷たい声を重ねてくる。


「──ゆーくんは静かにしてて」


どうしてか、さっきから月城が乗り気なようだ。


一体なにが原因でこうなってしまったのかは分からないが、このままだと、あることないこと美月に話されてしまうぞ。


それに、どう考えても俺たちの関係をばらさない方が、月城にとって良いはずなのに、なぜ乗り気で恋人話を続けてるんだ。


仕方ない。ええい、ここは思いきって月城の発言を否定……!


「いや、俺たちは別に付き合って──」


「──なに?」


できる訳もなく、月城から送られる冷たい視線とともに撃沈だ。


俺が思わず目を泳がせると、美月は呆れたように続けた。


「……って、月城はアイドルの自覚あるの? こんなところで食事をして…………誰かに見つかったら、どうするつもりなの?」


ごもっともな意見だ。しかし、相手は月城、一般論は通じない。


そして、やはり月城は顔色ひとつ変えずに話を続ける。


「どうするって? 私とゆーくんの関係なんて説明をするまでもなく分かるでしょ?」


月城がそう言い切る頃には美月もポカンとした表情になっていた。


そして、その表情を確認した月城は微かに微笑んで、俺の手首を掴む。


「……私たち、もう帰るよ? ほら、ゆーくんお家行こ?」


「あ、ああ」


達成感溢れる月城の表情に呆気に取られながらも返事をし、月城に引っ張られるがままついていく。


すると、月城は思い出したような、何かを閃いたような表情を浮かべると、美月の方へ振り向いた。


「美月、私たちのお家に来なよ」


月城は勝ち誇ったような表情を浮かべる。……一体どういう事だ。


なぜ終わりかけた話に油を注ぐようなことをするんだ。


「私たち……?」


「そう。私たち、同棲してるの」


月城はそういって、ニヤリとこちらへ顔を向ける。


「……ねぇー? ゆーくんー?」

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