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12話 お仕置き部屋

それから俺たちは暫しの間、テレビやら携帯やらで時間を潰した。


俺は自宅ではない家に泊まる機会は久しく、新鮮でそこまで苦という訳でもなかった。


……月城からの誘惑は続いていたが、なんとか撒いて今に至る。


既に時計は零時を回り、俺たちにも睡魔が襲ってくる。


「ゆーくん、おやすみ〜♡♡」


「おやすみ」


両方が別々のベッドに横たわり挨拶を交わす。当然の事ながら月城は一緒に寝ることをせがんで来たのだがなんとか別々のベッドで説得することに成功した。


というか俺はソファで寝ることにした。




ピー、と消灯の音がして就寝タイムだ。


電気が消え、あたりは真っ暗になる。やっとここで気が休まる、と俺はほっと一息をつく。今日は色々と張りつめた一日だった。


知らないベッドで寝てると思ったら、月城の家だったり、月城のライブへ行ったり、一緒にお風呂に入ったりと……。


俺は今日一日を振り返り思わず再びため息が毀れる。


さて、明日はどうなるだろう、俺は解約にでも走らされるのだろうか。はたまた月城の仕事に付き合わされるのだろうか。


ま、いずれにせよ退屈はしない事だろう。そして、どんな事が俺を待っていようが、それは明日の俺にしか分からない。


明日にならなければ明日の事なんて分からない。今日ことは今日の俺が、明日の事は明日の俺が何とかしてくれる。


「頑張れよ明日の俺」なんて考えて、いまはぐっすり眠ることにした。




この時の俺は、ヤンデレの真の怖さを、計り知れない恐怖を、まだ知る由もなかった。




♢ ♢ ♢




下校途中、見知らぬ女と一緒に帰る唯斗を見てから何事もなく家へ帰った私は、家に一人コーヒーを啜り、携帯をいじりながら暇を持て余してしていた。


コーヒー片手に、ぼんやりと動画配信サイトを見ていた私だったが、ふと帰路の途中にあった出来事が頭をよぎる。


下校途中、寄り道をした私が見た唯斗の隣を歩く女……一体あの女は誰だったのだろう。


あれから色々考えては見たものの、皆目検討がつかないまま。


唯斗は何となく雰囲気でわかったが、隣の女に関しては、辛うじて女だとは見て取れたものの、顔までは視力のせいかハッキリと分からなかった。


しかし、遠目から見ても、まるでアイドルのように顔が整っているのは伝わってきた。


唯斗……やっぱり、唯斗は浮気癖のある最低な男。きっとあの女も遊ばれているのだろう。可哀想、……可哀想。


私はショックだった。唯斗は幼い頃から私を一途に思ってくれている、そう思っていた。まだ幼かった唯斗はそう公言してくれた。


なのに。なのに、学校での唯斗は随一の浮気男として名を馳せている。あの人はそういう人だったのだ。




不意に私は唯斗と繋がりのあるメッセージアプリを開いてみる。



「このアニメ見た?」



「ここのケーキ美味しいらしいよ。今度行かない?」



そこには、今までに送られてきた唯斗からのメッセージがズラリと並んでいた。しかし、その日付は一昨日で止まっている。


いつもなら何かしら、毎日送ってくるはずなのに……。流石に私もムキになりすぎていたのかも知れない。


ま、唯斗の事だし私が言い過ぎたなんて言えばまたあの頃のように戻ってくれるでしょ。このまま学校を休まれては嫌でも罪悪感を感じてしまう。



『この前は言い過ぎたみたい』



送信っと。


私はそうしてメッセージアプリを閉じた。



♢ ♢ ♢



鳩の声が部屋中に響く。


朝か? それにしては薄暗い、それに肌寒い。まだ目が慣れていないせいか辺りの様子が見えにくい。確か俺はソファで寝たはずだよな? ここはどこだ? 起きようとはしてみるが起きることができない。


すると、どこからともなく月城の声が聞こえた。


「あー! ゆーくんやっと起きたー!」


「ここは……どこだ?」


手を動かそうとしても思うように動かせない。足も同様に……。この縛りつけられているかのような感覚。まさか拘束されてるのか? 


「もー、そんなに暴れないの! ここは、秘密のお仕置き部屋だよっ♪」


月城は弾んだ声でそう答えた。

少しでもいいな、と思っていただけましたら、『ブックマークの登録』や下の【☆☆☆☆☆】から評価のほどよろしくお願いいたします。



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― 新着の感想 ―
[一言] 浮気男と思ってたんなら、もっと前からFOなり、すればよいし、気になるなら問い質せば良いのに、それせず、告白受けてから、あの振り方しといて、何を今更な幼馴染。
[一言] どのみちもう取り返しはつかない 信じずに幼馴染みを切り捨てたんだから まぁ主人公もヤバい人に完全に捕縛された状態だからこれからよりカオスになるだろうな…楽しみだ!(笑)
[気になる点] >私はショックだった。唯斗は幼い頃から私を一途に思ってくれている、そう思っていた。まだ幼かった唯斗はそう公言してくれた。 唯斗は既に月城と交際してたのに、何を今更言ってるの?
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