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死ぬ前に君の笑顔が見たい  作者: 大木戸いずみ
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 段々この臭いにも慣れてきた気がする。

 人間の適応能力って凄い……。私の鼻のきっと「この臭いに対応できるなんてっ」って驚いていると思う。


「これって、体ごと入るべき? ……ピザ窯の中ってこんなに奥深かったっけ?」


 私は独り言を呟きながらピザ窯の中へと体を入れていく。

ピザ窯の中に入ると、頭をぶつけることなく立ち上がることができた。

 思ったよりもかなり広い。……絶対ピザ窯ように造られていないでしょ。

 やっぱり王族の人が使っていただけあって、普通のピザ窯なわけないよね。絶対なんか仕掛けがあると思う。

 気を引き締めておかないと……。

 

「にしても、暗い」


 少し奥に入ると何も見えない。

 ……ここから一体どうしろと言うんだい。

 神様に対して小さな怒りをぶつける。きっと聞こえていないだろうけど。

 手探りでその場の様子を確認していく。壁に手を触れるが、埃っぽくてすぐに手を離した。

 触らない方が良かった。手が真っ黒になった気がする。


 …………てか、シアラって魔法使いなんだよね?

 そしたら、この場を明るくするぐらい朝飯前なんじゃない?

 まぁ、肝心の魔法の使い方が分からないのだけど。てへっ。


「ビビデデバビデブー?」


 何も起こらない。

 どうやらこの世界はシンデレラの世界戦ではないようだ。

 格好良くこのピザ窯に入ったは良いけれど、ここからなにも動けないんじゃ、あまりにもダサすぎる。

 私の名誉のためにもここは何としても頑張らないとっ!!


 この小説「囚われた花」の中で、シアラが魔法の呪文を唱えるシーンは一切なかった。

 ってことは、何か頭の中で願えばその通りになるってこと……?

 そんな人生イージーなわけないよねっ。


 ……この場を明るくしておくんなし。

 

 その瞬間、その場に小さな灯が数個浮かんだ。熱さを感じない美しい光。

 私はまじまじと光を見つめながら、今起きていることが私の幻想ではないことを確認する。

 あれ、簡単に出来ちゃった……。え、こんなもんで良いの?

 

「人生イージーモード過ぎた」


 不治の病を患っているところで人生イージーなんて言っていいのか分かんないけど。 

 てか、「明るくしておくんなし」って話し方でもいけるんだ。

 むしろ、ちょっと言葉遣いを高貴にしたから魔法を使えたとか? ……んなわけないか。

 

 光のおかげで視界が良好になった。

 手のひらを確認すると、やはり真っ黒だった。あ~あ、と少し気分が下がりながらも私は周りの様子を確認した。

 奥に行けるだけ行ってみよう。私は

 家の構造的に、そんなにピザ窯を広くは出来ないはず。地下でもない限り…………。


「あった~~」


 なんてタイミングよく地下へと行く階段を見つけてしまうのだろう。

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