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02話 ヤンデレ美少女と俺の関係

一体どういう状況だ? 


朝起きるとフカフカなベッドで俺は横たわっていた。


まず疑問点は色々ある。初めになぜ俺はここに居るのか、ということ。


恐らくこの疑問の答えは昨日の夜に遡れば分かるのだろうが、俺は何故か晩飯を食べ終わったあたりから記憶が無く、あまり思い出せない。


そして次に俺の彼女だと名乗る、この女の子について。


この女の子は昨日道案内した子だろう。となると昨日が初対面のはず、ゆえに俺の彼女であるわけは無いのだが……


俺が考え事をしている内に、彼女は不安げな表情を浮かべていたが、それは次第に明るくなっていった。



「……あっ! ゆーくんは学校の事について心配してるの?♡ もぅー! ゆーくんは真面目だなっ!♡ でも安心して! 実ゎ学校にはもう連絡済みなの!♡ 私に感謝してもいいょ?♡ ゆーくんの学校を特定するのは結構大変だったんだからねっ!♡♡」


「確か俺は昨日ここでご飯を食べてその後……」


「ゆーくんはその後ぐっすり眠っちゃったよ。気持ちよさそうに眠るゆーくん、可愛かったなあ♡♡」


彼女は満面の笑みで受け答える。


というか眠ってしまっていたらしい、いくらこんなことを言われているからといっても、流石に申し訳ない。


「俺、寝ちゃってたのか? そ、それは申し訳ない。……ごめん」


俺がそういうと、彼女は呆れたように笑いかける。


「もっ! なんでゆーくんが謝るのっ!♡ だって、昨日の夜ご飯に睡眠薬を入れたの私だよ??♡」


「ッ睡眠薬?!」


「うん。ゆーくんを帰らせない為にはこれしかなかったから……」


それから彼女の話を聞いたところ彼女は中学生の頃の同級生で、俺の元カノだった月城月乃(つきしろつきの)で、ずっと俺を探していたらしい。


元カノ……あれは二、三年前だっただろうか。



♢ ♢ ♢



「ゆ、唯斗さん。あなたの事がずっと前から好きでした。私と! 付き合って下さい!!」


すうっと、大きく息を吸う。


「……分かった。付き合おう」


四度目の告白、再び断るのも心が咎めるので真っ直ぐに俺を思ってくれている女の子、月城と交際する事を遂に了承してしまった。


勿論本命は芽衣だったのだが、俺は随分と押しに弱い性格のようで、湧いてくる良心から呆気なく付き合う事を決意してしまった。


でもまあ仕方ない、一口に四回と言ってもタダの四回ではない。一月で四回、だいたい週一ペースで告白してくるのだ。


勇気を出して告白した身から言わせて貰えば、週一ペースで告白など無理、無理にも程があるのだよ。

そう考えると彼女は相当のメンタルか、俺への思いを持ち合わせていたらしい。


四回目の告白を受けてからは、しばし楽しい時を過ごしていたと思う。


彼女はデートに誘ってくれるし、手料理も振る舞ってくれる、その味といえば高級レストランで出てきても、全く疑わないレベル。


それに、学校でも沢山話しかけてくれし、そのおかげで沢山遊べたし。本当に心から楽しんでいたと思う。


だがしかし、そんな彼女には欠点が一つあった。それは束縛が酷いということだ。


初めの頃はまだなまぬるく、マメに連絡が来たり返信を催促される程度だった。


しかし束縛レベルは次第にエスカレートしていき、遂には月城以外の女の子と話すのが禁止、月城以外の連絡先全て消去命令が発令されてしまった。


付き合ってしまったからには責任を持ち、連絡先はどうにか別垢を作ってのりきった。だが月城以外の活動や委員会活動では必然的に話さなければならなくなる。


中学校生活で一人の女の子以外の女の子と話女の子と話すの禁止。これには困った。月城には悪いが、俺の本命は芽依であり月城ではない、それに話してはイケない縛りは、不可能なのだ。


しかし、その命令を破ろうものなら


「悪い子にはお仕置きしないとね?」


なんて言ってお仕置き(拷問)がスタートするのだ。何ヶ月かの間なんとか耐えてきた俺だったが遂に力尽き、中学卒業と同時に月城とは別れた。


……はずだった。



♢ ♢ ♢



「ゆーくん、やっと思い出してくれた??」


ことの顛末を話し終えた彼女は、不安げに尋ねた。


「……ああ。思い出した。お前は俺と、とうの昔に別かれた元カノだということを」


「っ、」


俺は思い出した。


彼女がどうやって俺を見つけ出したのかは知らない。だがここに長く居座るのは申し訳ない、それに危険だ。


「色々悪かったな。でもありがとう、お前の家に長く留まる訳にもいかない、俺は家へ帰る」


そう言って、俺は逃げるようにベッドから立ち上がる。


「──ちょっとまって!」


俺が足早にここから去ろうとすると後ろから引き止める声が聞こえた。


「ん?」


俺が振り返ると彼女は真っ直ぐに俺を見つめていた、その姿がやけに中学生の頃と似ていて、繰り返しているようで、あの頃を思い出すようで、少し寒気がした。


「別れてたんなら別れてたでいいよ。じゃあ改めて言う。唯斗さん、好きです。私と付き合って下さい」


彼女はそう言った。あの頃を思い出したのは、あながち間違っていなかった気がする。

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